23.借宿にて夜這い
第四守護塔。
魔王城からここまで来るのにゆうに一月は使った。
守護塔には監視兵が常備され、食品や魔導具などの備蓄もしっかりしている。
僕らは今日はここに泊まるつもりだ。
この守護塔を守っている最高責任者は魔王軍第五部隊所属の者だった。
第五部隊は戦闘時など守りに徹することが多く、こういう拠点の守護者なども担うことが多い。
自分が魔王軍の部隊長であることを伝えると、二つ返事で部屋を用意してくれた。
そんなこんなで第七階層にあるVIPルーム。
「ふひゃーー!久しぶりのベッドですー」
「ふかふか」
ミューがベッドにダイブ、ミカエルもそれに続けてベッドに乗っかった。
馬車がいいものであっても、流石に家一個分というほどには充実していない上に見張りの仕事もあるため、横になって寝るということはあまりなかった。
女性陣には申し訳ないことをしたと思っている。
プチィーニはそもそも体勢というものがあるのかどうかわからないため、正直どうでもいい。
「お嬢たちの寝相……なかなか惹かれるもんがあるのう」
最近分かったこと:プチィーニの中身はただのおっさん
「なんや今変なこと考えへんかったか?」
「なわけ」
今はもう夜だ。
いやまあ魔界の空は年中真っ暗だから区別はつかないけど。
魔界は夜になると夜行性の悪魔や魔族の行動が活発になる。
それが魔界での昼夜の区別の仕方だ。
現に今、給仕に来たドラキュラの方も魔力溢れていた。
「さあ、長く滞在するわけでもないし、早く寝ようか」
「はいっ!」
「うん」
やっぱりこの子達は元気がいい。
僕の目の前で無理している可能性もあるけど、僕は感情を読み解ける悪魔。
彼女らが心からこの旅を楽しんでいることが分かる。
「せやな。じゃわいはお嬢のベッドの側でゆっくりと身を休め……」
「させるわけないじゃないか。僕と一緒に別室だよ」
なにを言っているんだこのバカボチャは。
これで姿が狸親父だったら通報受けてるぞ。
「なにが悲しくてこんな男と一緒に寝なあかんねん」
そしてこのセリフである。
「こっちのセリフだ」
僕だってカボチャと一緒に寝たくはない。
ってかまずカボチャと寝るとか病んでるでしょ。
「ベン様が望むのならば別に一緒に寝ても構いませんが」
「その代わり寝かせないけど」
「そんなこと男の人に言っちゃいけません。じゃ、また明日ね」
「いけず…」
「私の性奴隷としての立場は……?」
ちなみに旅が始まってからまだ一度も彼女達とはそんなことはしていない。
いやまぁやったこともないんだけどね。
プチィーニがいることで自分の中でバリアができている感じだ。
「羨ましいけんなあ。オマン変わってけえへんかいな」
「マジ無理拒否断る完全100パーダメ」
「ヘタレには勿体無いと思うけんなぁ」
「う、うるさいっ!」
結構気にしてたりすることを……
「あ、あとわいはカボチャやなくてジャック・オー・ランタンや。Jack-o'-Lantern」
今更そこかいな。
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〜深夜〜
もともと塔内を徘徊していた警備兵も数を減らし、深夜隊のみが外を見回っていた。
僕は別に寝なくてもいいが、グッスリと寝ていた。
さっきまで。
結構勘違いされるが寝なくてもいいのと寝むらないとは意味が違う。
やっぱり睡眠というものは自身の自律神経のバランスを整えるにも適するし、魔力のセーブもスムーズにできる。
そのため毎日の睡眠は欠かさないようにしてきたのだが……
「なにしてるの?ミカエル」
まさか僕の腹に下着姿の堕天使が跨っているとは思わなかったよ。
僕は今『混乱耐性』のスキルをオンにしている。
なぜなら、こんなシチュエーションは今回が初めてじゃないからだ。
昔、起きたら隣に半裸のルネがいた時はギョドって色々と頭がパンクしそうになった。
その時はルネが寝ぼけて入る部屋を間違えたそうだが……
その時以来、睡眠時は『混乱耐性』をかけているわけだ。
「ご奉仕」
「いらない」
「じゃあいつになったらしてくれるの?」
「……………」
「……………」
「ぐがぁーー、ぐがぁーー」
プチィーニうるせぇ……
それは置いといてミカエルのことだ。
ミカエルは僕が洗脳魔法で自分が僕の性奴隷だということにしてしまっている。
あの頃と同じように洗脳魔法で性奴隷からただの奴隷にしようと思ったが、ミカエル自身が嫌がったため無理強いはしていない。
曰く今の方がいいそうだ。
まぁそんなミカエルだがずっとなにもしないのは性奴隷としてのモラル……性奴隷のモラルってなんだよ……まぁいいが、そのモラルに反するのであろう。
かという僕は女の子とそんな関係になったわけでもなく、長寿だが経験は豊富でない。
『ヘタレ』
寝る前プチィーニに言われた言葉が今になって胸に刺さる……
さて、どうでもいいがこの状況をなんとかせねばな。
とか思っている隙にはもう、ミカエルの唇が僕の唇と重なっていた。
え?なにこれ?キス?
作者「さていよいよ待ち構えていましたR15シーン」
ベン「ってか進行遅いね。もっとハキハキ進めようよ」
作者「うるせえなこの童貞」
ベン「次回卒業するかもしんないよ?」
ルネ「いえ、お兄様は童貞ではありませんよ」
ベン「えっ……?」
アルテ「おいルネ、しーーっ!」
ルネ「あ、あぁ!すいませんやっぱいなんでもないです」
ミカエル「次回は私のターン」
ミュー「はぁ……その頃私は一人でグッスリ寝ているのでしょうね……」
プチィーニ「え⁉︎わいイビキしとったん⁉︎恥ずいわぁ」
ベン「そんなことより!次回の更新は2/15だよ。ブックマーク、高評価、コメント、質問等よろしくね」