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青き馬の出会い

~3月5週~

『ぬぉぉぉぉお!』

ボルトは牧場の坂路施設を使いトレーニングを行っていた…

「凄いな…ボルト。あれだけの力を秘めているのか…」

牧場長がそう言ってボルトを褒める。

「ん?雨か…?いかんな…」

しかし途中で雨が降り牧場長はボルトを始めとした馬達を馬房へ入れた。


『チッ…ついていない…』

ボルトはそう言わざるを得なかった…せっかくトレーニングをしていたのに雨によって水を差されて機嫌が悪くなっていた。


『ねえ、貴方…』

ボルトの馬房の隣にいた牝馬が声をかけて来た。

『ん?お前は?』

ボルトは自分やマジソン、そしてグリーン以外で話せる馬がいることに驚いた…

『嫌ね…同世代の牝馬ミドルテンポよ…知っているでしょ?』

これまで牝馬ことミドルはボルトの練習に少しでも着いて行こうとしたがボルトの練習量は多過ぎて着いていけなかった…その為ボルトのことが気になっていたのだ。

『知らん。』

しかしボルトは彼女のことを知らない…何故ならいつものボルトの相手は自分よりも年上の馬ばかりで同世代など覚える必要などなかったからだ。

『ええっ!?この牧場で同世代達のなかでは貴方を除けば1番速いのよ!!武田先生も私のことを褒めていたのよ!』

ミドルはボルトの練習量に着いて行く為に努力もした…その結果同世代の中ではボルトを除いて1番速くなり、喋れるまでに成長したのだ。

『知らん者は知らん…』

しかしボルトはそんなことを言われても知らないものは知らない…それ故の言葉だった。

『もーっ!!意地悪っ!』

ミドルは拗ねてそっぽ向いてしまった。

『だが…同世代に喋れる相手がいるというのは悪くないぜ。』

ボルトはそう言ってボルトなりにミドルを励まそうとした。

『ホント?』

ミドルはボルトの言ったことに少し元気出した。

『ああ…だから元気出せミドル。』

『うん!』


『そういえば、お前の血統はどうなんだ?』

『血統?お父さんは皐月賞馬カノープス、お母さんは未出走のオルガンフジンだよ。』

『じゃあ先祖にアイヴィグリーンって馬はいるか?』

『えっと…お父さんのお父さんのお父さんのお母さんがそんな名前だった気がする!』

『(やっぱりか…)そうか。すまないなそんなことを聞いて。』

『ううん…気にしないで!』


『それじゃテレビでも見るか』

ボルトは馬房に取り付けられたテレビのスイッチをつけた。


するとテレビに映っていたのはドバイの中継だった。

『なんだこりゃ…』

というのもドバイでとある日本馬が話題になっていたからである。

『こいつは確か…有馬のドラグーンレイトだったけか?遠征していたのか…』

そう…去年の変則三冠馬かつ有馬記念馬ドラグーンレイトだ。

ドラグーンレイトは去年キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドS、凱旋門賞、BCターフの3レースで全て2着という結果に終わったが全て1着は無敗のまま引退したウィンアップという馬だった。…つまり現在ドラグーンレイトは世界最強馬として知られているということになる。


有馬記念で二番人気になったのは調整失敗、騎手の乗り替わりなどの不安要素が多かったからだ。だが今回はその心配もない。今回は万全の状態でレースに臨むことが出来るが故に最有力候補に上げられたのだ。


「さて…行くぞ!レイト!」

ドラグーンレイトの主戦騎手の織田信義がレイトに声をかけ騎乗した。


【さあドバイシーマクラシックの本馬場入場です…】


ドバイシーマクラシックとはステイゴールドが当時の世界最強馬ファンタスティックライトに勝ったレースである。


ファンタスティックライトは2000年、2001年のワールドシリーズ・レーシング・チャンピオンシップ総合優勝、2001年カルティエ賞年度代表馬及び最優秀古馬、エクリプス賞最優秀芝古馬に輝いた名馬である


しかし日本での評価は


テイエムオペラオー>歴史的名馬の壁>ステイゴールド≧ファンタスティックライト


となってしまう。


これには理由がある。ファンタスティックライトは余裕とも言えるレースで遥かに格下であるステイゴールドに負けたからだ…しかもホーム(馬自身が所属している国)であるUAEのドバイで。


海外遠征は基本的に力を発揮出来なくなる。しかしホームとなれば力を発揮できる。ステイゴールドは前者なのに対し、ファンタスティックライトは後者である…つまり力を発揮出来たファンタスティックライトは力を発揮出来なかったステイゴールドに負けたということになる。

これがJCの舞台である日本ならば立場は逆転し負けても仕方ない(事実二頭を除いた凱旋門賞馬がJCに優勝していない)と言えるが…ホームで負けるのはあまりよろしくない。故に成績面はともかく素質のみでいえばステイゴールドはファンタスティックライトに勝ると言えよう。


しかしそんな歴史もあるが残念なことに日本以外では大して有名ではない上に欧州の競馬場とは違い作られた競馬場であることから日本馬やドバイの馬が有利になりやすく海外の有力馬は集まらない。ドラグーンレイトが最有力候補されてもおかしくないというものだ。


【さあ各馬ゲートインしました…ドバイシーマクラシックスタート!】

『そういえばこのレースって何mなんだ?…12ハロンだったから…1ハロンで約200mと換算すると…約2400mか。』

もう少し正確にいうならば2410mである。

『へえ~計算も出来るんだ!』

ミドルはボルトが計算することに驚く…というのも馬…それも競走馬である以上はそう言った教育が必要ないからだ。

『ん?そりゃ勝つ為には覚えるだろ?』

実際には前世の恩恵なのだがいう必要もないので適当にごまかした。

『じゃあ今度暇な時教えてよ!』

ミドルはそう言ってボルトに計算を師事することを頼んだ。

『暇な時な…』

ボルトも教えても別に悪くないと思い、暇な時に教えることにした。


【さあ単独で逃げるのはこの馬、ドラグーンレイト、1番人気の評価に答えられるでしょうか?】

レイトはとにかくサイレンススズカのように逃げ、しばらくすると…

【ドラグーンレイト、二番手の位置からすでに10馬身以上の差が開き、直線に入りました!これから、これから、これから!ドラグーンレイト強い!更に差を開く!そして何と12馬身差をつけてドラグーンレイト1着で世界レコードです!2分22秒3!】

内容は完勝、そして世界レコードを塗り替えるという記録だった。

『凄~い!!ねえ見た!?あの馬!!あんなに大差をつけて勝っちゃったよ!』

ミドルは大興奮、ボルトにそう言って騒ぐ…

『2分22秒3か…(確かJCでアルカセットが出した記録が2分22秒1…遠征補正も含めて考えると)凄えな。』

こうしてドバイシーマクラシックはボルトも感心してしまうほどのレースで終わった…

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