何故かセーラー服を着て、にこりとほほ笑む混沌神が居た
「ハッ! そういやまだエルフ国の教会行ってなかった!」
そして靴下の納品をするのを忘れていた。イズ先生の羞恥靴下を!
……あれ? おかしいな。普段ならこういうとき神様が催促してくるところなのに。
まぁあの神様のことだ。恋人とイチャイチャしてこっちを見ていないだけに違いない。
そうだ、ついでにSPで魔法覚えちゃおうかな。
簡単な奴を覚えておけば授業で困らないでしょ。
「ディア君、アイシア、ちょっと教会行ってくる。晩御飯までには帰ってくるからね」
「あ、はい。行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃいませ、あるじ様」
というわけでやってきました教会。早速エルフ耳のシエスタを発見。
……サキュバスボディにエルフ耳。おっとりした顔がねっとりした色気を醸し出している……こりゃたまりませんなぁ!
「あら御同輩。お祈りですか」
「エルフのシエスタも可愛いね! うん、納品ー」
「そうですか。お疲れ様です。あ、ちなみにただのエルフではなくエンシェントエルフです。神聖で憧れの的なんですよ。あと他のシエスタと比べて超長生きです」
「なんか強そう! まちがいなく凄い」
確かにほんのり神聖なオーラを纏っている。サキュバスなのに。
まぁ神様の使いで天使でもあるから神聖なことには違いない……いやどちらかというと聖じゃなくて性とか精とかだったね。サキュバスだし。
「じゃ、納品してくるねー。あとで耳はむはむさせて」
「うふふ、お断りです」
と、軽いやり取りをしたうえでお祈り開始。神様ー、納品しに来ましたよーっと。
……
ん? こねぇな。いつもなら騒がしく『待ってましたー!』って突っ込んで来るはずなのに。
「あら、いらっしゃい」
「あれ?……んん、カオル、じゃなくて、混沌神様?」
そこに居たのは白いオーバーニーソと何故かセーラー服を着て、にこりとほほ笑む混沌神が居た。
「……なんでセーラー服?」
「あの子のリクエストで……」
「えー。まぁ、そうなんですか」
「ちなみにこの服が拘束具にもなってるから逃げられないのよ」
「わぁ……」
さすが神様、捕えた恋人を逃がさない。
「混沌神様もウチの神様にもっと怒って良いんじゃないですかね。見た目が子供だからって甘くしてるから付け上がるんですよ」
「……あ、や、その。ここだけの話ね? 私、あの子の『病的に私の事大好き』ってとこが一番好きなのよ……この拘束具も私が絶対に逃げられないように精一杯ガチガチに術式組んでるの。こんなの愛おしくて壊せないわよね」
なるほど余計なお世話だったか。アンタらお似合いだよと祝福しておこう。
「で、えっと。ウチの神様は?」
「ああ。あの子ならちょっと創造神にお尻叩かれてるから不在よ」
何かしでかしたらしい。何をしたんだ、オイ。
「大丈夫、あなたやこの世界とは何の関係もない別件よ?」
「聞かない方が良いヤツですかね?」
「子供の可愛いイタズラがバレてパパに叱られてる、ってだけだから本当に大した話じゃないわ」
「あ、そうなんですか」
ならよかった、のかな?
「まぁそのイタズラも私をこの世界に監禁してることを隠すための囮だから、あの子にとって想定内よ。世界の管理マニュアルも置いてったわ」
「あー」
大好きな恋人の為に無駄に体を張る神様。すごく想像に容易い。
本当に大した問題じゃなさそうで安心した。
「少しすれば戻ってくるけど、この世界では数カ月先くらいになるわね。というわけで一時的に私がこの世界の主神を務めているわけ。それで、何の用かしら?」
「……えっと、神様に頼まれて手に入れた靴下の納品をですね」
「……ああ。そういう」
やれやれ、とこめかみを手で押さえてため息をつく混沌神様。
「天使のサキュバスが大量に靴下を捧げてるから、これはあの子の置いていったマニュアル通りスイーツを授けてるのだけど……こっちはマニュアルにないわね。スイーツでもいる?」
「あー、査定額次第でSPってのを貰ってたんですけど。そしてカタログから選ぶ感じで」
「SP? スキルポイントの略? この世界にそんなゲームみたいな仕組みなかったと思うのだけど」
「えっと。ソックスポイントらしいです」
「……つまりあの子のさじ加減ね。ごめんだけど、あの子が帰ってくるまでそっちで管理しておいてもらえる?」
「あ、ハイ」
むむむ、そうなるとしばらくSPカタログも使えなさそうだなぁ。
そもそものSPが神様の方で適当にやってる話である。つまりポイントの照会ができない。
……まぁいいか。自力で魔法覚えればいいだけの話だ。魔力が無いわけじゃないんだし、いけるだろ。
「じゃあ靴下はこちらで持っときますんで」
「そうして頂戴。無駄足を踏ませたわね」
「いえいえ。……ところで、この世界の主神? が混沌神様になったことで何か影響ってあります?」
「ちょっと犯罪が起きやすくなるかもしれないわね。私そういう神様だし。理性と欲望の境界線がちょろっと混沌しちゃうのよ」
混沌しちゃうのかぁ。
地域によっては世紀末ヒャッハーな町になりかねないってことかなぁ。
お祈りを終えて戻ってきた。
「というわけで、今神様不在なんだってさシエスタ」
「へー。そうなんですね? まぁ私は美味しいスイーツが食べられるなら関係ないです」
シスターなのに軽いなぁ。自分が仕える神様の話だってのに。
「むしろ私サキュバスなんで、恋人様の方が系統的に近いんですよね」
「そうなんだ。じゃあむしろ主神が混沌神様の方がパワーアップしたり?」
「しますね。男共にスイーツでも貢がせましょうか。最近中々レベルの高いスイーツの屋台ができたそうです」
「……それ、ウチのメイドの発案らしいよ。混沌神様の眷属の」
「まぁ! 道理で。その方と一度話をしてみたいですね」
そんな風に雑談をして、特に何も得ずに今回の教会訪問は終わった。
まぁエルフシエスタと雑談できたので実質プラスである。間違いない。








