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この恋は一通のメールからはじまった  作者: 水溜まり
第一章『君が嫌い。』
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昼ごはんを食べ終えたあたしは直ぐ様自分の部屋へ向かった。

直接言いはしないが顔が笑ってる母親を目の前にしてこれ以上一緒にいるのが恥ずかしいと意味を含めて部屋でゆっくりメールをしたかったからだ。


高校になってから出会いはあったし、それなりに経験をさせてもらった。

でも最近はこれと言って浮ついた話はなく、少し寂しかったところにこのメールがきたから久しぶりの懐かしさと新たな出会いに心が弾んでいるのかもしれない。



顔は知らないし声も知らない。

そういえば未だに名前も知らない。


ハッとなり自己紹介をしてない事に今更気づきあたしはメールをチェックする。




>『今部屋で友達とマンガ読みながらダラダラしてる』




これはあたしがその直前に送った『今は何してるの?』の返信だ。

友達と一緒にいてこんなに頻繁にメールのやりとりをしても良いのだろうか?

女の子同士だとそういうのは失礼な気がするけど、男同士だと案外気にしないのかもしれない。



返信画面を表示して少し考える。

今までだったら適当に相槌してまた違う話題を振ったりもしくは話題を広げたりしていたけど今頭に浮かんでいるのは「自己紹介」と言う今更感満載な事だった。




昼ごはんを食べていた関係で少しだけ時間があいてしまったのもあるし、いきなり自己紹介の事を切り出して良いのかも分からないのでここは適当に返信することにする。




>『お昼食べてた。友達と一緒にいてこんなにメールやりとりしてても大丈夫?』




送信してからフゥ、とため息を吐く。

聞きたかった事はこれじゃない。




>『平気。そういうの気にするような間柄じゃないし』


>『そっか。良かった。…………



ここで携帯を打つ手が止まる。

今話題転換すればすんなり聞ける気がする。

とくん、とくん、と脈打つ音が伝わる。




>『そっか。良かった。そういえば今更なんだけどなんて呼べばいい?』



送信完了画面になればさっきより脈打つ音が早くなった。

胸に手をあてればトクトクトクトク、と心臓の音が伝わる。


送ってしまった…

なにか失敗してしまった感が半端ない。鳴らない携帯と睨めっこしながら「後悔」がどんどん押し寄せてくる。



結局それから一時間経っても二時間経っても三時間経ってもメールの返信は返ってこなかった。


気づけば日も落ちかけていて時刻は5時を指している。

聞かなければ良かったと悔いばかりが残る。



その時玄関から誰かが帰ってくる音が聞こえる。

きっと弟の悠李だ。

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