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第33話 淫魔としての決意(あれ? なんか僕……?)

 僕とレズビアはシャワー室に行ってシャワーを浴びた。

 腕と、脚と、おなかと、おっぱいに触手の痕がついている。まだちょっと痛い。


 シャワーで触手モンスターの体液とその臭いを落とし、バスタオルで身体を拭く。

 そして着替えようとするわけだが――


 カーミラが持ってきたのは、体操着だけでジャージはなかった。

 しかたない、ブルマ姿で校内を歩き回るしかない。


「はぁ、カーミラも気が利かないな」

 と、レズビアが嘆息する。


「やっぱりレズビアもブルマ恥ずかしいんじゃん」


「体育のときとは別だ。たとえかっこいい衣装だろうと、美しい衣装だろうと、ふさわしくない場所だったら、恥ずかしいだろう?


「たしかにそうかも」


 例えば、力士が土俵以外でまわしをつけていたり、サンバダンサーがサンバの衣装を別のところで着ていたりしたら恥ずかしいかもしれない。あとは、合コンで周り全員がラフなかっこうなのに、ひとりだけびしっとスーツを決めてきたり。僕は合コンとか行ったことないから、まあ、よくわかんないですけどね。


「まず、保健室に行こう。リリスの身体を診てもらわないといけない。まだ少し痛むだろう?」


「ちょっとね」


「しかし、リリスは強いな。あんなことがあったのに」


「レズビアが絶対に助けてくれるって信じてたから」


「恥ずかしいことを言うな。行くぞ」

 と、レズビアは面映そうに言った。



   ※   ※   ※



 保健室の先生は、担任のパイシャ先生と同じような、蛇の下半身を持っている女性の先生だった。ただ、蛇のところの色は黒だった。


「ヘイシャは、魔術と科学を融合させた医療技術を駆使する医者で、この魔界でいちばんの名医だ。ちなみに、うちの担任の姉だ」

 と、レズビアが説明する。


「話は聞いているよ。触手モンスターに襲われたんだって? どれどれ、服をめくり上げてごらん」


 僕は服をめくりあげて、ヘイシャという先生に見せる。


「ふうん、痕がついている。さぞ、痛かっただろうね」


「はい……」


「けれど、私にかかれば、こんなものは造作もない」

 ヘイシャ先生は僕の胸に手を当てる。


 すると、緑色の淡い光が、彼女の手から発せられた。

 そして、僕の胸についている触手の痕がすーっと消えていった。それとともに、痛みも引いていった。


 おお、魔術って便利なものだね。


 それから、ヘイシャ先生は腕と脚と腰も治療してくれた。


「やつの精液も君の中に入ってはいない。もう身体に関しては、大丈夫そうだ。あとは精神面の問題だが」


「それは大丈夫です。自分でもびっくりするくらい落ち着いてます」


 たぶん、僕が犯されそうになったのが、触手モンスターとかいう、人間とはかけ離れたやつだったからだろう。たぶん、オークとかそういうのだったら、もう心が折れていたかもしれない。あと、さっきも言ったように、レズビアが助けてくれるって信じてたから。


「それはよかった。午後はどうするかい? ここで休むかい?」


「授業は受けられると思います」


「それなら安心だ」

 と、ヘイシャ先生が言った。


 そのとき、保健室にパイシャ先生が入ってきた。


「大丈夫か、リリス」


「はい、大丈夫です、先生。ヘイシャ先生のおかげです」


「それならよかった」

 パイシャ先生は保健室のベッドに腰を下ろした。


「本来なら、触手モンスターはここには現れないはずだ。たまたま紛れ込んだのか、それとも人為的な理由かはわからないが、とにかくあの森はしばらく立入禁止にした。それと、軍に要請して徹底的に調べてもらうように依頼した。またほかの生徒に危害が及ぶといけないからな」


「もしかしたら、人間どもの仕業かもしれない」

 と、レズビアが言った。

「魔界にモンスターを放てば、苦せずして魔族を倒すことができるからな」


「たしかにその可能性もある」


 もしレズビアの言うとおり、学生のいるところにモンスターを放ったとしたら、人界の人間というのは、そうとう残酷なやつらだ。

 でも、僕が人界に「伝説の勇者」として召喚されていたら、嬉々として魔族を殺しまくっていたかもしれない。そう考えると、ちょっと憂鬱な気分にもなってくる。



   ※   ※   ※



 僕とレズビアが教室に戻ったとき、ちょうど数学の授業中だった。

 授業中にジャージを取り出して着替えるわけにもいかず、僕とレズビアはブルマ姿のまま授業を受けることとなった。


 うーん。これってとっても羞恥プレイ。


 隣のアルビンもすっごく見てくるし。特に、僕のお股のあたりを。


「あ、あんまり見ないでくれる……?」


「べ、別に見ちゃいねーよ」


 僕の自意識過剰かな? いや、絶対凝視してたでしょ。



   ※   ※   ※



 その日の深夜。

 僕はむくりとベッドから起き上がった。


 レズビアを見ると、涎を垂らしながら、ぐっすりと寝ている。そっと彼女の髪を撫でる。まったく起きなそうだ。

 今日は疲れたんだろう。僕を一生懸命助けてくれたし。


 でも、レズビアには悪いけど、僕はやっぱりこんなところにはいられない。触手モンスターに襲われたりするし。


 緊褌一番、僕にはこれからやるべきことがある。

 本当ならこんなことやりたくないけれども、どうしてもやらないといけない。


 僕はレズビアの部屋のドアをそっと開け、廊下に出た。



   ※   ※   ※



 こんこんこんこん。

 僕はアルビンの部屋のドアを叩く。


 やっぱり寝てるよね。


 ごんごんごんごん。

 今度はもう少し強く叩く。


 すると、部屋のドアが開かれ、

「んだよ、こんな夜中に」

 と、アルビンが出てきた。


「ちょっと話があるんだ」


「明日にしてくれ」

 アルビンがドアを閉めようとする。


 僕はすかさず、足をドアに差し込む。

 アパートの部屋に新聞の勧誘が来たときに、よくやられてたやつだ。


「ちょ、おい」


「ほんの少しだけでいいんだ」

 僕はドアとアルビンの間の隙間に身体をねじこむ。

 僕のおっぱいがアルビンの身体に当たる。もちろん、わざとだ。


「お、お、おい」

 アルビンは、慌てた調子で、僕から距離を取る。


 その隙に、僕は部屋に踊りこみ、ドアを閉め、鍵を掛ける。


「なにひとの部屋に勝手に入ってくんだよ。夜這いか?」


「そう、夜這い」


「ま、ま、マジで言ってんか、それ」


「うん、大真面目」


「俺は男とやる気なんてさらさらねーからな」


「この僕の身体を見てもそう思う?」


「な、何だよ、何が目的なんだよ」


「僕を、元の姿と元の世界に戻してほしい。アルビンは魔術の成績がいちばんって聞いたから」


「お前、『伝説の勇者』かもしれねーんだろ。そんなことしたら魔族に対する裏切り行為だ」


「でも、僕はここにずっといるわけにはいかないんだ」

 僕はアルビンにぐっと近づいて、またおっぱいを彼の身体に押し当てる。


「お、おい」

 アルビンは狼狽した様子で、僕から飛びのく。


「お前、精神まですっかり淫魔になっちまったのか?」


「違うよ。アルビンとヤるなんて、本当はすごく嫌だし、僕の尊厳が完膚なきまでにめちゃくちゃ傷つけられるけど、今の僕に与えられるものはこれしかないから」


「俺の尊厳も傷つけられた気がするが……」


「すっごく気持ちよくしてあげるから」


「お、俺は男とヤる気なんかねーからな」


「今の僕は女の子だから」


「でも、気持ちわりーだろ」


「真ん中に穴の開いたパンツも穿いてきたし」


「なんつーもん穿いてきてんだよ!」


「僕は本気だから。フェラがいい? セックスがいい? 僕、頑張るから」


「頑張んなくていいから。やめろって」


「僕、元々は男だから、男の気持ちいところ知ってるから」


「お前、ヤりたいだけだろ。マジで精神が淫魔に引きづられてんぞ。目を覚ませよ」


「もう、それでもかまわないよ」

 僕はまたアルビンにぐっと近づいた。そして、彼を強引にベッドに押し倒す。


「や、やめろって」


「このおっぱい揉んでみて? 絶対気持ちいいから」


「ふざけんな!」

 アルビンは、僕のことを突き飛ばした。


 僕はぐでんと床の上に転がる。


「痛っ」


「わーったよ。お前を元に戻す方法を見つけりゃいーんだろ」


「ほんとに!? ありがとう! だから、アルビンのこと、すっごく気持ちよくさせてあげる」


「いらねーよ。お前にこんなふうに迫られたら、俺の身が持たねえ」


「じゃあ、僕、アルビンとセックスしなくていいの?」


「まあな」


「やった」

 僕は起き上がって小躍りする。


「そんなふうに喜ばれると、複雑な気分だ」


「でも、この身体、むらむらしてるし、やっぱヤってあげてもいいよ」


「だからいらねーっつってんだろ! まずは、スカートをめくりあげろ」


「え? やっぱりヤりたいんだ?」


「ちげーよ、太ももを見せるんだ」


「太ももフェチなんだ?」


「だからちげーって! お前、めんどくさい女だな」


「わかったよ。めくればいいんでしょ」

 僕はネグリジェのスカートをちょっとずつ上に上げてゆく。


「なにエロい感じでやってんだ。さっさとしろ」


「情緒をわかってないなー。はい、僕の太もも」

 僕はスカートをばっとめくる。


 白く、つるんとした僕の太ももが露わになる。


「右のところのほくろがあるだろ」

 アルビンは、僕の太ももから顔を背けながら言った。


「うん、たしかに」


「今日の午後、お前がブルマでいたから、たまたま見えたんだ。そこにほんの少しだけ魔術の『ほころび』がある」


「僕の元の姿にも、ここにほくろがあったけど」


「ああ。レズビアの変身魔術は完璧だ。その一箇所だけを除いてな。俺もリリアのことを知らなかったら、そのほくろのほんの少しの違和感も完全にスルーしていただろうな」


「このほくろでどうにかなるわけ?」


「そこをほどいていけば、元の姿に戻せるかもしれない」


「本当に?」


「ああ。だが、元の姿に戻れたとしても、元の世界に戻せるかはわからない。それは同時にやらねーといけねえ。だって、この魔界でお前を人間の姿に戻したら、真っ先にぶち殺されるだろうからな」


「その元の世界に戻す方法っていうのは……」


「保証はできないが、とにかくその方法も探してやる。だから、もう二度と俺に迫ってくるな」


「ありがとう、アルビン!」

 僕はアルビンに抱きつこうとする。


「だから、それをやめろって言ってんだろ!」

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