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異進伝心  作者: 夏野 麦柁氣
1章 アバンダント
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13話 妖精の話し合い

第八班部隊長

碓塚(テヅカ) (リョウ)

脳力・鬼人化

 学校は半壊した。


 あの錯乱していた男は、自らの体に仕込んでいた爆弾で自爆した、とテレビでは報道されていた。

 俺達が対峙した時は、体の何処にも爆弾なんて物は付いていなかったが...これが俗に言う偏向報道と言うやつだ。

 やはり車窓から見たあの煙と爆発音は、聞き間違いでは無かったのだと、考えてみて改めて思う。

 真名部さんは大丈夫だろうか、鈴木先生も逃げられただろうか、ELFの職員から幾つもの質問を受けながら、心配事ばかりが頭に浮かんでいく。


 そんな真っ白な部屋で尋問でも受けてるのかと思ってた矢先、部屋の隅に置いてあるテレビで俺は学校の半壊を知った。

 それから間もなくして、休校の知らせが入るのは次の日の話だ、

 まぁあんな事件があった後だし、当然ちゃっ当然だが、退院してすぐにまた休みとなると、何だかニートになってしまったようで怠惰になってしまう。

(バイトでも始めようかな)

 働きたくは無いが、やる事が無い、家庭用ゲーム機なんて高価なもの家には置いてないからな。


「燈彩、買い出し頼めるかしら?」

「ちょうど暇してたんだ、頼まれるよ母さん」

 俺は大きめのエコバッグを受け取った。





【ELF本部会議室】

 ーーーー「集まれる者はこれで全員だな」

 広闊(こうかつ)とした会議室でELFの各部隊長が、緊急招集を受けていた。


「相変わらず集まりが悪いっすね〜」

 潰瀧の言葉に呼応する様に、四班の隊長である熱田(ニエダ) 蒼吾(ソウゴ)が集まりの悪さに不満を零す。


「しょうが無いですよ、(みな)持ち場で手一杯なので。」

 斎藤 緯壱が(なだ)めるよう話し出す。


「んなこったどうでもいいんだ! なんでテメェみてぇな

 お硬ぇ野郎が、隊長格でもねぇのにここにいやがんだ!」

 第8班部隊長・碓塚(テヅカ) (リョウ)が緯壱へ突っかかる。


「よしな、おリョウ

 ヌッキーは確かにまだガキンチョさ、でもね、うちのトップの補佐ってのも事実だよ」

「姉御....」


 それを(ツジ)が止めに入る。


「もう! 私早く帰りたいんだけど!」

 赤髪ツインテールの少女は癇癪を起こしながら全員に文句を垂れる。


「同じく、僕も早く帰って虎クエの続きしたいんだけど」

 それに同意する様に水色の髪を持つ少年は、机に足を乗せだるそうに喋る。


 第十班・十一班部隊長

 函城(ハコギ) (ユキ)(シュウ)

 双子の姉弟である。


「やめんかい!あまり行儀が悪いと、ワシがお前らを引きずり出してやろうか!」

「梵婆が怒っても怖くないわね」

「だね」


 函城姉弟が老人の怒りを逆撫でする。

「このクソガキゃー!」

「まあまあ大仏(オサラギ)さん、あまり怒ると体に触りますよ」


 第十七班隊長

 空閑肆(クカシ) (シズク)はメガネをクイッとさせる様に上げ老婆を宥め、立ち上がった大仏をまるで介護する様に椅子へ座らせる。


 コンコン

「静かにしようか...」

 潰瀧が机にノックすると、さっきまで騒がしかった部屋が一瞬で静まり返り、その場にいる全員に緊張が、背筋を伝う。


「良かった、静かになってくれて

 これから、今活発に動き出しているアバンダントをどう止めるかの話をしていこうと思う」


 やはりELFでも潰瀧さんは別格だと皆がため息を着く。


「どうした、皆んな〜もうおつかれか?会議はこれからだぞ(笑)、気を締めてけよ」


 その場にいる全員がお前の所為だ!とツッコミたくなるが、うるさくした手前、全員何も言えなくなる。


「んなもん、俺と姉さんで敵の本拠地にカチコミ入れれば済む話だろうよ」

 そんな空気を切り裂くかの様に、碓塚が割って入り、いかにも幼稚な考えを潰瀧へ述べる。


「相変わらずタンジュンですね。」

「んだとコラァ゛、俺の案に文句でもあんのか!」


 緯壱の小言が耳に入ってしまい、2人はまた喧嘩になってしまう。


「まぁまぁ2人とも、落ち着いてくれ、だいじな会議だからね?」

「はい。」 「わ〜ってるよ、チッ」


 先程とは違い優しく止めに入る潰瀧は、碓塚の方を見て安直ではある作戦を少し考えてみる。


「相手は国内の至る所に仲間がいるが、本拠地を転々としている彼らが自陣に大人数の仲間を呼べるだろうか」


 潰瀧が顎に手を当て深く考え出す。


「本拠地さえ分ってしまえば、乗り込むのも一つの手だと?」


 またもメガネをクイッとさせ、雫が潰瀧の考えを言い当てる。


「あぁ、だが肝心の拠点が掴めていない、これじゃぁ後手に回りっぱなしだ」


 行き詰まる会議に考えあぐねる一同。


「梵婆さん、お宅の予知でどうにかならないですかね?」

「ワシの予知は大まかなんじゃ、そう期待されても無理じゃぞ」


 大仏は熱田に少し怒ったあと、拗ねた様な態度へ変わる。


「まずは小さなビルから探して見てはどうでしょう?。」

 ここまで来てやっと緯壱がまともな策案を提示する。


「確かに...奴らがこの街で動き出したと言う事は、近くまで来ている可能性は十分にある、街に出れば使われてないオフィスビルも何個か有ったな」


「作戦は決まりね!」

「案外早くおわったわね」


 函城姉弟が見切りをつけ、そそくさと帰る準備をしだす。


「おリョウ、あの二人よりかはヌッキーの方がしっかりしてるとおもわないかい?」

「確かに姉御の言うとおりっすね」


 辻と碓塚がコソコソと喋り出す。


「なによ、私らに文句でもある訳?」

「なんでもないさ、忘れておくれ」


 又もや会議室に火花が散り、もう散々だと潰瀧が額に手を当てる。


「もういいよ姉ちゃん、帰ろうよ...」


 執が姉の袖を引っ張り、早く帰ろうと駄々を捏ねていると部屋の後ろドアがゆっくり開く。


「す、すみませ〜ん」


 サラサラの髪をなびかせて、ボブヘアの男が申し訳なさそうにゆっくりと部屋へはいる。


「貴方、先月入隊したばかりの方ですね。」


 緯壱が机の上の資料を(めく)りながら説明をする。


「おい、ビギナーがマスター会議に何の用だ?」

「おリョウ、あんた噛み付きに行かないと気が済まないのかい?」


 またしても碓塚は煽る様に相手へ話しかけるが、怯みもせず彼は自己紹介を始める。


「はい! 先週、第二十一班の隊長に就任させて頂きました! (タチバナ) 那月(ナツキ)と言います! 」


「...まじかよ、出世のスピードえげつねぇな」


 ELFの隊長格になる為には、ある程度の実績を積み、知力、実力を試される試験を合格し、尚且つ他の隊長格2人以上に認められなければならない。

 緯壱でさえ実力、知力は他地域の隊長と肩を並べられる程であるが、年齢上実績の面が乏しく、各隊長が直に選ぶ隊長補佐に着いている。

 碓塚の様な知力が低くとも圧倒的な実力で隊長になる者もいるが、入って数週間で隊長格まで上り詰めるのは異例中の異例であった。


 が、驚く皆とは別に潰瀧は怒り出す。


「君、ここELFは何の為にある場所だ?」


 たちまち橘の額に冷や汗が滲み出す。


「す、すみません! 他の隊長さん達に会えると思ったら緊張してしまって、寝付けれず....」


 強ばっていた潰瀧の顔が少し柔らかくなり、重くなった空気の毒気が抜かれていく。


「まぁいいさ、次はしないようにね(笑)

 あ、会議の内容は他の人に聞いておいてね? 俺これから用事があるから〜」


 そうい言うと潰瀧は席から立ち上がり、会議室を出てしまう。


「んじゃ解散だな」

「そうじゃな」

「そうですね。」

「やっと帰れるわ!」

「あ、待ってよお姉ちゃん!」

「皆さんこういう時だけ行動が早いですね」

「まぁ、あたしら元からそう言う奴らさね」

「俺はあんま一緒にされたくないっすね」


 順番に出ていく皆を横目に、橘の凍った背筋はまだ溶けず、動けずに居た。


「こ、怖かった〜」

 思わずその場でヘタってしまう橘。


「しっかりしてください隊長さん」

「ごめんよ美崎(ミサキ) 、情けない所を見せて」


 外で待っていた橘の補佐が見かねてやって来る。


「情けないのは知っているので大丈夫ですよ」

「ひっどいな〜」


 補佐に手を取られ立ち上がった橘は、やっとの思いで会議室から出る。


「他の隊長さんはどうでした?」

「自由気ままって感じだったよ...僕、就職先間違えたかなぁ〜」

「就任して直ぐなんですから、幸先悪い事言わないでくだ...さい!」

「イタッ」

 美咲に脇腹を叩かれた橘は、半べそになりながら帰って行った。

第十七班部隊長

空閑肆(クカシ) (シズク)

脳力・ 反響

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