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第四章 -共闘- 3 『土塊人形の挟撃』


 降りそそぐ《火球(イグニ・バルス)》の爆音と衝撃波に紛れて、アルフレッドに歩み寄ってくるのは 巨大な 2体の土塊人形(ゴーレム)だ。

 巨大と言っても、2体とも先ほどの、巨人のような個体ではない。せいぜい、2メートル半ほどの大きさだ。


(・・・! 降りそそぐ《火球(イグニ・バルス)》の爆音と魔力で、泥人形の接近に気づかなかったか・・・まったく、これだから魔力を解放するのはリスクなのだ・・・)


 普段、4億もある血中魔力濃度を封印して、4分の1ほどに押さえ込んでいるアルフレッド。

 魔力を解放すると、強大な軍用魔法や禁術などを連発できるのだが、その代わりに、細やかな魔力の操作が苦手となってしまう欠点があった。

 特に、魔力を解放した状態での魔力感知は、封印時の10分の1程度の精度まで落ちてしまう始末なのだ。

 島田が、アルフレッドの この弱点に気づいていたかは定かではないが、これから行う作戦に大きくプラスに働く事になる。


「ーーー!」


 次の瞬間、アルフレッドへ迫り来る 2体の土塊人形(ゴーレム)の瞳ーーー、があるであろう顔の部分が、ブンッ と鈍色に光だす。

 その瞳の光を見たアルフレッドは、反射的に魔法を発動しようとするーーー が、2体の土塊人形(ゴーレム)の動きの方が 1手早かった。


「む!?」


 アルフレッドを挟むように位置取った 2体の土塊人形(ゴーレム)は、そのまま同時に攻撃を仕掛ける。


「チッ。面倒な動きを・・・《爆ぜ(バルバ)ーーーっ!?」


 2体の土塊人形(ゴーレム)を空間爆裂魔法《爆ぜよ(バルバナス)》で破壊しにかかるアルフレッド。

 だが、その瞬間、アルフレッドと土塊人形(ゴーレム)たちの間に、シャノンが放つ《火球(イグニ・バルス)》が降りそそいだ。

 爆音と衝撃波が、熱風を乗せてアルフレッドを襲う。

 だが当然ーーー、


(ーーー無意味な事しやがって・・・っ)


 アルフレッドにとっては、シャノンの渾身の《火球(イグニ・バルス)》も、土煙を巻き上げる程度にしか役に立っていない。

 だがーーー、


「ーーーっ!?」


 それでよいのだ。

 爆発によって立ち昇る黒煙と、魔力感知を鈍らせる、魔力を多分に含んだ炎。

 シャノンの《火球(イグニ・バルス)》の猛襲は、アルフレッドの意識から 2体の土塊人形(ゴーレム)を消し去るのには充分すぎるほど役立っていた。


「ーーーチッ」


 瞬間、アルフレッドが唱えた《爆ぜよ(バルバナス)》が発動して、彼の前後 2ヶ所の空間に大規模な爆発が巻き起こった。

 だが、それだけ。

 土塊人形(ゴーレム)が吹き飛ぶような事はない。


(ーーーくっ。外したか・・・っ)


 瞬時に、敵が生きている事を気がついたアルフレッドは、さらに自分の周囲に《爆ぜよ(バルバナス)》を発動する。

 刹那、爆発の波が、アルフレッドの周囲に巻き起こった。

 だがしかしーーー、


(ーーー! 躱した!?)


 ぼんやり とだが、土塊人形(ゴーレム)の魔力を感じる。

 どうやら 2体の土塊人形(ゴーレム)は、のらりくらり とアルフレッドの攻撃を回避しているようで、低精度の魔力感知では、なかなか、その姿が捉えられずにいるようだ。


「面倒だな・・・」


 対象を狙って、ちまちま魔法を撃つ事に苛立ったアルフレッドは、周囲をまとめて吹き飛ばしにかかる。

 トンッ と軽く地面に指をついたアルフレッドは、大量の魔力を足元に流し込む。

 そしてーーー、


「ーーー《大噴火(バーナ・バラスト)》」


 大規模攻撃魔法の文言(マントラ)を唱えた。

 その瞬間ーーー、中心にいたアルフレッドを避けるように、地面がドーナツ型に盛り上がる。

 まるで、噴火する直前の・・・限界までマグマを貯め切っている火口のように熱を持って盛り上がる地面。

 刹那、地面が割れて、空を震わせるほどの爆音が響き渡った。莫大なエネルギーと熱風が割れた地面から溢れ出し、空高くまで立ち昇る。

 まさに、大噴火と呼べる爆発が、更地となった《岐阜の街》の中央で巻き起こった。


「ーーーフハッ。これで逃げ場などなく、消え去っただろう!!」


 アルフレッドの周囲では、地面が軒並みひっくり返り、粉塵が巻き起こった。その際、その粉塵が静電気を発生させて、稲妻のごとき雷電が粉塵の中に光ってすらいる。

 つまり、アルフレッドの周囲は、まったく見通しが効いていないという事だ。

 これが、アルフレッドにとって最大の愚策となる。


「ーーー!?」


 アルフレッドは、フッ と視界の端に、何やら動く影を見つけた。

 咄嗟に、その“影” を目で追ったーーー、その瞬間だ。


「ーーーっ、、がっ!!?」


 ドゴォ!! と硬い瓦礫が固まった拳が、アルフレッドの頬を打った。

 ガクンッ と身体を揺らしたアルフレッドは、霞む視界に、拳を放ってきた影を睨みつける。

 すると、はやり その影はーーー、四門(しもん)が創り出した土塊人形(ゴーレム)だった。


(ーーーバカなっ!? 泥人形ごときが、、私の《大噴火(バーナ・バラスト)》を耐えたというのか・・・っ!?)


 理解できない現象を前にして、アルフレッドは、無意識に魔力感知で殴りかかってきた土塊人形(ゴーレム)を見た。

 するとーーー、


(ーーーな、なんだ!? この泥人形!? さっきの巨人の倍以上の魔力が宿っているではないか!?)


 アルフレッドは、目の前の土塊人形(ゴーレム)が なんと、先ほど相対した土塊巨人(タイタン)の倍以上の強さを秘めている事に気がついた。


(ーーーくそッ・・・そうか、空から絶え間なく降りそそいでいた《火球(イグニ・バルス)》は、私の視界と魔力感知を鈍らせるのが目的ではなく、、魔力感知で、この泥人形の強さを 私に悟らせないためのモノか・・・っ)


 アルフレッドに一撃をくれた土塊人形(ゴーレム)は、さらにダメージを加えるべく、追撃に走る。

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