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---始まりの街ファースト
「ほぅ。ここが開始地点か。しかし、安直な名前だな」
良人は独り言ちながら周囲を見渡す。ここは中央広場のようで、真ん中に噴水となんだか不自然な石のアーチがあった。他にもプレイヤーが沢山いて、ふと、その一部に目がいった。
「うおっ、なんだ?歩けねぇぞっ」
体がガチガチに固まったような人がいたり、
「う、うわぁぁっ」
ドシャーンと、超高速で壁に衝突する人がいたり、
「はぁ…はぁ…はぁ…」
少し動いただけで息が上がっている人がいた。
「なるほどな。俺の考えはあながち間違ってる訳ではなかったってことか」
どうやら、極振りかどうかはわからないが、初期ステータスでSTRに大きく振ったり、AGIに大きく振ったり、VITにあまり振らなかった人たちだろうと良人は予測した。
「さてと、まずはいろいろ確認から始めますか」
良人はこの先することをリストアップし始めた。街の地理の確認や街の外の情報、持ち物チェックなど、いろいろ確認しなければいけないことが多い。何せ、説明が少なすぎるのだ。情報収集は一番大事だろう。
「よし、とりあえず持ち物チェックからするか」
良人はウインドウ画面を呼び出した。すると目の前に、マップ、アイテム、装備、ステータス、スキル、称号、と横長の四角い枠にそれぞれの文字が書かれていて、その枠が縦に並んでいた。良人はその中からアイテムのパネルに指で触れた。すると、15×15マスで何も埋まっていないウインドウが開いた。そしてその下には、500Gと書いてある欄がある。
「なるほど。アイテムボックスあり、と。これだけあればとりあえずは困らなさそうだ。気になるのは上限だが…、まぁそれはおいおいでいいか。その下にあるのは現在の所持金だろう。単位はゴールドか」
次に気になったマップを開いた。すると真っ白な画面が目の前に出てきた。いや、正確には中心に青い丸印があり、その周りだけは少し埋まっていた。
「ほぅ。街のマップすらも自分で埋めろ、と。面倒だが面白い。こりゃあ本当に飽きないな」
どうやら、自分の目で確認できる範囲じゃないと、たとえ街でさえマッピングされないらしい。まぁ、自分で書く必要がない分マシだろうと良人は思った。次に装備を開いてみると、短剣、普通の服、普通のズボン、普通の靴、と4行の文字が書かれていただけだった。それぞれの文字をタッチすると短い説明が出てくるだけ。他には何もなかった。
「随分とシンプルだな。何かありそうだが、今は置いておくか」
訝しみつつも、良人は残りのステータス、スキル、称号を確認したが、それらは初期設定のときの何ら変わりなかったので割愛する。
「さて、身体検査も終わったし、街を歩き回ってマッピングしつつ情報を集めるかな」
良人はそう言ってワクワクしながら歩き始めた。
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「ふぅ。とりあえずはこんなものでいいだろう」
良人は息を吐きつつ元の場所に戻ってきてベンチに腰掛け、手元のメモ帳に目を落とした。この街は始まりの街だけあって、そこそこ大きい。東西南北に門が1つずつ、計4つあって、それぞれメインストリートが、この中央広場にまっすぐ伸びている。良人は身体検査を終えた後、まず始めに目に付いた大きい建物の中に入った。そこは冒険者ギルドのようで、正面に受付窓口が10箇所くらいあり、右側にはテーブルやイスのある空間、その奥の壁には、何枚もの紙が貼られた掲示板があった。左側にはアイテムの売買カウンターがあり、冒険に必要最低限のものが買えたり、敵のドロップした素材を買い取ったりしてくれるようだ。俺は正面にある受付の1つへ向かった。
「本日はどのようなご用件でしょうか」
受付の人は妙齢の女性で、笑顔で俺を出迎えてくれた。
「こんにちは。ヨッシーといいます。この世界に来たのは今日が初めてでわからないことがいろいろありまして、聞きたいことがたくさんあるんです」
「私にわかる範囲でよろしければお答えしますよ。私はエリカと申します」
俺は3、40分、彼女を質問攻めにした。10分ほど過ぎたところで、エリカさんは筆記具とメモ帳を渡してくれた。後で道具をそろえてまとめようと思っていたので非常に助かる。彼女は最後まで笑顔で接してくれて、接客の鑑だった。
「ありがとうございました。では、失礼します」
「はい、どういたしまして。お気をつけて」
これからここへ来たときはエリカさんのところに行こうかなと思いつつギルドを出た。そして今に至る。大体知りたいことはわかった。どうやらこの街の地図は道具屋で買えるらしい。では、街をマッピングする必要はないのかと思ったが、市販の地図はとてもシンプルなので細かい路地のこととかはあまり書かれてないそうだ。なので、そういう情報は自分で書き加えていく必要がある。
「さて、次は道具屋で地図と、ついでにポーションとか必要なものを買い込みますかね」
俺は立ち上がり、未だ喚いているプレイヤーたちを横目に歩き出した。もう少ししたらそういうプレイヤーもいなくなるだろう。
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――カランカラーン
片開きのドアを押すと子気味いいドアベルの音が響く。
「いらっしゃい」
優しい声がカウンターの方から聞こててきた。人当たりの良さそうなメガネをかけたお兄さんが店主のようだ。20代後半くらいかな。
「すいません。この街の地図とポーションが欲しいんですけど」
「はいよ。ポーションはどれがいいかな?」
「ポーションに種類があるんですか?」
「君、この世界に来たのは初めてかい?なら教えてあげるよ。」
どうやらポーションには、ヒットポイントを回復するHPポーションとマジックポイントを回復するMPポーションがあり、それぞれ回復量の多い方から1〜10等級となっているそうだ。しかし、この店で扱っているのは7〜10等級のみらしい。まぁ、始まりの街だし、そんなものだろう
「なら、10等級HP・MPポーションを5個づつで」
様子見だしこんなものでいいだろう。
「この街の地図と各10等級ポーションを5個づつですね。地図が200G、ポーション1つが30G×10個で300G、合計で500Gです」
うおっ。所持金ギリギリだ。それと、どうやらお金の単位は"ゴールド"ではなく"ゴルド"らしい。ぶっちゃけどっちでもいいが。しかし、どうやって払えばいいんだ?
「あのー、どうやって払えばいいんですか?」
「あ、そういえば君は来たばかりだったね。ええと、支払い方法は2通りあるんだけど、1つは硬貨で渡す方法で、手持ちのGを硬貨にするのはアイテムウインドウの所持金の所をタッチすれば、硬貨にする金額を入力できるよ。もう1つは、これに手をかざす方法」
と言って、お兄さんは四角くて薄い箱みたいなものを指し示した。
「これに手をかざせば自動的に、所持金から代金分が引き落とされるようになってるよ」
へぇ、便利だな。俺はそう思いながらそれに手をかざす。するとチャリーンという音が鳴った。
「この音が鳴れば、無事にお会計が終了した証だよ。もし所持金が不足していたりしたら、"ブブッ"って音がなるようになってる」
「なるほど。よくできてますね」
俺は正直な感想をもらした。
「今回は説明を含め、ありがとうございました」
「いえいえ。全然大丈夫ですよ。初めては誰にだってあるし。また来てね」
「はい、また来ます」
俺はを言って道具屋を後にした。
「これで準備はバッチリ。所持金も0Gになったし、狩りに行くとしますか。スキルとかもいろいろ試さないといけないしな」
俺は、さっき買って更新されたマップを開いて、ここから一番近い東門に足を進めた。
次回、戦闘です。




