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異進伝心  作者: 夏野 麦柁氣
1章 アバンダント
9/15

7話 大きな荷物

学校名 心奏しんそう高等学校

1学年のクラス数 15クラス

総生徒数 1689人

教員数 87人

「永禮〜ひっさしぶりだなぁ〜」


久しぶりに校門を跨ぐと、珍しく早めに登校したのか、門の先に居る緯壱が声を掛けてきた。


「俺が居なくて、寂しく無かったか? 」

「永禮が居ない間、真名部さんと仲良くやってたぜ」


からかってやろうと仕掛けたのだが、なんとも大きなカウンターを食らってしまった。

緯壱なんかが真名部さんと仲良く...羨ましい限りだ。


「なんだよ〜、悔しいのか?」

俺は舌打ちする素振りを見せ、2人で校舎に入って行った



ーーー緯壱と別れ、自分の教室に入ると、まず皆の目線が自分に集中するのがわかる。


「おい、永禮! お前大丈夫だったのか!」

1人の男子生徒が駆け寄り迫る。


「トラックに惹かれたって...」

もう1人女子生徒が少し離れた所から俺に問う。


潰瀧さんによると、脳力者が起こした事件を(おおやけ)にすると、ただでさえ身の狭い思いをしている他の脳力者が、更に風当たりが強くなる、との事で、別の事故として処理しなければならないらしい。


「そ、そうなんだよね〜、受身が上手かったから何とか命はあるよ...」


ありもしない見栄を張り、何とか話を合わせる。

周りからの、「すげぇー」「かっこいい」などの言葉に、ものすごい罪悪感が伸し掛る。


キーンコーン

「お〜、席に着けー」


チャイムが成り、騒いでいたクラスメイトは自分の席へ戻って行った。

初めてチャイムと先生に救われた気がして、担任に感謝の念を送る。


「おー永禮、今日は遅刻しなかったのか?」


担任が俺へ問いかける。

俺にだって早起きぐらいする、今日は久しぶりの学校なのだから尚更だ。


「なんだ、今日も遅刻かと思って、課題を2倍用意してきたのにな...

勿体ないから、永禮は2倍にするか」


なんとこの担任、しっかり登校した俺へ、勿体ないからとか意味のわからない理由で課題を押し付けるのだ。


「あれだな、日頃の行いってやつだ」


さっきの感謝は撤回だ、どうせ2倍なら、もっと寝てやれば良かったと後悔する。


(よくやってるよ、俺)

酷く難儀な自分へ励ましの言葉を、心の中で掛け不貞腐れながら席へ着いた。



お昼休み

「永禮くん!大丈夫だった?」


皆からの質問攻めも落ち着いた頃、真名部さんが俺の心配し声を掛けてくれた(大勢の人に押されて、端で追いやられていた真名部さんを、見てはいた)。


「見ての通り」

俺はその場で足踏みをし、元気であると相手へアピールする。


「今日の体育も、出れそうなくらい元気だね!」

実際の所は、激しい運動を控えるよう言われてはいるものの(裾を(めく)れば傷跡がまだ酷く残っている)真名部さんに「元気だね!」なんて言われたら、出ない訳には行かない、それが男と言うものだ。


「無理すんなよ永禮(笑)」


どこから、いつから覗いてたのか分からない緯壱が、ニヤニヤしながら話しかけてくる、正直今は...


「お前じゃない」


俺は真名部さんに心配されたいのだ。

「真名部さん! 一緒に購買でも....」


今の雰囲気を逃さぬよう、真名部さんに誘いを行うも、普段より大きな音量で流れる校内放送が、タイミング悪く校舎へ響く。


(男性教員は至急、裏門前まで集まってください)


今まで聞いた事無いような呼び出し内容に、教室が静まり返る。


()()()()()が届きました、至急男性教員は手を貸してください)


教室で弁当を広げる担任は、汗を拭いながら少し焦った様子で教室を出ていった。

学校名 心奏しんそう高等学校

1学年のクラス数 15クラス

総生徒数 1689人

教員数 85人

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