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046⚫️終末がくる
―― M78記録断片 ――
ある日、世界は変わった。
誰もが、同じ祈りを捧げるようになった。
誰もが、同じ律法を守るようになった。
誰もが、同じ神を信じるようになった。
それは突然のことではなかった。
長い年月をかけて、戦争は終わり、対立は消え、
言葉は統一され、思想はひとつに収束した。
人々は争うことをやめ、互いに助け合い、神の教えに従って生きるようになった。
そして、誰もが待った。
その日が来るのを。
約束された終末が訪れるのを。
空が裂けることを。
光が降り注ぐことを。
天使がトランペットを吹くことを。
死者が立ち上がることを。
神が語りかけることを。
しかし、何も起きなかった。
空は青く、雲はただ流れ、太陽は昇り、そして沈んだ。
死者は眠ったまま、神は沈黙したまま。
世界は、ただ静寂に包まれていた。
人々は戸惑った。
なぜ何も起きないのか。
信仰が足りないのか。
理解が間違っていたのか。
それとも、約束など最初からなかったのか。
人が何を信じようと、 宇宙はそのあり様を変えない。
記録解析の開始
―― M78の記録解析は続行された。ハリー・キャラバンの歴史心理学説の核心、人類の社会構造に関する分析がデータとして次々と吐き出される。




