062●無茶、ではなくて
日ノ御子神社に至る道は険しい。
舗装などされていない山道を、車一台、
やっと通ることができる隘路を進まなければならない。
村人は主に、バイクや軽トラックを使っている。
慣れた道であるはずの彼ら彼女らでも、スピードは控えめである。
大神 明の運転技量と彼の愛車の性能が、
スムーズな到着に結び付いただけである。
「本当に来るのか、サード・アイの連中?」
「来ますね。まあ、スミスが直接、ってことはないでしょうが。」
「で、ジン、次の一手の段取りって、できてるの?」
「はい。完了しています。あとは接近を察知するのが、いつになるか、ですが。」
「空港なんかでチェックできないのかよ?」
「オオガミさん、いい着眼点ですね。既に入国者は人工知能を使って不審者を洗い出しています。でも・・・。」
「でも、なんだよ、ココア。」
「多分ですけど、ここを襲撃するとしたら、国内で人材をそろえるのではないでしょうか?」
「どういうことなの?」
「エイミーさん、いくら海外の旅行者が増えているからといって、ここに来るまでには言葉がわかり、目立たたないアジア系がいいとは思いませんか?」
「ああ、なるほどね。わたしが最初に聞き込みしたときも、なんか村の人たち、ものめずらしそうだったものね。」
「時間が何世代も巻き戻った感じですからね。」
「それは、ここがすっご~い田舎ってことよね。」
「イヨさん、すいません、ある意味、そういうことです。」
「でもよ、ジン、国内だけで都合よく、そんな連中、数を集められるのか?」
「いろんなやり方がありますからね。素人集団でも、武器がそれなりに発達していますからね。単にぶっ飛ばす、というなら爆発物もシンプルになっていますから。」
「素人の方が無茶しそうだよな。かえって動きが予測しにくいかもな。」
「無茶な動きなら、アキラだって日常的じゃない?」
「いや、エイミー、俺のは無茶じゃなくて、滅茶苦茶。それが人狼って存在なんだ。」
「常識外だもんねえ。少しは自制してくれないと。」




