幕間 王都
メアリスが墓守としてマイペースに過ごしていた頃、王都にある教会では幹部達が頭を抱えていた。
「結界の様子はどうなっている?」
「日に日に弱まっています。このままでは魔獣が破るのも時間の問題と思われます」
「聖樹の様子も一部が腐りかけています、放置していると枯れてしまう可能性が」
「聖樹が枯れるなんて前代未聞の事態だ……。 このままでは教会の威厳に関わってしまう……」
そう言って若き司祭は頭を抱えていた。
メアリスがいなくなってから数日後には目に見える異変が起こり始めていた。
王都の教会本部には聖樹と呼ばれる大木がありその世話は聖女の仕事の1つである。
水を上げる事は誰にでも出来る事なのだが聖女の力を捧げるのは聖女しかいない。
その聖樹が徐々にだが腐れ始めたのである。
原因は明らかに聖女の力の不足。
更に結界の様子を見に行った者から弱体化の報告もあり現在教会本部は対応に右往左往しているのが現状だ。
「やはりメアリス嬢を追放するべきではなかった……、もっと懇々と説得するべきだった」
「メアリス様に戻って来て貰う様にする訳には……」
「……無縁墓地付近に聖域が展開されている」
「えっ!?」
聖域とは聖女の加護が貰える範囲の事を指す。
今まで王都で大きな災害が起こらなかったのも聖域に入っていたから。
その聖域が移動し王都から外れてしまった。
即ちこれから災害が王都に降りかかる事を意味する。
「しかしメアリス嬢は聖女の役を外されている筈では……」
「それが大きな勘違いだった、メアリス嬢は今でも聖女なのだ、我々が手を出してはいけないのだよ……」
「すぐに国に報告した方が……」
「強硬にメアリス嬢を聖女から外せ、と言ったのは王族だ。我々が今更何を言っても聞く耳など持たないだろう、新たな聖女もこちらに近寄ろうともしない」
「聖女教育も全く進んでませんからね……」
「判断を間違えた、我々に神はどのような裁きを下すのか……」
その審判が近い内にやってくる事はまだ知らない。
何せ唯一神とコミュニケーションを取る事が出来るメアリスがこの地にいないから。




