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Another Tiny Dungeon~戦争奴隷の人族だけど平和な学園生活を送りたい~  作者: フォンダンショコラ
第一章「どうせやらなきゃならないなら、思う存分やってみる」

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プロローグ

新しく連載を初めてみました。

またよろしくお願いします。

「なんで・・・」


 逆巻く炎。振りかざされたキレイな剣。息を呑むほど美しい金髪赤瞳の女性が楽しそうに笑っている。

 紅蓮の壁に包まれた私は力なく膝を付き、呆然と見上げていた。


「さあ、妾を楽しませろ」


 アルト調の声で目の前の女性が言った。今にも振りかざした剣を振り下ろしそうだ。

 私は頭を振る。まるで意味がわからない。

 今日は入学式だったはずだ。怖い怖いお祖母様が突きつけてきた選択肢。嫁入りするか勘当されるか入学するか。まだ結婚したくないし、遊びたいし、悠々自適に堕落して過ごしたい。そんな思いから消去法で選んだ道のはずだった。


 予定ではここから4年間の間は学園生活で自堕落ライフを満喫する。その予定が決まっていたから、この展開はわけがわからない・・なんてのは嘘だ。

 本当はわかっている。

 幾度となく繰り返された一連の流れ。私を試す物言い。魔王の次期花嫁と言われた私に対する周囲の態度。

 つまりは宣戦布告。


「・・・で、できない」


 絞り出すようにかすれた弱々しい声が私の口から出た。精一杯の拒否。これで相手は私から興味を失うはず。


「・・・なんだと?」


 失望の色をにじませた声が金髪赤瞳の女性の口から漏れた。

 まずい。失敗した。私は自分が致命的に間違ったことを悟った。

 でも無理だ。そんなことできるわけがないんだ。


 だって私は無能なんだから。私にはできっこない。

 魔族の実力至上主義とか、決闘による序列の入れ替えだとか、痛いこと嫌いだしできるわけがない。

 いつまでたっても、首を振るだけの私に対して相手の興味関心が薄れていくのを感じる。

 うん。今日もうまく行った。これでこの件はもうおしまい。


「醜いな」


 情けなく尻もちをついて、ただうなだれて頭を振るだけの私に、相手から投げかけられた言葉がづきづき刺さる。

 私だって好きで魔族をやってるわけじゃないんだ。脳筋バカは脳筋バカで全部ひっくるめてあっちいっちゃえばいいのに。

 心のなかで悪態をつく私に、金髪赤瞳の女性は冷然と言い放った。


「見るに耐えん。死ぬがよい」


 それは断罪の言葉だった。

 とっさに顔を上げた私がみたのは、振り上げられた剣が無造作に私めがけて振り下ろされたところだった。


「―え?」


 うそでしょ?

 振り下ろされる剣。

 私は目を閉じた。

 けれど、死は訪れなかった。

 甲高い金属音が、炎の中で弾けた。


「そこまでです」


 震える瞼を開けた先にいたのは、この場でもっとも弱いはずの、人族の少年だった。

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