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初投稿です。
私もこういうジャンルが好きで読んでいて、自分でも書きたくなりました。
よろしくお願いします。
4月1日、昔はその日をエイプリルフールといって、年に一度嘘をついても許される日だとかいう風習があったらしいが、それは現在では廃れてしまっていて、特別な事なんてなんでもない普通の1日である。だが今日、2316年の4月1日は、特定の人たちにとっては特別な日---今話題のゲームクリエイターである吾郷大介が手掛ける"Parallel World Online"のサービス開始日---なのである。因みに俺、荒井良人も特別な人たちの中の一人である。今年で高校二年生になり、一年の頃は成績優秀で運動もでき顔もそこそこで…と、そこまで聞けばさぞ人気者だったのだろうなと思われるかもしれない。たが、いかんせん、少々性格が周りの奴らと合わなかったみたいで、ぼっちとまではいかないが、大概の時間を友達とつるむこともなく一人で過ごした。どうやら俺はクール過ぎてとっつきにくいオーラを放ってるらしい。それが良いという人も中にはいるみたいだが。まぁ確かに自覚はある。あまり人と馴れ合うのは好きではないので、それが原因だろう。だが、そんな俺にも尊敬する人物がいたりする。尊敬といっても、最近知ったわけだが。まぁそれが、件の吾郷大介だ。ある日とあるゲーム情報サイトでこの人の記事を読んだ時、とても共感を持てたのだ。
Q,どうしてゲームクリエイターになられたのですか?
A,僕は根っからのゲーマーでね、小さい頃からいろいろなゲームをプレイしてきたんですよ。中でもVRMMORPGが好きでね。でも、従来のそれはどうしてもいつか飽きがくるんですよ。ならば一生飽きることのないゲームを作ってやろうかって気になってね。この業界に入ったわけです。
Q,なるほど。それが今回発表されたゲーム"PWO"のコンセプト関わってくるんですね。
A,そうですね。なかなかの出来に仕上がったと思いますよ。リアルさも追求してしまいまして…。一時はどうなることかと思いましたがね(笑)
俺も根っからのゲーマーで、しかもVRMMORPGを好んでプレイしている。そして、従来のそれはどれもこれもありきたりでつまらなく感じてきていたのだ。何故なのか。それは、どれもこれも、敵を倒してレベルを上げ、素材を集め装備を作るという同じような趣旨だからだ。何がいけないのかという人もいるかもしれないが、俺から言わせて貰えばもはやただの作業ゲーなのだ。VR技術が普及し始めた当初ならそれで良かったのかもしれないが、今の俺にはもうその楽しみが薄れつつある。そこで先の記事の"PWO"である。そのコンセプトは
---もう一つの現実。無限の可能性。プレイヤーの数だけ道はある---
これと吾郷大介の性格が垣間見えるQ&Aを見ただけで、このゲームは従来のものと違い絶対に面白くなり、やりがいがあると確信し、購入。そして今に至るというわけだ。サービス開始時刻は13時である。今はその5分前である。そろそろかと思い俺はゲーム機本体の電源を起動させる。ブォーンという重々しい音が静かな部屋に響く。そして長い間使い込んで良く馴染んでいるフルフェイスヘルメットのようなひんやりとした装置を頭に被りベッドに横たわる。
視界の右上には12:59:50と数字が並んでいる。
「7、6」
俺は小さい声でカウントダウンをする。
「5、4、3、2、1、起動」
その瞬間、景色が一気に変わった。
---ようこそ、Parallel World Online へ---
見やすいフォントの文字が浮かび上がってくる。
---ニックネームを入力してください
「んー、ニックネームは何時ものやつでいいな」
---性別を選択してください
「そりゃもちろん、男だろ」
→⚪︎男
⚪︎女
⚪︎どちらでもない
ノータイムで選択する。
「ん?今、選択肢が3つあったような…」
1つ前に戻って確認しようと思って戻るボタンを探した。
「おかしい。戻るボタンが、ない」
しかし、どこにもそれらしきボタンが見当たらなかった。
「開始早々に不具合か?いやしかし、あの記事を見る限り吾郷大介がそんなミスをするとは思えないが…。まぁ、所詮は俺の感覚だし、そんなこともあるか」
いつもの癖で、ブツブツ独り言を言い自問自答する。だが当然答えなんて出るはずもなく、入力ミスすれば戻れないから注意するか。というとでアバター製作に意識を戻した。
「次は、と」
---キャラクターの体格を決めてください
「おいおい…」
俺は余りもの事に数秒間固まった。
「無限すぎるだろ、可能性…」
そこには、身長、体重にはじまり、ウエスト、肩幅、胸囲などなど、細かいもので、足の指の長さまでも全て数字を入力できるようになっていた。これは入力すればすぐに反映され、動きを確かめられるようだ。因みに今のアバターは、性別を決定した際に自動的に与えられたものでデフォルトなのだが、どういう訳かリアルの俺の身体そっくりどころか、全く同じのようである。試しにそのまま軽く体を動かしたところ、少しも違和感なく動ける。アバターの体格がリアルと大きく離れていたりすると、脳が対応出来ないのか動きに違和感を感じるのだ。なので俺はいつも自分のリアルの体格に出来るだけ近づけるようにしている。今回の場合、その手間が省けたので万々歳だ。なのだが…
「どうやってリアルの体格をトレースしたんだ?まぁこれも気にしても答えは出ないし、次行くか」
先程から疑問が尽きないが、今考えても時間の無駄なので次に進むことにする。
---職業を選択してください
→⚪︎戦士
⚪︎魔法使い
⚪︎盗賊
どうやらPWOでは初期の職業はこの3つしかなく、後々転職などで変更していくらしい。らしいというのは、そもそもこのゲームに関する情報は全くと言っていいほどないのだ。吾郷大介曰く
「自分で試行錯誤をしてゲームを進めていくから楽しいんですよ。なので僕から出す情報は最低限のものだけです」
ということらしい。俺にとっちゃ物凄くありがたいことで、ゲームのなんたるかをよくわかっていらっしゃる。と感動のセリフだったりする。その最低限の情報によると、このゲームは、職業、ステータス、スキル、装備である程度の能力が決まる。あとはアイテムや魔法による一時的なステータスアップや、入手方法は不明だが称号によるステータス補正もあるようだ。まぁこういったのは従来のものとあまり変わりがない。
「さて、職業は何にするかな。まぁ、悩むほど数もないが、一度決めたら戻れないからな、慎重に選ぼう」
俺はブツブツ言いながら各職業についての説明を読む。
⚪︎戦士
物理攻撃を得意とする。魔法攻撃は出来ない事はないが、この職業には向いていない。
⚪︎魔法使い
魔法攻撃を得意とする。物理攻撃は出来ない事はないが、この職業には向いていない。
⚪︎盗賊
クリティカルヒットが出やすい。物理攻撃力も魔法攻撃力もあまり高くはないが素早い。
「なんだ、この説明の少なさは…。慎重も何もないじゃないか…」
俺はまたしても呆れる。そして自問自答。
「だが、あれだけ言ってたんだ。何かありそうだな…。くくくっ。こういうのが楽しいんだよ。やっぱり、吾郷大介はよくわかっている」
思わず頬が緩んでしまう。
「初期設定でこれなんだ。中身はどんなことになっているやら、楽しみで仕方がないな」
俺は真剣に考え始める。おそらくゲームはもう始まっているのだ。彼ならやりかねない。そう思い、自問自答を繰り返す。こうすることによって考えがまとまりやすくなるのだ。
「まず方向性を決めるか。俺のプレイスタイルはだいたいソロだ。故に魔法職は好ましくない。よって戦士か盗賊になるわけだが、俺は一撃の重さより手数を重視したいタイプだから盗賊にするか。それに説明欄のクリティカルも気になる。もし、手数が多くて全てクリティカルになれば、時間あたりの与ダメが戦士より多くなるかもしれない。よし。盗賊にしよう」
俺は職業を盗賊に決め、次の項目へ移る。
---ステータスを割り振ってください。
ステータス 残り100ポイント
STR 1
VIT 1
INT 1
DEX 1
AGI 1
LUC 1
どうやらステータスはこの6つらしい。そして100ポイントを自由に割り振るみたいだ。この辺も他のゲームと同じだが、一応説明欄を読む。用心に越したことはないからな。
⚪︎STR(strength)
筋力。主に物理攻撃力に反映される。
⚪︎VIT(vital)
生命力。主に防御力に反映される。
⚪︎INT(intelligence)
知能。主に魔法攻撃力に反映される。
⚪︎DEX(dexterity)
器用さ。主に命中率に反映される。
⚪︎AGI(agility)
敏捷さ。主に素早さに反映される。
⚪︎LUC(luck)
運。これが高いと運が良くなる。
「うん。全く予想通りの説明だな。だが何だ?何か違和感が…」
もう2、3度説明を読み直す。すると、その原因がわかった。
「どうしていちいち"主に"と書いてあるんだ?別になくても良いだろうに。書くということは何か意味があるはずだよな…。そのまま意味を取るなら、それぞれの値は他の事にも影響してくる…とか?例えばSTRは筋力ってことは、足にも筋肉はあるわけだから、AGIだけ上げても素早さは上がらない。VITは生命力なのでスタミナやHPにも関係がある…。ありえなくはないな。いや、むしろ大いにありえる」
リアルさも追求したって言ってたし、これくらいの事はやりかねないだろう。そういう結論に至った。
「ってことは、だ。極振りはやめておいたほうが無難か。満遍なく振る必要もないだろうが、1のままにしておくのはまずそうだ。となると…」
ステータス 残り0ポイント
STR 10
VIT 10
INT 10
DEX 20
AGI 20
LUC 36
「とりあえずこんなものだろう」
まず全体を10まで上げる。その後、当初の目的通り手数とクリティカルの為にAGIとLUCを20にした。DEXを20にしたのは、器用さと命中率が上がる。つまり、武器の扱いが上手くり、急所も狙いやすくなるだろうということを見越して、だ。残りの16ポイントはLUCへ。クリティカルの発生率がわからないから、LUCは高くて損はないはず。
「よし。次に行こう」
---初期スキルを選択してください
「……もう何も思わねぇわ」
ここまでくれば、このゲームの自由さ、無限の可能性というものにも慣れてきた。スキルは大きく分けて、武器スキル、魔法スキル、汎用スキル、の3種類あるみたいだ。武器スキルと魔法スキルは数える程しかないんだが、汎用スキルの量がおかしい。全部確認しきれるのか!?って程ある。唯一の救いは五十音順に並んでいることくらいか。
「とりあえず必須スキルから選んでいくか。武器スキルの短剣は必須。魔法スキルは…取るとすれば風魔法か」
武器スキルには、剣、杖、短剣の3種類だけ。説明によると、どうも初期職業に対応しているみたいだ。魔法スキルには、火、水、風、土の4種類の魔法しかない。将来的にはもっと多くなるんだろうが、初期だとこれだけのようだ。説明を見てみると、火は攻撃系、水は回復系、風は補助系、土は防御系のようだ。
「魔法はひとまず保留で、汎用スキルを見てみるか…はぁ、どれだけかかるかわからんが全てに目を通してみるか。無限の可能性があるらしいしな」
ブツブツ文句を垂れながらも、きっちりと目を通す荒井良人であったが、全て読み終わる頃にはニヤニヤが止まらなかった。
「これは確かに無限の可能性だな。どうやら吾郷大介は本気のようだ。このゲームは絶対に飽きないだろうな」
良人は思う。このゲームの一番の面白いところは説明の少なさだ。職業にしろステータスにしろスキルにしろ、他のゲームに比べて圧倒的に説明が少なすぎる。与えられる情報が少ないということは、自分たちでいろいろ考察しなければならない。先入観なく、何にも縛られることなく、自由なプレイングができる。まさに無限の可能性があるのだ。
「はてさて、一体どれだけの人がここまで頭を使ってゲームをするのか。今頃は運営に大量のメッセージが飛んでるんだろうなぁ。説明が少なすぎる!と。まぁ、完全無視だろうが。それが仕様なのだから」
職業 盗賊
ステータス 残り0ポイント
STR 10
VIT 10
INT 10
DEX 20
AGI 20
LUC 36
スキル
短剣 風魔法 解析 隠密 急所 索敵 俊足 遠目 投擲 猫足
称号
解析者




