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青き馬、同世代の牝馬の動きを見る

サブタイトルがそれなのにメインは天皇賞…

~天皇賞春当日~

そしていよいよ…マジソンが天皇賞春の2連覇をかけた日がやって来た。


これまで天皇賞春の2連覇を達成している馬はメジロマックイーン、アイグリーンスキー、テイエムオペラオー、シンキングアルザオ、フェノーメノの5頭と三冠馬の数よりも少ない…と言うのも残念なことに、かつて天皇賞は勝ち抜け制度(天皇賞を勝った馬は2度と参加することはできないというルール)があり2連覇は出来ないようになっていたのだ。だがそれをやめて現在のように天皇賞春の2連覇馬が複数頭いると言うわけだ。


しかし近年…それも日本ではステイヤーの馬よりもスプリンターの馬が好まれるので長距離である天皇賞春のみを勝ち鞍にしている馬は他のGⅠ馬よりも冷遇されやすい…


風間の考えでは逆にそのようにしているとスプリンターの馬が生まれ過ぎて、馬なのにスタミナ不足になると考えている為なるべくステイヤーの馬を産ませようとしている…


では何故ボルトはそんな血統を好んでいる風間牧場から産まれたにも関わらず当初距離不足と判断されていたのか?それは…胴の長さと脚の長さの比が関係している。


ボルトは脚が長く、スタミナが長く続くステイヤーよりもかなりスピード重視のスプリンター寄りの体格だったからだ。血統面などを配慮してもせいぜい2500m前後が限界と感じるのは無理なかった。


話は逸れたが要するにグランプリである宝塚記念と有馬記念…海外勢が集まるJC、そしてマイル路線からやってくる天皇賞秋…近年の春の天皇賞はそれらに比べるとどうしても低レベルになってしまうのは仕方ないと言える。


【3枠5番、同レース2連覇に向けて快速のレコードを叩きだし絶好調、本日1番人気のマジソンティーケイ!単勝オッズは1.2倍!】

『先輩~っ!頑張って!』

『ミドル…少しは自重しろ。』


【5枠10番、前走快勝。去年の菊花賞馬が長距離の王者に挑む!現在2番人気クラビウス、単勝オッズは5.5倍です。】

『単勝オッズが酷いな…それだけマジソンが強いのか?』

『ボルト、それは当たり前でしょ?だってあの先輩は長距離の絶対王者なんだよ!』


【6枠11番、一昨年のダービー馬が天皇賞連覇達成するか?現在3番人気ラストダンジョン。単勝オッズ8.9倍です。】

『前走の敗北と距離適性が原因か…陣営は何を考えているんだ?』

『確かにね…』


【さあ春の盾を奪うのは誰だ…いよいよ今年の古馬中長距離GⅠ初めてのスタートです…各馬一斉にスタート!】

『…少し飛ばして見てみたいもんだが…まあ仕方ないか。』

『あっ、先輩が一番手に出た。』

『元々マジソンは逃げや先行を得意とする馬だしな。有力馬二頭が末脚勝負となるとペースを握った方が断然有利…』

『なるほど…』


【さあ、現在マジソンが馬群から5馬身ほど差をつけた。これはちょっと飛ばし過ぎじゃないか?】

『先輩らしくないわね…こんなミスをするなんて…』

『いやそんなに飛ばしてはいない。むしろスローペースなくらいだ。俺があの場にいたらマジソンよりも前にいなきゃ勝てない。』


【さあマジソンティーケイが1000mを通過しました。そのペースは1分4秒…超スローペースです!これは遅い!】

『な?言っただろ?こいつらマジソンのレースを何回も見ているくせに何でスローペースになるかね?』

『ダンジョンとクラビウスよ…あの二頭が意識しあって他の馬もそれを気にしている。二頭はともかく他の馬は先輩なんかまるで眼中にないみたいだわ。』

『一番人気がノーマークって…ただの馬鹿じゃないか?』

『いや逆よ…あの二頭が動けば他の馬達は動く…本当にペースを握っているのはあの二頭…先輩は自分をマークしている先行馬達を潰しているにしか過ぎないわ。』


【さあ、直線に入り、現在先頭はマジソンティーケイ、クラビウスとダンジョンをはじめとした差し馬達がグイグイと来ている。先行馬はマジソン以外はもうダメか?】

『確かにそうだったな…しかし、マジソンは規格外に強い…少なくとも阪神大賞典からさらにレベルアップしているはずだ。』

【マジソン先頭!5馬身以上のリードを保てるか!?しかしクラビウスが来た!クラビウスがすごい脚だ!ダンジョンも伸びる!その差は2馬身まで縮まった!】

『先輩!頑張って!!』


【しかしマジソン1馬身半のリードをつけて1着でゴールイン!天皇賞春2連覇達成!この馬に長距離で敵う者はいない!!】

『長距離になるとやっぱり強えな…マジソン。』

『先輩やった~!!』


ボルトはテレビを消した。


『そう言えばミドル…お前の走り見てなかったな。今度見せてくれないか?』

ボルトがそんな事を言い出し、ミドルの話題を持ち込んだ。

『じゃあ明日見せる代わりに、ボルトも見せてよ…』

ミドルもボルトの走りが気になっていた…というのはミドルとボルトのトレーニングは明らかに違う。ミドルは3歳牝馬の軽めの調教だとするならばボルトのはもはや拷問だ。次に走る歴戦の古馬と同じ距離を一度走り、そのまま古馬と走って勝負根性をつけるといった事をやっているのだ。


『わかった。だけどあまり面白いものじゃないぞ?』

『こっちほど面白くないものはないわよ?』

二頭はそんな話をして一日を過ごし…翌日。


『それじゃ、行くわよ。』

ミドルが走ると同じ風間牧場の牝馬と併せ馬をした。

『ん…?あの馬は確か去年のオークスと秋華賞を勝ったガールズハートじゃないか?風間牧場にいたのか…』

ボルトはミドルと共に走っているのがGⅠ馬だと知り、多少驚く…

『…さすが牝馬二冠馬、2歳牝馬には負けないってか?』

ミドルの走りがあまりにも普通だったので違う方向へとその目は向いてしまった。

『カーブで追いついたか…あん?』

ボルトはミドルの異変に気がついた…

『手前を変えていない…?』

そう手前を変えていないのだ。手前を変えないと疲れが出てきてしまい、スタミナ切れを起こすのだ。これが原因で勝てない馬もいる。だが七冠馬シンボリルドルフは手前をギリギリまで変えずに我慢した。ミドルはそのタイプだったのだ。

『ようやく変えたか…』

そして直線に入るとミドルは手前を変えて、ストライドも変わりスピードが段違いに上がってガールズハートを抜いた。

『おいおい…これって…!?』

ボルトが驚くのは無理なかった…ミドルの今の走りはまるで現役時代のディープインパクトが走っていたかのように見えたからだ。


『ブエナビスタかよ…』

ブエナビスタ…その馬は女版ディープと呼ばれる豪脚を持ち、阪神JFでは直線のみで最後方から全ての馬を抜き去った伝説がある。ボルトのミドルに対する評価はブエナビスタ級だと判断された。


『さ、今度はボルトの番よ!』

ミドルが近づき、ボルトにそういった。

『仕方ない…俺も適当なGⅠ馬でも見つけるか…あいつが良いか。』

その馬は現在短距離王と呼ばれるマークファンライスだ。この馬はダイワメジャー産駒の馬で風間牧場生まれではないのだが…休養でここに来ていたのだ。風間はSS系は嫌いだがあくまで自分の所有する馬たちの中にSS系の血が入っていると我慢ならないだけなので風間牧場にSS系の馬がいること事態はそんなには問題にはしていない。


ボルトはマークファンライスと並び並走した。当然ながらマークファンライスはボルトを意識し始め…差をつけようとするが…ボルトにはなんの問題もなかった。むしろ抜き去り、1200mを走って帰ってきた。


『こんなもんだろ…』

ボルトは短距離馬相手に圧倒的なスピードで抜かした…それはスピードが段違いに違うということだ。先ほども述べたがボルトは脚が長い…それ故にスプリンターの体型である。だがあまりにもボルトのスタミナがあり過ぎて短距離馬とは言えないのだ。言って見ればボルトは史上最強の短距離馬の全力よりも少し遅いペースで長距離を走れる馬なのだ…

『…』

ミドルはそれに唖然とするしかなかった。

『どうした?』

『持っている素質がこんなに違うと羨ましいって思う気持ちになったのは初めてよ…』

ミドルは呆れてそう言った。


〜とあるスポーツ新聞社〜

その頃、スポーツ新聞社では…

「やっぱ、競馬部門にはマオウしか載せる記事ね〜よな…全く…」

一人の男がそう呟くと周りは賛同した…

「そうですか?私は色々と書くことがあるとは思いますけど…」

美人の女性記者がそういうがベテランの記者達は相手にしなかった…

「どうせ古馬路線のマジソンだろ?レイトは海外に行っているし、ダンジョン、クラビウスも中距離ならともかく長距離じゃそんなに強くねえ…宝塚は混戦ってもう書いてあるぞ?」

「いや皐月賞馬リセットじゃないか?関係者だとダービーにも出るって聞きましたし…」

「あのな…来週のGⅠはなんだ?NHKマイルカップだぞ?その有力馬がマグレの弥生賞馬トーマってどういうことだ?今書ける事って言ったらマオウの記事かNHKマイルカップの記事しかねーんだよ…マジソンについてはもうコメント済みだしな?」

「ええ…あとはNHKマイルカップの記事を書けば終わりですよ。」


「ではマオウに対抗出来うる馬がいることはご存知ですか?」

「長距離限定ならマジソンくらいしかいねーよ。中距離じゃレイトでもキツいかもな…」

「いえ、マオウに対抗出来うる馬はその二頭ではありません…マオウに対抗出来る馬を知っているので取材しに行ってもよろしいでしょうか?」

「まあ、今新人のお前がいなくなったところで困らないし、新聞の記事が埋まるなら行ってこい。」

「了解しました。」

数日後風間牧場に新聞記者がやってくることは誰も予想がつかなかった…

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