第32話 何よりも巣作り
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ブリアンがこのルートに居たので、私は引き返して別の道に行く事にした。
色々と見なくて良い物も見た様な気はしたが、冒険者ランクAの実力を垣間見えたので、プラスマイナスで言えばプラスで終わったと思う。
アブサの能力なんて、私が幻術魔法を使えば見た目だけは再現可能だが、質量の伴った攻撃を見た限りは私に出来ない事が沢山あって、少し嫉妬を感じる。
まぁ魔法なんて人それぞれ、才能で多種多様に存在するので、私は幻術魔法の可能性を模索し続けるしかないので、嫉妬するだけ時間の無駄なのだが、人間の感情は無い物ねだりしてしまうのだから仕方ない。
私は来た道を戻り、先ほどの別れ道に着いた。
さっきの木の枝が落ちていたので、足で左方向の道に向ける。
この行為には何の意味も無い、ただ子供の頃にもこうやって道を間違えるたびに、間違ってない風をよそおい自分のよく分からないプライドを守っていた。
その時に比べたらいろんな事を経験して身も心も大きくなったつもりだが、根本的な考え方はあまり変わって無い事に失笑してしまった。
左方向の道を進んで行き、しばらくして、リヤカーを隠すには良さそうな茂みを発見したので、そこにリヤカーを置き、また幻術魔法を掛けて隠して置く。
蜘蛛モンスターのスレッドを探す為に、身軽になる必要があった。
だいぶ奥まで来ているので、そろそろスレッドに遭遇しても良さそうだが、道なりには居なさそうなので、道から外れて探す事にしたのだ。
そして糸を出す蜘蛛なら、高いところに居るのでは無いかと思い、木々に警戒して進めば良いだろうと考えたが、それならいっそのこと、木々に登って木々伝えに移動すれば見つけやすいかもと思った。
そしてその考えは当たっていたらしく、少し進んだ先に蜘蛛が木の枝に居るのを見つけた。
スレッドは体長1メートル程の大きさで、普通に前世で見かけたなら、鳥肌物で卒倒する者が続出した事だろう。
スレッドをそのまま気付かれない内に切り倒してしまおうと、武器の柄を握るが、まだまだモンスター経験の足りない私は、初対面の敵とは正面から戦うと考えていた事を思い出し、嫌悪感を払拭しようと、殺してしまおうと言う衝動を抑えて、スレッドの前に姿を見せる。
スレッドは木々を使い糸を張り巡らせてネット状の巣を作っている。
自分自身はその張り巡らされた巣の中央で身構えて居た。
あの巣に向かって無策で飛び込むのは無謀だと思い、私はまずは巣を破壊しようと、糸目掛けて切り掛かろうとしたところで、スレッドは私目掛けて糸を吐き掛けた。
それに気付いた私はすんでのところで避ける事に成功した。
吐き掛けた糸は落ちていた石に命中し、そのまま石を糸で引っ張り、自分の口元に持って行くと糸でぐるぐる巻きにして巣に貼り付けている。
顔を見ても表情が分からないので、何を考えているかは分からないが、どうもお前もこうなるんだぞと格下扱いされている気分になる。
「そうやって上から踏ん反り返って、私を見てられるのも今のうちだぞ!」
私の様子を見ながら、お前の攻撃なんて簡単に対処してやるよと言わんばかりに動きが無いので、私はもう一度巣に向かって行く。
そしてスレッドは先程と同じ様に糸を吐き掛けて来るが、来ると分かっている攻撃など、簡単に避けられる。
そして、今度は木の枝を糸で引っ掛けて口元に運んでいる。
こいつは毎回毎回口元に物を持って行くのだろうか、目で私を確認出来ているはずだが、食べられる物かどうかを、目では理解出来ないのかもしれない。
だがそんな悠長な事をしていたら当然、私はその隙を逃すわけも無く剣で糸に切り掛かる。
だが糸は思ったよりも柔軟で、剣で切り掛かっても切れる事は無かった。
しかも、そのまま巣に剣が引っ付いてしまい、力を入れても中々取れない。
もがいているとスレッドはまた、私目掛けて糸を吐き掛けて来たので、私は剣を諦めて、その場から後方に飛んで避ける。
さて、攻撃手段が無くなってしまったので、どうした物かと考えていたが、どうもスレッドは一定距離離れたら攻撃をして来ない様で、私を見ては居るが動きは無い。
とりあえず剣を取り戻す為に、私は解体用ナイフを取り出した。
このナイフはミスリルの解体用ナイフなので、私が今使っているブロードソードなんかよりも、遥かに切れ味が良いはずだ。
それにミスリルナイフなら魔力も通せるので、さらに切れ味が上がる。
ちなみにブロードソードにも魔力を通そうとしたが上手く通らなかったのと、無理矢理通そうとするとブロードソードが壊れてしまいそうで、怖かったので諦める事にした。
ミスリルナイフで蜘蛛を直接攻撃するには射程が短か過ぎるので、あくまでもこれはブロードソードを取り戻す為に使用する。
蜘蛛の糸なら素材みたいなもんなんだから、ドラゴンさえも死んでいたら解体出来るナイフだ、蜘蛛の糸なんかには負けないだろう。
そうして、もう一度仕切り直して再度巣に向かって駆け出す。
隙を作る為に巣の近くで糸攻撃を待ち、来たところを同じ様に避ける。
そしてその隙にブロードソードに付いている糸を、ミスリルナイフで切り剥がしていく。
ミスリルナイフは、その名に負けずあっさりスレッドの糸を切ってしまう。
そうして、ブロードソードを取り返した私は、ブロードソード即座にしまい、あまりにも簡単に糸が切れてしまったので、予定を変更してミスリルナイフで巣の破壊もついでに行う。
木々に付いている糸を、ミスリルナイフで切ってはスレッドからの糸攻撃を避けていると、スレッドは私が先程から切っている巣の糸を、補修しに向かって行った。
巣は口で吐くだけの糸では出来ないのか、スレッドなりのこだわりがあるのか分からないが、薄々気付いていた事実が確信に変わる。
どうやらスレッドは相当頭が悪いらしい、私に切られた糸を補修しても、また私が切るので私の方が早く目的は達せられる。
それが分かれば普通は、先に私を倒そうと考えると思うのだが、スレッドはあまり多くの事は考えられないのだろう。
あっ動く物体がいるから糸を吐こう、あっ巣が壊れてるから作り直そう。
そんな感じに一つ一つの事しか頭に浮かばないのだろう。
こいつは完全に待ち伏せだけで餌を得ている様だ。
だから巣が壊れたら巣から直そうと優先するのだろう。
どうにもつまらない戦いになってしまったが、とりあえず決着はつける。
全ての糸を切り、巣を破壊するとスレッドは地面に落ちた、それも逆さまに落ちてしまった。
地面に仰向けになり、スレッドはジタバタとしている、どうやら仰向けの状態からひっくり返る事が出来ない様だ。
なんともつまらない幕引きとなってしまったが、私はブロードソードを手に持ち、不様な姿を晒しているスレッドの頭を叩き潰した。
本来の使用用途であるのを思い出した、解体用のミスリルナイフを手に持ち、スレッドの解体を行う。
普通の女子なら悲鳴物だろうが、私はこの程度の事は余裕でこなせる。
スレッドの内蔵器官をさばくり、これかなって言うのを見つけたのでそれを剥ぎ取る。
スレッドの糸袋であり、この糸袋からは上質な糸が手に入り、その糸を使って服などを作ったりと様々な用途に使用されるので重用されている。
私はこの後も、しばらくはスレッド狩りを行う事にする。
糸袋は金になるので、あと数個は手に入れようと思ったからだ。
まぁ戦闘は十分だと思ったので、次からは戦うわずしてスレッドを殺して行こうと思う。
正直面倒くさいので、もうまともに戦うのは避けたいからだ。
特に、戦闘IQの低いモンスター程つまらない戦いは無いのだと今回実感した。
さっさとこの辺りにいるスレッドを倒したら、次は蛇モンスターのアミノサと戦う。
アミノサもブリアン達パーティーが戦っているのを見たので、なんとなく戦闘の仕方は分かっているが、蛇の動きと言うのも中々慣れるのに時間がかかりそうではあった。
手足のある生き物に取って蛇の動きは、余りにも不自然に感じてしまう。
それを今回は存分に体験しようと思っている。
この物語は異世界の話しでありパラレルワールドの話しです。
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