放課後、いつもの教室で ユウキとアスカ 1
登場人物紹介
ユウキ 学生
アスカ 学生
夕陽が世界を茜色に染める。
「予備教室1」と名前のついた小さな教室に2人はいた。
「ねぇねぇユウキ」
「……」
「ユウキってば、ねぇ」
「……」
「……私、サイズ1つ上がったんだ」
ガンッ
机に頭をぶつけたユウキは少しの沈黙の後、鼻から息を吐き顔を上げて再び作業に戻った。
「やっと反応してくれた。にしてもアレの話で反応するなんてユウキも男の子だねぇ」
「……」
「いや、さすがにもう無理だよユウキ。鼻の穴大きくなってるし、息も荒いし、文章全部おっぱいになってるし」
アスカに指摘されてようやく自分が落ち着いていないことに気づく。
「はぁ……なんだよ」
「なんだよじゃないよ、今なんの時間かわかってるの?ほらあれ」
アスカが指差した先には「青春の汗を一緒に流そう!」「美しい音色を、共に」などのキャッチコピーがついたのぼりやチラシを掲げながら、下校しようとしている新入生を待ち構えている生徒の集団があった。
「私達もやらなくていいの? 部員増やすチャンスなんだよ?」
ユウキは集団を一瞥した後、「ハンッ」と鼻で笑い
「若いっていいですねぇ、ああいうのは若い連中に任せて私のようなおいぼれは1人寂しく物語をしたためるのがお似合いなんですよ」
と嫌みたらしく言葉を吐いた。そんな彼を
「ユウキ」
アスカは真っ直ぐ見つめる。
「ユウキ、今の言葉は誰も幸せにはならないよ。部活勧誘の子達も、新入生の子達も、私とユウキもね」
「……悪かったよ」
アスカからの真っ直ぐな言動に、ユウキはすぐに反省の言葉を口にする。自分が醜いことをしているという自覚があったからだ。
「そりゃあ確かに、去年はユウキが『俺たちと鎮魂歌を奏でよう』なんてチラシを作ってた時はちょっと引いたし」
グサッ
「新入生の声かけの時にポエムに近い自伝を朗読してた時は見てられなかったし」
グサグサッ
「息を荒くしながら声をかけた女子生徒に泣かれた時はさすがに」
「もういいだろ!! はいはい! 去年大失敗して絶賛トラウマ中ですよ!!」
ユウキの反応にアスカは「ふふっ」と笑う。それを見たユウキは「やれやれ」と息を吐いた後、小さく笑った。




