LV59 1/10(日)-2
「困ったカメ? 何それ?」
私は今忙しいのに!と、思いながらも齢70を超えた我が家の、女神族の、長として生きる。生き字引、その辺のポータルサイトには真似のできない超レア事象の検索精度に対する信頼度から私達はおばあちゃんの話に耳を傾けている。
「それは……あんたの旦那様は困ったカメを助けて乙姫様のところに連れていかれてしまったんだよ。連れていかれるともう、今のこの世界には戻れないのさ。最初はおねぇちゃんが忘れたろ? それは恐らくおねぇちゃんが一番、直近で会っていたんだろう。その次にママだ。ママは胡桃に昨日話を聞いたんだろうね。じゃぁ次は胡桃と梨花だ。そうやってどんどん過去に遡って最後に会った順に存在が消えていくのさ。じゃぁ、何でこのばあちゃんが忘れなかったか? それは、ばあちゃんは今の今まで、この家にいなかったから、胡桃ちゃんとお話ししなかったから、お姉ちゃんの旦那様の話を更新できなかったからさ」
「ちょっと、おばあちゃん。それ! どうすればいいの? 助けに行くよ。私は」
梨花が画面越しに怒声を浴びせている。おばあちゃんの後ろで胡桃も同じように言っているのが遠く聞こえてきている。
「助けか……どうすればいいのか? うちの支族に時間を操る術を得意とする者がいるよ。そいつらに話を聞きに行って見なさい。何かのヒントになればいいけど……胡桃あんたが行ってきな。お前なら、独自詠唱で術として実現できるかもしれないからね。
でも、おねえちゃん聞いた事あるだろう? 神隠し……って。実はそれほど少ない事では無いんだよ。それと……助ける事も、おねえちゃんが大切だと思うなら出来るだろうさ」
最後の方、おばあちゃん少し含み笑いしている。脅しを入れて来たな。ってことは、不可能じゃないのね?おばあちゃんは、私にやってみなさいと言っているのよ。わかったわ……
梨花が、
「おあばちゃん。胡桃がオリジナルチャームを完成できたとしても私は胡桃と200kmも離れているんだよ。胡桃だけでは行かせられないよ」
と、出来ない理由を言った。そうか、距離が問題なら、
「梨花、胡桃! 私の所に集まって。私が行くよ。助けに。だって、私の旦那様。なんでしょう?」
「それこそ無理だよ。おねえのとこまで、どれほど遠いの」
「大丈夫。40秒で支度して! 直ぐに迎えのヘリを向かわせるわ!!」
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