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聖女のやる事じゃない件について  作者: 無月公主


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42話【とても幸せな瞬間だと言える】

朝日が窓から差し込む中、部屋は穏やかな雰囲気に包まれていました。アメリアは美しい真っ白なウェディングドレスに身を包み、ティアンナが彼女のメイクを施していました。ティアンナの手つきは優雅でありながらも確かなもので、アメリアの美しさを引き立てるように微調整を加えていきます。


「5年も会っていなかったのに、どうしてドレスのサイズがぴったりなのかしら。」ティアンナは微笑んで言いました。


黒い豹の姿をしたアビスの分身体が、ひとたび口を開いた。


「当たり前だろう。分身体とはいえ、俺は俺だ。しっかり5年間アメリアと愛を育んでいたからな。」


その言葉には、堂々たる自信と誇りがにじみ出ていた。


『もう!アビス!恥ずかしい事言わないでよ!』


「アビスお義兄様、まだ本体へ記憶を共有させてはいけませんわよ。」


アビスは軽く頷き、「わかっている」と返事をすると、尻尾をタンッと床に叩きつけた。その一挙一動には、彼の無邪気な一面がうかがえた。


『凄く綺麗私。前世の私THEモブ顔だったから、こんな可愛い姿に生まれてこれて幸せだなー。』


アビスは微笑みながら、ふと口を開いた。


「リアが、自分が綺麗だと自画自賛しているよ。」


ティアンナは微笑みながらも、目に涙を溜めて言葉を口にした。


「本当に綺麗、お姉様。」


『ありがとう、ティアンナ』


ティアンナは軽く手拍子をしながら、「さあ、お義兄様。早く本体を呼んできて頂戴。時間だわよ。」と促しました。


アビスは「はいはい。」と返事し、本体のもとへと歩いていきました。


「お姉様、呪いが解けたら沢山お話を聞かせてくださいね。」


『うん。いっぱい話そうね。』


すると、アメリアの唇が珍しく開いた。


「ティアンナ…ありがとう。いつかまた会いましょうね。」と微笑むと、その言葉に驚きを隠せない。


『何言ってんのー!!私の体!!やっぱり先に呪い解いてもらえば良かった。せっかくの結婚式なのに。でも王族の仕来り的な?ダンス的な?私絶対できないよ。お作法もわからないし。』


ティアンナは「またいつかって…」と呟いたところで、部屋のドアが軽くノックされました。メイドが扉を開けると、白い衣装に身を包んだアビスが佇んでいました。


アビスは目を見開き、「あぁ、リア!綺麗だ。素敵だ。」と呟いた。


アビスがアメリアに近づこうとすると、ティアンナが立ちはだかった。「せっかく綺麗にしたのに、崩れますわ!もう時間ですわよ!」と急かします。


アビスは「了解。では、行こうか、リア。」と言いながら、アメリアの手を取り、二人はウェディング会場へと向かった。

途中、アビスはアメリアの手を優しく握りしめ、心からの幸せを感じながら歩んだ。


―――――――

―――――


荘厳なる王宮の中、輝くシャンデリアが華やかな光を放ち、花婿と花嫁が待つ祭壇には、美しい花々が飾られていた。


アビスは祭壇の前に立っていた。彼の側には、純白のウェディングドレスを身にまとったアメリアが、その美しさを放っていた。彼女の頬には微笑みが浮かび、幸せそうな表情が広がっていた。


司祭の声が響き、アビスとアメリアは交わす誓いの言葉を待つ。アビスはアメリアの手を取り、熱い視線を送りながら誓いの言葉を述べる。アメリアもまた、心からの愛と誠実さを込めてはいるが、淡々と無表情で誓いの言葉を応える。


祭壇の周りには、王族や貴族、そして民衆が集まり、幸せな雰囲気が広がる。華やかな音楽が響き渡り、祝福の言葉と祈りが空気を満たしていた。


そして、アビスとアメリアが互いの唇にキスを交わしたふりをした瞬間、会場は歓喜の声に包まれた。二人の愛が永遠に続くことを祈りながら、王宮の中は幸せな輝きに包まれたのである。


―そして、その夜―


宮殿の奥深く、静謐な夜の闇に包まれた部屋で、アビスとアメリアは新婚の夜を迎えていた。


部屋の中には柔らかなろうそくの灯りが煌めき、幻想的な雰囲気が漂っていた。ベッドには絹のシーツが敷かれ、二人の間には緊張と期待が交錯していた。


『アビス・・・もしかしてこれから・・・。』


アビスは優しくアメリアに近づき、「リア、今から魔法を解く。その前にこの薬を飲んでおいてくれ。」と言いながら、手に持った丸薬と水を彼女に差し出した。


『何この薬!?』


アメリアは微笑みながら頷き、薬を受け取り、コクリと頷くとそれを飲み干した。


『いや、飲んじゃったし!!』


「安心しろ、痛み止めだ。解呪に痛みが出る可能性がある。少しキツイ香を焚く。麻酔に近い香だ。」と言って、部屋に香を焚きはじめた。


アメリアはその香りを嗅ぐと、次第に意識がぼんやりとしていくのを感じた。


アビスは優しくアメリアの手を取り、彼女の瞳に深く見つめる。その目には愛と敬意が輝き、彼の存在が彼女を安心させる。


アメリアは身体が次第に熱くなっていくのを感じました。火照りが彼女の全身を包み込み、何とも言えない心地よさが広がっていきました。しかし、麻酔のせいで、それがどういう感覚なのかはっきりと理解することはできませんでした。


――――――――

―――――


そして、気が付けば朝の光が部屋に差し込んでいました。


アメリアはゆっくりと起き上がり、その動作に伴って下腹部に違和感を覚えました。しばらくの間、その感覚に気づかずにいましたが、やがて彼女は自分の体が何か違うことに気付きました。


「え、ちょっとまって。これって…」とアメリアは呟きました。その時、彼女は魔法が解けて、自分の体が従うようになったことに気付きました。


アビスが隣で一糸まとわぬ姿で微笑みながら「おはよう」と声をかける。その瞬間、アメリアは

自身も服を纏っていない事に気が付きました。


「待って、もしかして私達…初夜を迎えたの?」とアメリアが問いかけました。


アビスは微笑みながら、「いや、俺たちの初夜はこれからだ」と言った。アメリアは戸惑いながらも、「どういうこと?」と尋ねると、急いで布団をかぶって体を隠した。


アビスは深い溜息をつきながら、「キルエルが使った魔法は、その対象の子を憑依させる女性限定魔法だった。魔法を解く方法は子を宿らせるしかない。魔法が解けたという事はうまくいったという事だな。我が子と初夜は流石に不味いと思って強力な麻酔の香でなんとか凌いだ。」と説明する。


アメリアは驚きを隠せず、「えー!!じゃあ私、妊娠してるって事!?」と叫びます。

その言葉に、アビスは淡々とした表情で「その為に薬を飲ませた。あれはそういう薬だ。」と説明します。


アメリアはしばし考え込んだ後、静かに「そっか。私の体は…。辛い事ばっかりさせちゃったね。だからアビスは私の為に何でも頑張ってくれてたんだね。」と呟きました。


アビスは身を起こし、アメリアを組み敷くと、穏やかな笑みを浮かべながら言いました。


「それより、俺達の初夜はこれからなんだが。」


アメリアは焦りながら「朝ですよ?」と口にしましたが、アビスは静かな口調で「俺がどれほど我慢していたと思っている」と返しました。


朝日が窓から差し込む中、アビスとアメリアは布団の中で幸せな微笑みを交わしました。その微笑みには深い愛情と幸福が込められていました。二人の間には穏やかな雰囲気が漂い、愛と信頼の絆がますます深まっていくのを感じ取れました。


アビスはアメリアの唇に優しくキスをし、その愛おしい顔を見つめます。アメリアも同じようにアビスの唇を求め、深い愛情を込めたキスを交わします。二人の心は一つになり、お互いを深く理解し合っていることを感じました。


その後、二人はゆっくりと愛を交わしました。それはただの肉体の結びつきではなく、心と心が交わる至福のひとときでした。彼らの愛は深く、絆は固く、朝から夫婦の営みを迎える二人は、これからもずっと幸せであり続けることを心から願っていました。


-結局、聖女らしい事は何もできませんでした!でも、ハッピーエンドなら良いよね?読者さん!-

本編終了です!!最後まで読んで下さった方ありがとうございます。後になろう小説の方にペルシカとヤードの物語や、悪役令嬢とキルエル・クラリアスの物語も書きたいと思っています。最新情報が知りたい方はお気に入り登録やブクマ、又はXフォロー等よろしくお願いします。後ほど、オマケやその後の話を追加する予定です。

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