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制裁

 これが女子トークなのだろうかと軽く戦慄していると周りがどよどよと騒ぎだした。そりゃそうだ、いままでぼっちでご飯食べてた美少女の所に単身で乗り込んでいく人がいたら嫌でも目立つ。


「おいあの子だれだ。リコ様になれなれしいな」


「制裁か?」


「いやまて、相手は女の子だぞ? リコ様が話しかけてくださる以外の会話は禁止とはいえいくらなんでも」


「親衛隊のルールを忘れたのか? 疑わしきは罰せよ。リコ様に近づくものは皆死刑」


「そうだったな」


 親衛隊怖すぎるだろ。というかこいつらまじで親衛隊なんて名乗ってるのか。


 にわかに殺気だってきたため止めるかと声をかけようとしたとき酒場のマスターがこっちに来る。


「おいお前ら、金払わねぇならとっとと出てきな。ついでにあの子と話してるのはこの前帝都の騎士ボコった嬢ちゃんだからな、お前らがどこで何しようが勝手だがお前らみたいな雑魚のせいで酒場が血なまぐさくなるのはやめろ」


 雑魚じゃなければいいんですねわかります。騎士と妹が暴れても対して何も言ってこなかったのはもしかしてただ喧嘩が好きなだけなんじゃなかろうか。


「なんだと!? 俺たちはこう見えて結構強いんだぞ! 女子供に簡単に負けないぞ!」


「そうだ! 俺たちがどれだけ鍛えられてるか見せてやってもいいんだぞ!」


 さらにヒートアップしてくる親衛隊にマスターはやれやれと言った顔でこっちを見る。いやこっちをみられても俺は何も出来ないですって。


「マスター! 待ってください!」


 いつの間にかこっちに来ていたリコが声をかけると親衛隊は直立不動でぴたりと騒ぐのをやめる。まじで鍛えられてんな。


「親衛隊のみなさん、私はいつも言っていますよね? 周りの方々に迷惑になるような行為はやめてくださいと。それなのにこんなおいしい料理を出してくれるマスターに食ってかかるなんて……膝立ちになりなさい!」


「「「はい!」」」


 親衛隊ははきはきといい声で返事をし、統率の取れた見事な動きで手を後ろに回し膝立ちになり目をつむる。


「これはお仕置きです!」


 スパァンスパァン! と見事な往復ビンタをくらわしていくリコは若干興奮しているように見えるが、やられている親衛隊の幸せそうな顔を見るとなんだこの茶番はという気になる。


 はぁはぁと息を荒くしたリコはマスターに頭を下げる。


「すいませんマスター……私の連れが迷惑をかけてしまいまして。迷惑料を払います」


「いやいやいいいい。お前さんがしっかり教育してくれればこっちは文句ねえよ。なんだかんだで人も増えたし町にとっていい事のが多いからよ。それに本気で迷惑をかけたいって感じでもなさそうだったしな」


「……ありがとうございます」


 うむ、あのやり取りはいつものことなんだろう。本気で迷惑をかけるつもりならヤジが飛んでてもおかしくないし、こいつら以外の連中も騒いでるはずだ。


 それなのに騒いでるのはこの一角のみ。他に酒場をのぞき込んでるのは世間話とかリコについて話してたり、リコに話しかけた妹が目に入ってないんじゃないかってレベルのやり取りをしていた。


 ……うん、鍛えられてるね。


 マスターが戻っていくと、叩かれた親衛隊の皆さんは嬉しそうに酒場の外に出て行った。


「やっぱ制裁最高だな。あの叩く瞬間のちょっと嬉しそうなリコ様の顔見るだけで生きてるって実感できるよ」


「俺もだ。ただ残念なのはまた順番待ちってところだな」


「それを言うな。それを破ったら本当にリコ様に嫌われるぞ」


「そうだな。ああ話相手の子は特に問題なかったようだし報告しておくか」


 そんな会話が聞こえてきた。


(なあ、最初に言ってた制裁ってもしかしてこれの事か? エミちゃんに向けてというかまったく悪意ないから何も思わなかったけど、自分らに制裁を加えてもらうって事だったか?)


 ……。


 つまりこういう事か。


 リコに馴れ馴れしく話す人物がいる → リコに話しかけるのはご法度というルール → とりあえず騒いで注意をこっちに引く → リコが話しかけてくる → ご褒美


 そして話し相手が問題ない場合そのご褒美タイムで終了。一件落着という流れ。


 もしも問題があるなら……。


 そこで気になって彼らのステータスを覗き見る。


 ネーム:親衛隊83号 職業:おっかけ


 レベル:38


 力  :120

 賢さ :25

 命中 :100

 回避 :90

 丈夫さ:300

 運  :63



 ネーム:親衛隊106号 職業:おっかけ


 レベル:35


 力  :80

 賢さ :99

 命中 :108

 回避 :120

 丈夫さ:250

 運  :80



 ネーム:親衛隊99号 職業:おっかけ


 レベル:33


 力  :20

 賢さ :25

 命中 :18

 回避 :3

 丈夫さ:600

 運  :6



 やべえわこいつら。


(話し相手が問題あるならこいつらのガチ制裁が下るな)


 レベルの高さも凄いがみんな名前ないってのもやばい。いいのかお前らそれで。


 あまりにも怖かったので酒場を囲んでる親衛隊っぽい人たちのステータスも覗き見るとみんな30超えでたまに50近い人もいる。


 こいつらこの町に来てる騎士様よりも全然強い。この世界のパワーバランスはもしかしてリコのところに結構集まってるんじゃなかろうか。

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