表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神妖クルセイド  作者: いかろす
-神鬼邂逅ノ章-
32/32

二十八章 燦爛たる巡礼路 -前編- 

巡礼という語を本来の意味とややズラして使うことを生業としている者です。

「強くなりたいかい?」

 目を開いているはずなのに、景色は雪景色のごとき銀世界。影も形も皆無で、すべてが灰燼に帰した後のよう。意識はあるのに、自身の姿すら視認することは敵わない。

「おーい、鮮音。聞いてんのか?」

 知っている声だ。しかし、幻聴としか思えない。なにも見えない。聴覚だけが働いている。

「お~~~~いあざね~~~~」

「……狼銀さん?」

 瞬間、世界が開いた。河川敷。ゆったりと流れゆく河面には、鮮血よりも濃い夕焼けが映り込む。対岸には無機質な住宅街が続いていて、土手に寝そべっていた鮮音からは、家々の上部だけが見えている。

「どこ見てんだっつの。あたしはここよ」

 狼のたてがみを思わせる銀の髪。笑みをこぼしてこちらに手を振る彼女は、鮮音の先輩神術士である狼銀である。いつもの鋭い眼光は、この時ばかりは和らいでいた。

「見えてる? あたしのこと見えてる?」

「見えてます見えてます」

 狼銀は土手に座り込み、鮮音は寝転がっている。ここに至るまでの記憶がない。狼銀となにかを話していることだけは確かだ。思考は宙ぶらりんなまま、鮮音は狼銀の質問に答えることにする。するのだが。

「……なんでしたっけ」

「人の話はちゃんと聞け。強くなりてえかって聞いてんの」

 単刀直入である。前後の文脈によりけりな問いかけでもあるが、あいにく鮮音にはこの状況に関する記憶がない。フィーリングで答えるほかないだろう。それに、答えは、いつだって決まっている。

「なりたい。なりたいに決まってます」

「だよなあ」

 空を見据える狼銀の瞳。虚ろにも、寂しげにも映る。久々に再会した彼女がなにを想うのか。問うてみたくはあるが、なんと切り出すべきか。

「お前をここに引き止めたい」

「……えっ?」

「無茶な話だってのはわかってるよ。お前が進みたがってんのも、十二分にわかってるつもり。でもさあ、あたしも鮮音を育てて来た一人としてはさ、思うとこあんのよ」

 彼女の手が鮮音の方へ伸びて来て、頭をぐしゃぐしゃと撫で回す。雑な手つきだ。それでも、知ったぬくもりがあたたかい。狼銀とはいつから会っていなかったろう。彼女は今、どこに居るのか。ここに居るとわかっている筈なのに、意識の中の鮮音がささやく。狼銀はここに居ない。

「努力して強くなんなきゃ嘘、なんて言うつもりはない。あたしだって神装使って戦ってんだ。でもさ、そうじゃないんだ。この先にあんのは、そういうんじゃない」

 鮮音の頭から、彼女の手が離れて行く。なぜだか愛おしく、離れることを惜しみたくなるぬくもり。

「なんつーかな……上手く言葉にできねえけど。あー! 悔しい! マジで悔しいんだ。これでも指導者だからさあ。わかる? この気持ち」

「いや、よくわかんないです」

「だよなー。結局さ、今のあたしにできることなんて一つしかないんだわ。悔しいけど。何度でも言うよ。あたしはなんにもできない自分が悔しい」

「狼銀さん……?」

「今からすげー無責任な言葉をかける。許せよ」

 狼銀の目が鮮音に向く。目と目が合う。吸い込まれそうだ。彼女の瞳には、薄い光しか灯っていないように見えた。儚げ、とでも言うのか。彼女らしくない姿に、鮮音はただただ、困惑しきりで。

「がんばれ。負けんな」

 その言葉は、いつもの狼銀のごとく力強くて。

 瞬間、地面に穴が開いた。鮮音の寝転がる地面だけが、真っ黒な闇に変わる。脱力していた鮮音は、成すすべもなく落ちていく。穴の淵に居る狼銀の瞳が、寂しげにこちらを見つめていた。


 ◇


 落ちていた。最初は叫びながら。次第に声はなくなり、落下に対する困惑も消えていく。

 バンジージャンプすら経験したことのない鮮音だったが、長い長い自由落下の果てに、恐怖というものを忘れていた。

 視界には、空間を覆う得体の知れない漆黒と、自分の身体。なにもわからないならば、反応のしようもないというもの。落ち続けるに身を任せ、鮮音は目をつぶる。

 だがある時、落下の感覚が消えた。と思ったら、なにかに腰かけている。ゆっくりと目を開くと、まばゆいほどの「白」が目に飛び込んできた。

 鮮音は、真っ白な一人掛けソファに座していた。包み込まれていると錯覚するようなふかふか度合いが心地よい。だが、落下の衝撃がなかったことが不思議でならない。

 そして、目の前には、一人の少女が同じソファに座していた。

 少女は、とにかく白かった。透き通るような純白の肌に、雪のようにはらりと流れるロングヘア。風になびいたらさぞ美しいであろうワンピースがよく似合っている。

 彼女の手には、フィギュアが握られていた。鬼を擬人化した美少女フィギュアである。そのフィギュアは露出度が高いキャラクターデザインで、可動フィギュアゆえに肘や膝が曲がるようになっている。

 可動のため、そのフィギュアには球体関節が使用されていた。人を模した形に作られているのに、人とは思えない形が可動部に浮き上がっている。鮮音はそれが、歪に見えた。

 フィギュアに視線を落とし続けていた少女。不意にそれをひじ掛けに座らせた少女は、ついに鮮音の方を見た。

「や~~~~~っと来たか」

 少女の第一声は、それであった。鮮音は当惑しきりで、なにを言い返したらよいのやら。

「おい、なんとか言ったらどうだ、あざね」

「えっ……なんとか」

「そういうことじゃなくて~」

 頬を膨らます少女。かわいらしい仕草が、見た目相応。

「……キミは誰?」

「キミとか呼べる立場か?」

「立場って……なんなんだよ一体。ここも、キミ……いや、あんたも」

「キミもあんたも変わらんだろう。もっとほら、ちゃんとした呼び方あるだろう」

「はぁ……あなた、でいいか。名前は?」

 問うと、少女はふん、と一息。足を組み換え、気配を何倍も大きく膨らませて、告げた。


「我は、神だ」


 一拍置いて、神と名乗る少女は、ため息を一つ。表情にはあからさまに落胆の色が映る。

「とか言っても、信じてもらえないよな~」

「まあ、そうだな……」

 鬼美少女フィギュアをつんつんいじりだす少女。ここまでを総合すると、ただのイタい女の子という印象しか抱けない。

「そうさな、我のことは神楽とでも呼んでくれ」

「神様ってそんな名前か?」

「いいだろう? あざねだってあーちゃんとか呼ばれるだろうが。いや、そういうのはなかったか」

 少なくともそのような安直なあだ名で呼ばれた記憶はない。

「もっとこう、神の名前ってしっかりしてるだろ。ひこひこみたいな」

「はぁ? ああ、ニニギのことか。あざね、あれの正式名称言えるか? アメニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギ。相変わらず長いな」

「覚えきれねえよ……」

 ふふふん、と神楽は笑う。現状は、彼女にいいように遊ばれているとしか思えない。

 神楽といえば、神道の祭祀がそのように呼ばれている。その名前に、神との関連性がないこともないのだ。

 だが、彼女が神と言われたところで、納得いくはずもなく。

「ふう。ま、雑談はこれくらいにして。あざね、鬼さんと随分因縁があるようで」

 鬼──キズカ。思い浮かべるだけで沸々と湧き上がる戦意。しかし、敵はここに居ない。というか、なぜ神楽がキズカのことを知っているのか。

 ――てか、さっきまで戦ってたよな?

 気づいたら狼銀と語らい、また気づいたらここに座らされていた。状況への理解は一向に進まないまま、流されてここにいる。

「気分はどうだ? 今の気分」

「気分ってどういう」

「負けた気分」

 可愛げある声音に在る重みが、鮮音の心に突き刺さる。敗北。それも、二度目の。

 鮮音は確かに強くなっていた。だが、キズカに挑める程ではなかったのだ。意志とか根性で戦いに勝てるようなら、世界の歴史はもっと捻じ曲がっていたろう。鮮音は、この世の摂理――弱い者は負ける――に則り、敗北を喫したのだ。

 なにも言い返せなかった。同時に、この少女が全てを知っているのだと悟る。神というのも、あながち冗談ではないのかもしれない。

「……酷な質問をしたな。悪い、話題を変えよう。あざね、聞きたいことはあるか?」

「ここ、どこなんだ」

 問うと、神楽は顎に手を当てて「う~ん」と悩む仕草。少しだけわざとらしい。

「あざねの中であり、我の中、といったところかな」

「中。中……なんでわたしの中にわたしが?それに狼銀さん、神楽も」

「あざねはあざね。狼銀は記憶の中。そして我は、おまえと常に一心同体だからだ」

「わたしが、神楽と。つまり……?」

「折れた刀に光を宿し、戦の最中に声をかけてやったろう。少し声色は違ったやも知れぬが、あれは我よ」

「あれがお前!? そんなわけあるか!」

 自分の中になにかがある。もしくは、なにかがいる。そういう認識だけは、確かに存在した。しかし、その正体がこのような少女だとは、思いもよるまい。

「な~んだなんだ。おまえ、自分が特別だとか思ってるのか? 勘違いも甚だしいぞ。まあおまえのこと、嫌いじゃあないけどな」

 神楽と会話は出来ている。しかし、理解には追いつけない。

「天皇の息子とか、前世がスゴイとか、そういうの欲しかったか? それだったなら申し訳ない。あざね、おまえはただの人だ」

「……わたしは神術士だ。それでもただの人なのか?」

「おお、そうかそうか。ただの人、ではないな。神術が使える、ちょっと珍しい『人』だ」

 驚くようなことではない。鮮音が人であることは、事実なのだから。

「神力が使えても人は人。おまえはおまえの仲間たちを人でなしと言うのか? 言わんだろう。おまえも、おまえの仲間も、我々からすれば見下ろすばかりのただの人よ」

 我々。見下ろす。天に在って人を見守る神のごとき言動。神楽のそれは、容姿に反して堂に入っていた。

「……本当に神なのかもな」

「はあ? まだ信じてないのか」

「だって対等に話してるだろ。見下ろしてな」

 はぁ~、と神楽は大きなため息。その目は呆れ気味に鮮音を見やる。

「見とれ。そして、見惚れろ」

 告げる刹那、ソファに座す神楽が、浮き上がった。

 タネも仕掛けもなく、可視化神力も出ていない。神楽は、ただ浮いていた。その背後は輝いているようにも見えて、少しだけ眩しい。後光だ。

「これではただの(奇術師)イリュージョニストだな。う~む。どうすれば信じてもらえるかのお」

 彼女はまだ悩んでいるようだが、鮮音は既に、彼女の存在を、神の存在を信じ始めていた。己の中に宿る敗北の記憶。そして、彼女から射す光は、まぎれもない神術の光であったがゆえに。

「そうだ! こうしよう」

 神楽は小気味よく手を叩く。次の瞬間、神楽の姿が空間から消えた。

「……えっ、神楽? おーい」

 頭上に居た筈の彼女だが、元居た空間はただの純白。下に降りたのかと思い、鮮音は視線を下方へ動かす。

 そこに、静音が座っていた。


 ◇


 そこに座す静音は、気まずそうに口を引き結び、目を逸していた。鮮音がどれだけ凝視しても、その顔は下を向いたまま。何も語ろうとはしてくれない。

「……静音?」

 本物だった。夢の中とか、記憶の中の情景ではない。より鮮明に瞳に映る静音は、記憶の中より綺麗に見える。その代わり、面持ちは暗い。

「本当に、静音なんだよな」

「なによ」

「えっ」

「なによなによなによ! 絶対会いたくないって言ったのに!」

 突として上がる大声に、鮮音はたじろぐ。同時に、その声が彼女のものであることに、安心させられる。

「どうしたんだよ急に」

「どうしたって、どうしたもこうしたもないわよ」

 彼女の目は、一行に鮮音と合わない。肘掛けに乗った鬼の擬人化フィギュアを見つけた静音は「なによこれ」と吐き捨てるように言う。

「会いたくなかった。狼銀さんは意気揚々と行っちゃったけど、私は絶対嫌だった。神楽にも誘われたけど、がんばって断った。なのに」

「神楽と知り合いなのか」

「んなことどうだっていいでしょっ!」

 ついに立ち上がった静音──目と目が合う。濡れて艶めく瞳は、こみ上げている涙ゆえか。彼女のしなやかな手が伸びてきて、鮮音の胸ぐらを掴む。強く、掴む。

 涙は、こぼれ落ちた。

「なに死んでんのよ、バカっ……」

 彼女の手が、胸ぐらから離れる。静音。名前を呼んだ瞬間、二の句を継ぐ前に抱きしめられた。

「おばあちゃんになってから来なさいよ」

 この再会は、喜ばしいものなのか。静音。鮮音の人生には欠かせなかった存在。同じ「音」を名に持ちながら、決して同じ音を奏でることはなかった。しかし、二人の人生は重なっていた。たとえ違う音色でも、合わされば時に美しい調和ハーモニーを成す。

 泣いている人がいる。悲しみの涙を流す人が。とても大切な人が。そんな再会が、喜ばしいものの筈はなく。

「わたしは、死んだのか」

「そいつは死んどらんぞ」

 抱き合う二人は「「えっ」」と同時に漏らす。声の主は、ソファの背もたれによりかかって立つ神楽であった。

「ここは我の地平フィールド。対面で話すには、呼び寄せる必要がある。狼銀や静音はこちら側だが、鮮音はあちら側の人間だからな。彼岸と此岸、と言えばわかるか? ここは、その中間地点でもあるのだ。呼び寄せるには、ちと面倒な過程プロセスを踏む必要があった」

 ほらほら離れた離れた、と神楽は手をひらひらさせる。渋々といった具合に離れた静音は、目元を赤く腫らしていた。ぐすん、と鼻をすすりながら、鮮音の目を見つめている。

「じゃ、用済みってことで」

 言いつつ、神楽が指揮者のごとく手を振るう。すると、静音の姿が薄くかき消え始めた。

「ちょ、ちょっと神楽!」

「なにか文句でも?お客人」

 それ以降なにも言えぬまま、静音の姿は消失した。今までそこに居た筈の、本物の静音。一連の事で、一気に現実味が消え去っていく。

「おい静音! 神楽、静音をどこに!」

「まあまあ静まれ静まれ。あとでたっぷり話させてやるから。それよりな、お前に話しておかねばならないことを先に済ませる。お前も静音も、その方が好都合だろう?」

 神楽の小さな手は、鬼美少女のフィギュアの方へ伸びる。そして、デコピン。フィギュアは、まばゆい床へと落ちて消え去った。

 彼女の視線が鮮音に向く。その瞳は、笑っている。

「鬼を討て」


 ◇


 少し歩こう、と神楽が言うので、彼女の背を追って鮮音は歩き始めた。

 周囲の景色は、とにかく白かった。清潔感があるものの、清潔が過ぎるだろうと鮮音は感じる。

 だが、神楽の歩いた場所は、光の絨毯で彩られたように見えた。光の絨毯には、時折あみだくじを書いたような黒いラインが刻まれている。それが神社の参道の石畳を模した形と気づくのには、少々の時間を要した。

 その道のド真ん中を行く神楽の姿は堂々としていて、背中は彼女の背丈よりずっと大きく見えた。参道の真ん中は、神の通り道と言われている。彼女がそこを歩くべき存在であることは、気配から強く感じられた。ゆえに鮮音は、神楽の右斜め後ろを歩く。

「こうして相まみえることができて、我は嬉しい」

「……そか。わたしとしちゃ、なにがなんだかよくわかんねーけど」

「だろうな。だから、順序立てて説明してやる」

 神楽は空に向けて指をぴんとまっすぐ立て、まずは──と切り出す。

「あざねは、キズカに負けた」

 初手から痛いところを突かれる。言い返すことなく、次の言葉を待った。

「我の助けを得たが、それでも勝てることはなかった。だから、ここに導いた」

 それきり、神楽が順序立てた説明をすることはなかった。鮮音は思わず「それだけ?」と問うと、愛らしい声色で「それだけ~」と返ってくる。

「理由を説明しろよ。それが順序立てるってもんだろ」

「理由なんぞ単純明快。あざねを強くするためよ」

 その時、白き地平にぼやけて映し出される情景。さながらスクリーンのごとく、純白の世界に浮かび上がる。

「今だけはお前も我も観客オーディエンス。楽しむも苦しむも自由だ」

 静音と徒競走をする鮮音。

 狼銀と模擬戦に勤しむキズカ。

 雨の市街地の中で、静音を抱く鮮音とそれを見るキズカ。光の刃でキズカに応戦する鮮音。

 綾を守ってフィメルと対峙する鮮音。

 鮮血に塗れ、制圧された空港に立つキズカ。

 邁華の模擬戦に受けて立つ鮮音。頭を抱え、キズカの声を聞く鮮音。神術士本部に侵入し、猛攻を繰り広げたキズカ。

 そして、廃ビルでの決闘。

 地面に叩きつけられた鮮音は、意識を失っていた。

 それは、大敗への軌跡。噛みしめる敗北の味。あまりにも苦い。しかし全ては、己の弱さが招いたこと。

「あざねは悪くないぞ」

 どれだけ歩いただろう。周囲の景色が純白に戻った頃、神楽は声を発した。

「この世には無数の不条理が存在する。神はそれを覆さない。時に神が悦に浸るべく起こした不条理もあるがな。そして──」

 くるりと、神楽が踵を返す。重なり合う視線。白と黒で構成された彼女の瞳が、絵の具を垂らした水みたいに突如として金色に染まった。スカートがふわりと揺れて、いたずらっぽい笑みが口端に浮かぶ。

「我は、その不条理を覆すべく、あざねをここに招いたのだ」

 瞬間、神楽の上に真紅の鳥居が現れ、さらに奥、厳然たる風情の神社本殿が建ち上がった。

「礼を」

 自然と、鮮音はその場で一礼。神社に入る際には、鳥居をくぐる前に一礼するものだ。神の領域に入る前の、人が成すべき礼儀作法の一つ。

「次はもう少し綺麗な礼を。では進もうか」

 本殿へと歩み出す神楽。崇め奉られる者だけが、ここを帰路として歩むことを許される。

 固唾を飲み、鮮音は神の背を追う。


 〈つづく〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ