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王国最弱の魔法使いは、大嘘つきである

作者:凪 佐藤
最新エピソード掲載日:2026/04/30
これは、ある男の嘘の話だ。

嘘をついた理由は、単純ではない。恐怖からでも、打算からでも、悪意からでもない。強いて言うなら——少し、面倒くさかっただけだ。

もし「本当の力を見せればよかったのでは」と思うなら、それはもっともな意見だ。俺もそう思う。ただ、一度ついた嘘というのは、雪だるまに似ている。最初は小さい。気づいた時には、転がすのをやめられなくなっている。

この物語には、鋭い目を持つ少女が出てくる。面倒見のよい先生が出てくる。やけに人懐こい金髪の先輩も出てくる。彼らは全員、俺のことを最初から「おかしい」と思っていた。正しい直感だと思う。

俺は確かに、おかしい。

別の世界から来て、途方もない力を持ち、それを三だと言い張っている。どう考えてもおかしい。

ただ——おかしいなりに、この世界は悪くなかった。

空は青かった。飯は美味かった。隣の席の少女は、不器用で、真面目で、時々意地悪で、それでいて——思ったより、ずっと真剣に俺のことを見ていた。

それだけで、十分だったかもしれない。

では、始めよう。

王国最弱の魔法使いの、嘘だらけの学院生活を。

— 神崎蓮、記す
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