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能面  作者: 一十三
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第二話 ゲーム

日も沈み、既に外は薄暗い。


しかし気分は明るく、自然とアクセルを踏む力が強くなる。


「能面の館」の動画と出会ってから今日まではあっという間だった。


サイドシートには車の助手席には、「童子」という男の能面。この能面には永遠の若さを象徴する面だ。そして何より、この能面にすごく惹かれた。


自分の理想の顔が手に入るなら片道4時間の道のりも、まったく苦には感じない。

妻には、友達に飲みに行くと伝えてある。マフラーに手袋、厚着もしてある、この寒さだ。こんな所で凍え死んでもおかしくない。

今日で俺は人生が変わるんだ。


「ここの山だ」

この先からは車が通れない道が続く。スマホで時間を見ると八時二十分。

外は完全に暗くなり、周りには街灯もない。スマホのライトで足元を照らしながらじゃないと、歩くのが危険なほどだ。車から能面を取り出して、俺は歩を進めた。


口から白い息を吐きながら早歩きで山を登る。一歩一歩と踏み込むたびに、鼓動が早くなるのを感じる。


三十分ぼど歩いた。指先の感覚はもうない。

明かりの漏れた建物が見えた。

「あった。本当にあった」

俺の目に「能面の館」の看板の文字に入る。

館は温泉旅館のような見た目で、山の中にある事が信じられないほど大きく、キレイだ。

入り口の横には、小面という女性の面をつけた、人物が立っている。

「ご足労いただきありがとうございます。この扉を潜ればあなたの人生は変わるでしょう」

ゆったりとした話し方、声は男とも女ともとれる声だった。

しかし、館が目の前にある、小面の性別のことは今はどうだっていい。急いで入ろうと館の中に足を踏み入れようとした時、

「お待ち下さい。この館には三つのルールがございます」

「どんなルールでしょうか」

「一つ、この館に入ってから出るまで、能面を決して外さないこと。

 二つ、赤褐色の般若の能面をつけた人物の言うことは必ず守ること。

 三つ、今日起きたことは口外しないこと。」


「分かりました。必ず守りますよ。」

 

「ありがとうございます。このルールを守っていただけない場合は理想の顔を提供することは出来ません」


面白半分で来てみたが、この館はとても魅力的に見え、本当に理想の顔が提供されるんじゃないかと言う期待を十分に感じさせられる。


俺は自分で持ってきた、能面を顔に当て、頭の後ろで強く紐を結ぶ。絶対に外れないように、強く強く。


扉を開く、扉の向こうから来る風は暖かい。しかし、俺の目に入ったのは、不気味な景色。

「現実だよな、、、」

壁には何百種類とある能面が、一定感覚でズレもなく飾られている。そして目の前には俺と同じように理想の顔を求めて来たであろう能面をつけた男女が五十人近くはいる。


能面の館は二階建てで出来ており、一階は広く、五十人ほど人がいるにも関わらず、まったく窮屈には感じない。

吹き抜け構造になっており、一階から少し二階が見える。二階は入り口のすぐ近くから見える限りでは、二階には五つの部屋が横並びにある。

他には何があるかと、探そうとしたとき

「能面の館へようこそ」


聞いたことのある声。あの動画の中で喋っていた赤褐色の般若の能面をつけた人物だ。


声のした方を見ると、先ほどまで居なかった二階に般若はいた。

赤褐色の般若は、動画では、わからなかったが背が高い。一目でわかる。百八十後半はあるんじゃないかと思うほどだ。声も生で聞くと、まったく違った。動画では、枯れているような声だったが、今は透き通るような、美しい声になっている。

赤褐色の般若が喋る


「みなさまお静かにお願い致します」

一階にいる全員が一斉に静かになる。

 

「ただいまから能面ゲームを開始します」









興味を持っていただければ評価よろしくお願い致します。

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