第35話『いざ、出陣』
「よし、みんな入ったか?」
『おぅ!こっちは大丈夫だ』
『こちらも、順調です』
「よし、各自、気をつけて行動しろ。何かあったら、すぐに連絡してくれ」
遂にヤヨイ国に潜入したブルア達だが、今はバラバラに潜入している為、携帯型の通信機で連絡を取っている。
ブルアはパートナーなしの一人行動をしていた。
彼は珍しい青髪と瞳をしているので、ヤヨイ町の中ではかなり目立つ。
なので、周りの人達は皆、ブルアに釘付けで、特に女性達は立ち止まって、見惚れていた。
「なんか、ここ居づらいな……」
ブルアはそそくさにミドが捕らわれているであろう屋敷へ向かった。
♢♦︎♢
「へぇー、一人の眠れるプリンスを助ける為にこんなに人が来るなんてねぇ。よし!報告報告〜」
金髪の男はニヤッとし、どこかへ消え去った。
♢♦︎♢
先ほどまで町の真ん中を歩いていたブルアは、急に建物の中へ瞬間移動をした。
自分の意思ではなく、されただけなのだが。
草で出来た床とステラ国にはない扉。
ここはおそらく、フミオの屋敷の中なのだろう。
閉まっていた扉が横に開くと和服の青年が出てきた。
ーーこいつが作戦会議で、出てきたシロキか……。
「どうも、お初にお目にかかります。私、シロキと申します。以後、お見知り置きを。ブルアさん?」
「ふっ、どうして俺の名前を知っているのか分からないが、ご丁寧にどうも。シロキーー」
「もう呼び捨てとは嬉しいですね」
「ミドはどこだ?答えろ」
「さぁー?」
「そうか。なら、戦うしかなさそうだな!」
第二の戦いが遂に幕を上げる。
♢♦︎♢
ブルアは自分の武器を手に取り、シロキに攻撃を仕掛けた。だが、シロキは何も持たずただ攻撃を避けるばかりだ。
「おい、避けてばかりじゃ、その内負けるぞ?」
「私は武器を持ち合わせておりませんので」
「その隠し持ってる札はなんだ」
「へぇー意外と、人を見るのですね。では、遠慮なく使わせてもらいますよ!」
シロキはブルアの肩を掴み、ニヤニヤしながらブルアの顔に近づいた。
「元殺し屋のくせにーー」
「っ⁉︎ーー」
「全身に痺れを」
シロキが札をブルアの右腕に突きつけると、急に体が崩れ、ブルアは武器を持つことすら出来なくなり、全身が痺れ動けなくなってしまった。
相変わらずシロキは先ほどの表情を崩さず、ブルアの前で屈んで、顔を覗く。
ーーくっ……動かない……。
先ほど、ブルアは一瞬シロキの言葉に動揺してしまった。
その一瞬の動揺をシロキは狙っていたのだ。
『元殺し屋のくせにーー』
「あなた、施設に来る前は人を殺すことを仕事にしていたんですよね?"青の悪魔"と言う通り名が付くほど有名で凄かったらしいじゃないですか」
「黙れ」
ブルアは憎しみを込めながら、シロキを睨みつける。
「さらに、両親を二度も殺したんですよね⁉︎」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!」
「俺の中に入ってくるな!その単語を使うな!」
「青の悪魔?」
「うるせぇ!黙れと言ってるだろうが!!」
「ゆっくり、自分の過去を思い出してください。あなたなら、向き合える筈です」
「っ……」
段々と目の前が暗くなった。
体が痺れて、目の前に敵が居るのに何も出来ない。
俺は戦うことしか、出来ないのに。
俺の生きる価値は"あれ"しかなかった。




