メアリス、寄り道をする
「それではベッドを2つご注文ですね」
「はい、無縁墓地までお願いします」
「かしこまりました、出来ましたら配達させていただきます」
私は町の家具屋さんにベッドの注文に来ていた。
本来は教会指定の物を使わなくてはならないのだが、あの小屋に入れるサイズではない。
教会で使用しているのは二段ベッドのカーテン付き、そして意外とスペースを埋める。
流石にあんな大きい物を入れる訳にはいかないので教会に許可を得てベッドを購入する事にした。
勿論、二段ベッドではなくシングルを2つだ。
奥の私室に置く予定だ。
「後は……、そうだシャワーもつけなきゃいけないわね」
小屋には浴槽はついてなく濡れたタオルで体を拭いていた。
一応女性だし身だしなみはやっぱり大事にしないと。
「家具屋さんには無かったし……、シャワースペースを作らないといけないわね。大工さんに相談するべきかしら……」
ブツブツと考え込んでいたらいつの間にか教会の近くに来ていた。
「あら、帰ろうと思ったのに……」
まだ日は昇っているのでちょっと寄り道をしていこう。
「メアリス様、こんにちは」
「こんにちは、お勤めご苦労さまです。司祭様はいらっしゃいますか?」
「司祭様は現在出掛けておりまして……」
お出かけですか、残念。
「実は新しくこの地の領主になった方に招待されて……」
「新しい領主様? あぁ、そういえば前領主は過去の犯罪がバレて逮捕されて没落したんでしたね」
そのきっかけを作ったのは私なんだけどね。
「えぇ、それでこの地に赴任されたのがなんでも司祭様のお知り合いだそうです」
「貴族にお知り合いがいたんですね」
まぁ、貴族の中には熱心な方もいらっしゃるからなぁ、と思いながら軽く聞いていた。
まさか、新領主が私とも顔なじみの人物だとはこの時思わなかった。




