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10 メディカの店で

読んで下さる皆様に、感謝いたします。

本当にありがとうございます。

 2人は、屋台で果実水と、肉と野菜がたっぷり挟まれたサンドウィッチを食べながら、広場のベンチに座っていた。

 

 「本当は、どこか店に入ろうと思ったんだが、もう1軒行かないといけない場所があるから、簡単な食事ですまない」


 「え?このサンドウィッチすごく美味しいですし、ここは風も吹いて涼しいので、私は嬉しいです。それよりも、2つのギルドで私の登録の為に、お金を使わせてしまって、済みません。これから、頑張ってお役に立てるように、働きます」


 「…そんな事は、弟子は気にしなくていいんだ。それよりも、俺は師匠と言っても、フルアを成長させられるような助言も出来ないし、行動もお粗末で……すまない、フルア。俺、フルアに目標って思ってもらえるような、師匠になれる様に、頑張るから……あぁ、今、情けない事を言ってしまったな。済まない」


 ウールスは、そう言ってフルアに頭を下げた。


 フルアは、驚いた。

 

 今まで、色々助けてもらい、弟子と言っても、何も出来ないフルアに、嫌な顔をせず、側にいてくれる。そんな人は、今まで自分の周りに居なかった…フルアにとって、ウールスは、尊敬に値する人なのだ。感謝しかないのだ。師匠が、落ち込んでいるのは、わかった。きっとフルアが、何もできないから、心配しているのを、咎められたからかもしれない…


 「師匠には、ずっと助けられているし、色々教えてもらってます。私、尊敬と感謝の気持ちでいっぱいなんです。情けないなんて、思った事、ありません。私、いっぱい頑張ります。師匠が、安心して私を見てられるように」


 「俺が、こんな事を言ったから、フルアは頑張りすぎるんだよな。ごめん、俺は俺の学ぶ事があり、フルアはフルアの学ぶ事があるってことか……フルア、一緒に成長していこう」


 ウールスは、フルアの頭を撫でながら、そう言った。


 気を取り直すように、「じゃあ、最後の1軒に行こう」そう言って、2人は手を繋いで次の店に向かった。



 『今まで俺は、何か有っても冷静に対処できると思っていたが…フルアと出会ってから、そうじゃ無い所もあるって知った。情けないとも思ったが、これも俺なんだって認めて、成長していこう。そう言えば……ばぁちゃんは、俺に薬草の事とか教えてくれる時には、あまり口出しせずに見守ってくれてたな。あれが、大切なんだって今ならわかる。ありがたかったんだ。俺が学んだ事を、フルアに渡さないとな…』


 ウールスが、何か考え事をしながら、歩いているのを見て、フルアは黙って歩調を合わせながら、歩いていた。

 どうすれば、自分を弟子にして良かったと、思って貰えるかを考えながら。





 小さな2階建ての店に着いた。

 

 ドアのプレートに、【薬屋 メディカの店】と、書いてある。


 「俺がガキの時から、薬草を卸させてもらってるんだ。ばぁちゃんの知り合いの娘さん…って言っても、俺よりかなり年上だけど…その人が、やってる店なんだ」


 ドアを開けると、カランとベルの音が響いた。


 「メディカさん、こんにちは。ウールスです」


 店の中に入ると、爽やかな香りが心地よく、癒される気持ちがした。


 「ウールス君、久しぶりね。薬草を持ってきてくれたの?助かるわ〜〜」

 そう言って、ニコニコしながらカウンターから、出てきた。

 

 「あら、可愛らしいお嬢さん。こんにちは。私は、メディカよ。この店の薬と化粧品は、私が作ってるの」

 

 「初めまして。フルアと言います。よろしくお願いします」


 「俺の弟子なんだ。よろしく頼みます」

 

 ウールスがそう言うと、メディカは大きく目を見開き、「まぁぁぁ、弟子を取るようになったのね。大きくなったのね…」そう、しみじみと答えた。


 ウールスは、苦笑いしながら、頭を下げた。


 ルーンに対する態度や、ギルドで出会った人達との話ぶりや対応とは違う、気安い話ぶりで、ウールスが信頼している人というのが、フルアには感じられた。

 メディカさんも、ウールスをとても可愛がっているように思えた。

  

 ふと、周りを見渡すと、棚は両端に有り、入って右側は薬、左側は化粧品となっているようだ。


 「興味があるなら、見てていいわよ〜〜」


 メディカにそう言ってもらえたので、右側からゆっくり見て回ることにした。


 棚は3段で、上段には、貼り薬数種、中段には、軟膏数種、下段には、飲み薬となっていた。

 値札の上に、何に効くのかもちゃんと記入してあるので、とてもわかりやすい。

 左側の棚は、2段になっている。上段に、手や顔に塗るオイルとクリーム。下段に、化粧水と粉と石鹸が置いてあった。こちらにも、値札の上に使い方が書いてあり、香りの記載もあった。


 「色々、あるでしょう。薬もなんだけど、化粧品は贅沢品だから、入れ物が小ぶりなのよ。作るのはいいけど、段々容器に入れるのが、大変になってきちゃってね…誰か、良い入れ物開発してくれないかしら。飲み薬や化粧水は、対のガラスの蓋があるから良いけど、他の物がね…誰かが、作ってくれるまで、昔ながらの入れ物に、入れるしかないんだけどね」


 メディカさんは、そう言って笑った。


 「そうだ、手と顔に塗るクリームを2種類新しく作ったの。香りも違うから、試して感想を教えて欲しいのよ。手は、水仕事の後、顔は、寝る前に塗るのが良いのよ」

 そう言いながら、木の器に木の蓋をして、その上に油紙を乗せて、紐で縛った。


 フルアは、輪ゴムが有れば簡単なのに…と思い、輪ゴムはお姉さんの世界の物だと気が付いた。

 コモヘルンデス国には、無かった。スビリジーナ国にはあるだろうか…師匠に尋ねよう、そう思っていた。


 「クリームって、フルアはまだ子どもなんだから、必要無いんじゃ…」


 「女が綺麗になる為の年齢は、関係ないのよ!子どもでも、大人でも、おばあさんでも、いつから始めても良いの!!!」


 メディカは、ウールスの言葉を遮って力説した。


 「お手入れは、早くからした方が、ずっと綺麗なままなんだから!」




 『女の人って大変だなぁ。俺、男で良かった…』と、思ったが、声に出す事は無かった。



《スビリジーナ国の化粧品事情》


話の中で、小さい頃から手入れをした方が良いとありますが、あくまでも、スビリジーナ国での話です。この国は、小さい子どもも水仕事なども手伝うので、荒れやすいのです。この世界の化粧品は、保湿程度(さっぱり保湿かコッテリ保湿)と、思いながら読んで頂けるとありがたいです。肌荒れも、日焼けも全て保湿でどうにかする大雑把なお国柄。でも、庶民にとっては、高価な材料も使われているので、贅沢品扱いです。薬ほどでは、無いのですが若干治癒魔法も添加されてるので、どうにかなってるのかもしれません。



最後まで読んでいただいた事、とても嬉しく思います。

ありがとうございます。


感謝しています。


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