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聖女のやる事じゃない件について  作者: 無月公主


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42,5話【ノエルの奮闘記】

五年前のある日、ノエル・クラリアスはメリアライト帝国のハイドシュバルツ家を訪れました。彼の目的は、ペルシカから【デンデン】という物語について聞くことでした。


ペルシカは喜んで【デンデン】について語りました。そのストーリーを全て理解したノエルは、直ちにキルエルの元へ向かう決意を固めました。


―――――――

―――――


緑が豊かで、アビスの力により農作業が発展してしまったクラリアス領。ノエルはその息をのむような景色を背に、心重くクラリアス家へと足を踏み入れました。祖父であるキルエルのもとへ急ぎ、早速相談事を切り出しました。


ノエルは深い悲しみを帯びた表情で、重々しい口調で語りました。「もう、お祖父様しか頼れないのです。父上は母のことしか愛せません。私にもコレットがおります。お祖父様だけが頼りなんです!!」

温かな笑顔を浮かべたキルエルは「おいおい、お前さん。儂にもかつて妻がおったんじゃぞ。お前さんがここにいるのは、その証しじゃないか。」と優しい口調で語りかけました。


ノエルは静かに頷きながら、「はい。しかし、父上からは、誰でもよかったと聞いています。そこらへんの家のない女性だったと聞いております。」と述べました。


「全く、どこでそれを知ったんじゃ。あれが赤ん坊を終えるまでに婆さんは老衰で亡くなったんじゃよ?失礼な奴じゃのぅ。まぁ、真実ではあるがのぅ。」


「お婆様を愛していたわけではないですよね?」

「愛しておるから子ができるのじゃ。」

「では、お婆様が輪廻により転生してこの地にいれば、お爺様は娶りにいかれるのですね?」

「ん?そうなれば仕方がないのぅ。まぁ、そうなればじゃよ?」


ノエルは静かに頷きながら、「わかりました。」と言い、キルエルの元を離れてドアに向かいました。


「わかっとるとはどういう意味じゃ!?どこへいくのじゃ!ノエルやーい!」


―――――――――

―――――――


緑豊かなクラリアス領を後にし、ノエルはメロウト王国の王宮へと足を運びました。その目的は、アビスのもとへ向かうことでした。


穏やかな陽光がメロウト王国の王宮を照らし、ノエルは王宮の壮麗な門をくぐりました。王宮の中庭では、花々が優雅に揺れ、高い塔の先には蒼空が広がっていました。


ノエルは足早に進み、やがて王宮の中庭を抜け、アビスの部屋がある場所に到着しました。


扉を軽くノックすると、静かに立つ執事が心地よい笑顔で迎え入れてくれました。丁寧に扉を開け、ノエルを中に案内します。


そして、その部屋の中央にいるアビスが、驚いた表情でノエルに向かって尋ねます。「どうしてお前がここにいる?メリアライト帝国にいるのではなかったのか?」


ノエルは青ざめた顔で、言葉を詰まらせながら、「はい、実はお願いがあって参りました……」と口ごもりますが、その直後、突然鼻血が吹き出して、その場に倒れ込んでしまいました。


アビスは素早く立ち上がり、ノエルの身を心配そうに見つめます。優しくノエルをふかふかのソファーに寝かせ、白い布を鼻に当ててやります。その手つきは優しく、しかし確かなものでした。


アビスは呆れた表情でノエルを見つめました。「お前たち親子はどうなってる。すぐに鼻血を出すではないか。」その声には少しの心配も含まれていました。


「すみません。強大な移動魔法は身体の負荷が凄いようで…。」

「普段から魔力をどこかに溜めておくことだな。」

「アビスさんはそのようにして魔法を使われているのですね。」

「で、願いとはなんだ。」

「私の魂からお婆様の魂を探し出せませんか…。」

「めちゃくちゃな事を言っているな・・・。」

「可能でしょうか?」

「不可能ではない。…が、かなりの代償がいる。」

「代償・・・ですか…。ならいいです。他をあたります。貴方はアメリアの大事な人ですから…。」

「だが、その大事なアメリアの為なのだろう?やってやる。ただ、お前も協力しろ。」

「アビスさん…。」

「少し体力を取り戻してからな。」


その後、アビスの協力を得て、ノエルはついに祖母の魂を見つけ出すことに成功しました。祖母は地球に転生していましたが、祖母の魂を地球からこの星のとある令嬢と入れ替えることに成功しました。


無理な力の使い方によって、アビスの姿は大きく変わってしまった。彼の背は伸び、髪も腰のあたりまで伸びてしまい、美少年から美青年へと成長していた。


「一気に老けたな」とアビスは呆れた笑みを浮かべながら言う。


ノエルは微笑みながら、アビスに向かって感謝の言葉を述べた。

「でも、これで上手く行きます。お世話になりました。」

その言葉には、深い感謝と確信が込められていた。彼はアビスのもとを後にし、再びキルエルの家へと向かった。彼の心には、新たな希望と目標が満ちていた。


クラリアス領の小さな家で、静寂が包み込む中、キルエルは静かにお茶を啜っていた。その穏やかな時間を打ち破るように、ノエルが荒々しくドアを破って入ってきた。キルエルは驚愕し、手にした湯のみを誤って落としてしまった。


「な、なんじゃ!?儂のお気に入りの湯のみがー!!」


ノエルはドアの壊れた破片を蹴散らしながら、キルエルの前に立ちました。その眼差しは焦燥と決意に満ちており、胸中に渦巻く思いを抑えるためにも、彼は言葉を選びながら口を開いた。


「お爺様、すみません。急ぎの用事があって……。」彼の声は、焦りと汗ばんだ額から伝わる緊張で震えていた。


「なんなんじゃ。騒々しいのぅ。」


「お婆様を見つけだしましたよ・・・お爺様、さぁ!!行って下さい!!」

「はぁ?」


ノエルは「デンデン」における悪役令嬢である主人公が攻略キャラクターに接触することを心配し、その事態を避けるため、令嬢の魂と地球で暮らす祖母の魂を入れ替える計画を練り、キルエルにその使命を託した。


これにより、5年後、『麗しき殿方との甘い宮殿』は崩壊し、転生した町娘ヒロインがラティー王子と結ばれ、悪役令嬢はキルエル・クラリアスと恋仲になり、聖女は本来死んでいるはずのグローリア・アビス・ケイロス王と結婚し、とても幸せなハッピーエンドを迎えることとなった。


アメリアの晴れ姿を見届けたノエルは、ひっそりと神の国へと戻った。そこから愛するコレットの住まう場所へと足を向け、静かに扉を開けると、彼女の姿がそこにあった。穏やかな微笑みを浮かべ、ノエルはそっと彼女を抱きしめた。


「ただいま、コレット。」

「全て・・・終わったのですか?」

「うん、全て上手くいったよ。もう大丈夫だ。」

「とても、無理をさせてしまいましたね。」

「いや、私達の娘の晴れ姿を見て来たんだ。とても幸せそうだった。」

「そう…、生きて…いてくれたのですね。」

「うん。だから、コレット。私達も、もう前に進もう。」


その温かな声が、穏やかな部屋に響き渡る中、二人は幸せなひと時を過ごすのだった。


ここまで読んで下さってありがとうございます。

次回作の『乙女ゲームの虐げられ令嬢に転生してしまったようですが、攻略対象のお爺さんを好きなってしまったようです。』は、キルエルと悪役令嬢ヒロインがメインの話です。よろしくおねがいします!

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