表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネガティブな僕と、中二病っぽい彼。  作者: ホワイト大河
第二章 知らなくたって、いいんだよ
90/155

ネガティブ・アスリート(8)


 種目:三つ巴リレー


午後の部が始まって、先輩方がこそこそと準備していた、

体育祭最大のイベント、「三つ巴リレー」が幕を開けました。

僕は達也さん、それから遊びに来た正くんと三人で観戦することにします。


「いよいよだっぺー!我らがチーム寮生、やってやるっぺー!!」


勢いよく登場したのは、チーム寮生を率いる寮長、後藤先輩です。

チーム寮生には先ほどのリレーでも活躍した勝田さんや直樹くん、

それからうのぽんも出場する事になっていて完全なる布陣です。

僕も一応寮生なんで、チーム寮生を応援します。


「ほんと都合良い奴。こんなのさっさと終わらせちゃいましょ。」

「ハッ!一番ハンデがあるのは我々であるのは間違いないと思いますが……目にものを見せてやりたいですな。」


チーム生徒会執行部の二人、テル君のお姉さんと神様が文句を言っています。

彼らは十二人から後藤先輩・菊池先輩を除いた十人ギリギリでの出場です。

とはいえ、渡様や花園会長など、何とも油断ならないメンツですね。

そして、当の生徒会執行部と因縁が深く、

長年、三つ巴リレーで頂点に立ち続けて来た優勝候補筆頭こそが、


「各々ベストを出しさえすれば、おのずと優勝は見えてくる。今は力を合わせて、打倒執行部。準備は良いな?」

「ええもちろん。今の私たちの敵じゃないもの。」


議長城崎先輩、副議長周防先輩が束ねる、チーム部長会。

風の噂で、神様も会計として相当苦しめられたチームだと聞きます。

ってさっきから僕、完全に実況役ですね。常に敬語だから向いてますね★

グラウンドに居るはずの彼らの声がよく聞こえているのはご都合主義です。



「体育会系の頂点をぞろぞろ揃えてきた部長会チームは反則だろ……」

「去年も確か部長会チームが優勝でしたもんね……ちょっと辛い戦いです。」


観戦しながらチーム構成に文句を言う、達也さんに同調してみました。

確かにこの戦い、どう見てもチーム部長会が有利に見えます。

が……隣に座る正くんは、意見が違うようでした。


「普通はそうなんだけどさー。寮生チームに直樹を入れた時点で、寮生チームの勝ちは決まってんだなー。」

「おいおい、直樹がすごいのは分かるが、それがチーム全体の勝利につながるって言うのかよ?」

「現にさっき、三組の圧勝だったろー?やっぱ直樹は『負け』を知らないんだよなー。」


正くんがのっぺりとした口調で言うので、あまり緊張感はないですが、

先ほどのクラスリレーの前に、直樹くんに勝つと宣言したあの正くんが、

彼のいない所ではあっさり直樹くんの勝利を予測しているので、

何というんでしょう、ぐっと真実味が増しますよね……。





『位置について、よーい!』パァン!


合図とともに一斉に走り出しました!

注目すべきはチーム寮生、いきなり主将の後藤先輩が登場、

それと部長会の現サッカー部部長風間先輩が物凄いデッドヒート!

一方、執行部の神様こと上川大樹はまたもや足がもつれたような走り方!

あの神様本当に口だけ!誰かなんとかしてください!


「ほんと大樹はダメね……あたしに任せなさいって!」


最下位で回ってきた神様のバトンを、受け取った綿華さんは、

前を走る野球部部長乾先輩、寮生の元ヤン秋山に追いつけ追い越せで、

グングンと差を縮めて行きます!あの人本当に怖い女子です!


ほとんど横並びに戻って三番走者、混戦の中から抜け出したのは、

体育委員長、陸上部の翔ちゃんこと花園翔希!

圧倒的不利と思われたチーム執行部がここで初めて一位に躍り出ました!

しかしチーム寮生、次に控えているのはうのぽんです。


「適当にやってやろーじゃん。」


三位でバトンを受け継いだうのぽんは、まず部長会を追い抜き、

そして、どことなくヘロヘロと走るチーム執行部の勝村さんを抜きました。

なお、勝村さん、そのまま部長会にも抜かれ、最下位に……。

テニス部のエースとして名を馳せる彼ですが、ランニングは苦手でしょうか。


「ハッ!勝村、貴様足を引っ張りおって!」

「う……うるさいですよ……お、お願いします……」


神様が人の事言える立場じゃないのはともかく、

最下位の執行部のバトンは五番走者、図書委員長の渋谷先輩へ。

チャラそうな外見の渋谷先輩ですが、なんか血相を変えて走っています。

その頑張りで二位に落ちていたチーム寮生を抜き去り、二位でバトンを……


「渋谷アンタ何やってんのよ!」

「ハア、待てよ、俺そこそこ頑張って」

「一位で帰ってこなかったから、約束通りショッピングね。」

「く……クソ女……!」


……バトンを渡した相手はテル君のお姉さん、書記の月山先輩。

そしてその後ろから、同じ演劇部の特別特待生、チーム寮生の隠岐真奈美。

なかなか運動神経の良い「演劇の女王」対決に会場は盛り上がります。

しばらく危なげなく一位を走っていた部長会チームと横並びになりました。


「まだまだマナ、あんたに主役の座は渡さないわよ!」

「尊敬できる先輩として、背中を追わせてもらいます!」


しかし一位を守り抜いた剣道部部長、神來しんらい先輩が、

部長会副議長かつ弓道部部長の周防先輩にバトンを繋ぎます。

対する執行部は文化委員長飯島先輩。どうやら走るのは苦手な様子。

一方で寮生は先ほど三組のアンカーも務めた勝田さんです。

ここでチーム寮生が周防先輩を抜いて、一位に!会場も白熱します!


「そう簡単には行かせないよ。」


しかし八番走者、ここでチーム執行部の渡様が登場。

僕らの学年をものすごい統率力で束ねるお方、

頭脳明晰かつ運動神経抜群で、部長会&寮生チームを追い上げます。

さ、さすが渡様、本当に何をされても完璧でお強い……。



「……こ、恒太なんか宗教っぽいぞ?去年渡に何かされたのか?」

「いえいえいえいえ!別にそう言うわけでは、あはは。」


あまりにも渡様を褒めちぎる僕の挙動を、達也さんに不審に思われました★

そこでふと隣を見ると、気づけばお付きの佐久馬様が座ってて驚きました。


「透様がお強いのはもはや明白です。本来奇跡と呼ばれるべき存在ですから。」

「は、はい……佐久馬様何でこんなところに?ちょっと怖いです」


「でもその『奇跡』の座を、あいつが奪うんだよなー。」


佐久馬様の言葉に反応したのは、一緒に観戦していた正くん。

現在いよいよ終盤の九番走者。一位は部長会のテニス部部長が取り返し、

チーム執行部もバスケ部部長を兼ねている桜塚先輩が二位につけ、

チーム寮生は、実は陸上部である菊池先輩が走るものの、追いつけません。

しかし……部長会は城崎先輩、執行部は花園先輩がアンカーですから、

主将がアンカーを務める中、チーム寮生が残している最後の一人は……。


「『奇跡の子』織田直樹ですね。……彼が起こす奇跡、見せてもらいましょう。」

「はーまた直樹は敵を作ってんだなー。もー付き合うのも大変だしー。」


じっくりグラウンドを見つめる佐久馬様。

悪態をつきながらも、直樹くんの勝利を確信している正くん。

学校全体が注目するアンカー勝負で、

いよいよ「奇跡の子」が、その真の実力を見せつけます――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ