青き馬、春の重賞レースを見る
~数週後~
ボルトは馬房でとあるレースを見ていた…それは三歳クラシックの本命を占うには欠かせないレース…弥生賞だった。これまで無敗の三冠馬達の二頭…シンボリルドルフ、ディープインパクトもこのレースを勝ってきたのだ。
『今年はどんなレースになるんだ?』
【一番人気は二歳王者ベネチアライト!朝日杯で7馬身差で勝ったことがやはり人気の理由でしょう…】
『マオウに負けた奴が何を言っているんだか…このレースは雑魚ばかりだな。』
【さあ、レースが始まりました。ベネチアライトがすーっと行きまして、逃げます、とにかく逃げます!そしてそれに続いて3頭の馬が並び…今併走した!】
『…いくらなんでもこれは速すぎる!!』
ボルトはベネチアライトの異変に気がついた。
「オウナ!」
ボルトは思わずカタコトとはいえ日本語で怒鳴り止めさせようとするがテレビに怒鳴っても無駄である。
【さあ、ベネチアが先頭で…あ~っ!?ベネチア故障発生!】
ベネチアライトが故障を発生すると、他の馬もそれにつられ…
【そしてその他の馬も故障!とにかく故障!なんということだ!出走馬4頭が故障発生!】
「イワンコッチャナイ!」
ベネチアライトのバカペースに釣られ、他の馬達も故障してしまったのだ。
【し、史上最悪の弥生賞を制したのは8番人気のトーマ!トーマが制しました…】
『一体何が原因なんだ…?あの中には上位リーディングの騎手の野郎が騎乗しているんだ。一頭だけならともかくあんなに故障するのは初めてみた…』
【ベネチアライト騎乗の柴又騎手が出てきました…一体何があったのでしょうか?】
「マオウだ…あいつのせいでベネチアライトは潰された。ベネチアライトはマオウに負けた。あまりにもショックがデカく暴走してしまったんだ。」
【マオウと言いますと…カルシオ18のことですね。】
「ええ…あいつは化け物ですよ。おかげでベネチアライトはもう暴走することしか出来なくなってしまった…今回の弥生賞で暴走しないかどうか確かめるためにこのレースに出したんです…がご覧の有様です。ご迷惑をかけて申し訳ありません…」
【では何故他の馬が故障したと考えられますか?】
「ベネチアライトをマークし、それについて行こうと考えたからだと思います…ベネチアライトは二歳王者ですから…」
そう言って騎手こと柴又はその場を立ち去った…
『あんな騎手乗せなくて正解だったな。』
ボルトがそう思うのは無理なかった。柴又を乗せたら自分も故障する可能性も高くなるから乗せたがらない…そのようにして騎手の稼ぎは減っていく。騎手も信頼が大切だということだ。
~二週間後~
そしてそれから二週間が経ち…マジソンのレース…阪神大賞典のレースのパドックだ。
【1枠1番、一番人気はこの馬だ!長距離の絶対王者…マジソンティーケイ!】
『マジソン…キーストンやベネチアライトの二の舞にならないでくれよ…』
【3枠5番マジソンの最大のライバル、ラストダンジョン!一昨年のダービー馬の末脚が魔術師に届くのでしょうか?現在二番人気です!】
『橘が騎乗するんだったよな…この馬。』
【さあ、各馬ゲートインして…阪神大賞典スタート!前走有馬記念で鼻差の2着と連対に入っているマジソンティーケイですが現在二番手から5馬身離れて先頭を走っています。一方有馬記念で3馬身差の3着とマジソンに遅れをとったラストダンジョン。今回果たして勝てるのでしょうか?現在最後方にいます…】
【マジソンが他の馬をさらに突き放し7馬身差をつけたところで1000mを通過!通過タイムは1分1秒…これは遅い!超スローペースだ!各馬マジソンに詰め寄り…抜いた!いやラストダンジョンはマジソンとの距離をある程度残した!1500mを通過したところで先頭はタルトセイチ!】
『おかしい…速すぎる。故障発生までとはいかないが…相当ヤバイ。』
ボルトは違和感に気がついた…1000mのラップは1分2秒であるのに1500mのラップは1分27秒台…つまり差し引いた500mをマジソン以外の馬は25秒よりも速く走っている計算になる。つまりかなり速いペースで走っていることになるのだ。
【さあ最後の直線だ!タルトセイチが先頭!このまま押し切るか?いや…マジソンとダンジョンが来ている!やはりこの2強だ!】
『末脚勝負となればダンジョンの方が有利だ…マジソンはどう覆す?』
【おっと!?ダンジョンのいつもの末脚がない!】
唯一作戦に引っかかなかったダンジョンも全く影響しなかった訳ではなく多少ペースが上がっていた。ただそれだけならマジソンを抜くのには問題はなかった…問題はボルトに敗れて以来マジソンも脚を鍛えて来たのだ…ボルトがグリーンに負けたように…
【圧勝、マジソンティーケイ!マジソンティーケイ1着!2着にラストダンジョン…そして大差をつけてタルトセイチ3着!】
その後、マジソンティーケイはトーホウジャッカルが出した公式の世界レコードを更新したことがわかり確実に強くなっていることが分かった。
『マジソン流石だな。にしても橘騎乗のダンジョンも相当強いな…マジソンがパワーアップしていなかったら負けていたぜ…』
ボルトはマジソンに敬意を払うとともに橘がいかに優秀な騎手か考えさせられた…




