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森蝕のユグドラシア~終末世界の歩き方~  作者: にとろ


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3話 まさかの展開

次に向かう先は決まった。

もし、あの塔が人工物なのであれば現地人に接触出来るかもしれない。


巨木を吸い尽くしたお陰か身体の調子も良い。

今の内に進めるだけ進んでおきたいところだ。

問題があるとすれば、塔が見えたといっても巨木が倒れて開けた視界に小さく見えただけなので下手をすると相当遠いかもしれない事か。

周りの物が色々と巨大なので距離感が測りにくい。


向かう先が決まったところで、早々に歩こう。

先程、巨木が倒れた轟音で何か良からぬものが寄ってくるかもしれないし。


塔までの方向が分かっていても不安はある。

人間、真っ直ぐに歩こうと思っていても上手くはいかないものだ。私はもう人間ではないが。

更には360度似たような景色が続く森の中だ。

森歩きの達人でも目印無しでは遭難するだろう。


念の為、ある程度歩く度に土を巨木に塗りつけて目印を作る事にした。

正直、無駄になる気しかしないし、あくまで気休めである。

ここにナイフでもあればまた違ったのだろうが、今現状そんな物は無いし、常日頃から刃物を持ち歩く危険人物ではなかったのだ私は。

持ち歩いていたとしても現在の服装と履物を考えるとやはり今は持っていなかったと思うが。


塔に向かって暫く、木鹿、巨大うさぎに続く新たな生物を発見した。


(猿?かな?ゴリラというには小さいし)


それでも普通の猿に比べたら十分に巨大であるが。

そして猿は群れを成す生き物だ。

目に入る限りは8頭の群れ。


餌でも探しているのか、土を掘り返している。

やがて、満足したのか、それとも餌を得られなかったのかは分からないが8頭が纏まって去っていった。

去っていった方向が、私の方でも向かっている先でもなかったのは不幸中の幸いである。


気を取り直して塔へ向かおう。

と、歩き出したところで猿達が掘り返した土が目に入ってしまった。


(うげぇ…)


そこにはカブト虫の幼虫だろうか?巨大な虫の死骸が半分になった状態で放置されていた。

鳥肌モノである。


(見なきゃよかった…)


野生の猿は虫も食べるらしい。

軽く腕を摩りながらも足は止めない。

今日中に塔へ辿り着けるといいのだが。



◇



体感で5時間程は歩いただろうか?

腹時計などというものがこの身体には既に存在していないのであくまで感覚だがそのくらいは経った様に思える。

最初に定めた方向に歩いたはずだが、未だに塔が見えず不安になってきたところだ。


なんでもいいから見つかって欲しいと考えたのが良からぬものを呼び寄せたのだろうか?

道中で見掛けた猿の群れが私の進行方向に向かっているのが見えた。

何処かから採ってきたのか果実を抱えている。


(うわぁ…向かう方向同じなんだけど)


巣でもあるのかもしれない。

危険ではあるのだろうが、折角得た手掛かりを捨てる選択肢は既に私の中には存在しない。


(見つからない様に慎重に動こう)


猿達の背を追いかける形になり暫く、興味がある物があれば寄り道を繰り返す猿に若干イライラし始めていたが、遂に目的地が見えてきた。


何故だろう?目的地である塔。

もの凄くそれに見覚えがある。


(でも、なんでアレがこんな所に?)


それは、どう見ても東京タワーだった。

随分とボロボロで表面には植物が這っているが東京タワーを見間違えるはずもない。


(入り口部分は埋まってるのかな…?)


大部分が土に埋まっている様に見えた。

勿論というべきか、どう見ても人が居るようには見えない。


鉄塔部分は猿達が巣として使っている様だ。

ある意味、人の痕跡は見つかったが期待していたものではなかった。


(これからどうしようか…)


悩みは尽きない。




お読み下さりありがとうございます。

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