LV12 ヒント
俺の背中に座り上半身を俺の背中に預けると、耳元で、
「昨日はすごかったね」
綺麗な日本語で呟いた。
すごかったんだ。へへ。喜んでもらえて恐悦至極。って本当かよ?え?本当かよ?え?本当かよ?
とりあえず三回言ってみた。
覚えがない。どうせなら記憶のある時にお手合わせ願いたかった。
「とりあえず下りてくれる。それからきちんと話しよう。な」
人間ベンチになっている俺が女王様よろしく俺の上で足を組む”妹”に向けてそう言えた時には、彼女のツルツル生地のパンツからお尻の体温が十分伝わってきたころだ。
トランクスの足枷を急いで脱出し服を着た俺は、既に大人の威厳はどこかに消え去り、一足先に着替えが済んで椅子に座って俺を観察するように見ている”妹”に向けて、強面を装い質問するのが精一杯だった。
「で?お前は何者なんだ?」
「ねぇ?わからないのかな?おにいちゃん」
”妹”はスマホを片手で操作し、ついでに俺と話している。そんな爪で良く上手い事操作できんな。しかも、模様は市街戦デジタル迷彩パターンかよ。俺が長めの付け爪に感心して見入っていると、
「お兄ちゃんって鈍い?もしかして」
チラ見しながら俺と画面の往復で視線移動に余念がない。
「そのお兄ちゃんからして謎だよ」
「へぇ~。そうなんだ」
スマホの画面を見て、まともに会話をしようと言う感じが伝わってこない。
「じゃ~、ヒント」
いらんわ。正解のみよこせ。
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