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29/87

【29】 博之は後ろから奈美を包むように

奈美「ゴメン、なんかケーブルカー酔いしたみたい」

 下を向いて、額を押さえた。

博之「大丈夫ですか?」

奈美「大丈夫じゃない。私を抱えてくれる?」

博之「はい」脇を抱えた。


 隣から、

順子「その手を使うか。熱い、熱い、」

洋次「仲が良いことで」


 話しているうちに、ケーブルカーは終点に着いた。4人はケーブルカーを降り、しばらく歩くとNソウルタワーのふもとに着いた。

順子「着いたわね」

洋次「着いた、着いた」


 4人は、Nソウルタワーの展望台に行くエレベーターの切符を買った。奈美の財布から先ほどの源泉徴収票が顔を覗かせていた。4人はエレベーターに乗った。エレベーターは秒速4mの速さで昇っていく。

 エレベーターがNソウルタワーのデジタル展望台に着いた。海抜479mの高さである。


順子「わーっ、すごい眺めね」

洋次「ソウルの町並みが丸見えだよ」

順子「ロッテワールドも見える?」

洋次「見えるんだろうけど、よくわからないな」


 順子と洋次が仲良くしていた。一方で奈美と博之も、奈美が高倍率で景色が見えるデジタル望遠鏡を覗き込むと、博之は後ろから奈美を包むように立ち、デジタル望遠鏡を覗き込んだ。


奈美「ねぇ日本に戻ったら確定申告してもらってもいい」

博之「多少アドバイスは出来ますが、基本的には奈美さんに記入してもらいます」

奈美「さっぱりわからないけれど、記入できるかしら?」


博之「4万円をあきらめますか?」

奈美「とんでもない! 私にとって4万円は大きいわ」

博之「じゃぁ頑張りましょう!」

奈美「はい」


 それが奈美と博之の出会いであり、二人は日本に帰ってきて会う立派な理由が出来たのだった。

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