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ネガティブな僕と、中二病っぽい彼。  作者: ホワイト大河
第一章 変わること、変わらないこと
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五年前の衝撃(3)

「もう来週末はゴールデンウィークだな。」


いつも通り食堂で、ナオキとコウタ、三人揃って昼食を食べていると、

日替わりランチを食べていたナオキが急に言った。

俺とコウタは食べる手を止めずにナオキを見る。


「何か予定あるか?どっか遊びに行ったりするのか?」

「……確かナオキ君、GW中にライブに出るんじゃなかったでしたっけ?タツヤさんも。」

「ああ、それはそうだけど、コウタは何かするのか?」

「……うーん、部活が多いのと、テストが近いので、寮で勉強してるかもしれません……」


少し返事に困りながら、コウタがそう言ったのを聞いて、

俺は少し吹き出してしまった。


「おいコウタ、予定がつまらなすぎるぞ?高校二年生の発言とは思えんな。」

「いや……何というか、二年生から英数国が実力別クラスに分かれることになったじゃないですか……それで僕、一つもAクラスに入ってないので、どれか得意教科を作ろうかな……なんて……」

「ケッ、いつから真面目になったんだよ……」


……そういや、文系と理系で分かれる数学以外、

つまりは英語と国語、どっちもコウタと同じクラスなんだよな。

ちなみに俺は理系、コウタは文系な!どうでも良い知識だが。

俺は数学が割と得意で、理系Aクラスに入れてもらってる。

理系数学Aには、ツヨシや神様も居るぞ。なかなか濃いメンバーだ。


「そしたらコウタ、一番上がれそうなのって英語じゃないか?A~Eのうちの俺らはCクラスだが、平均点は超えてるしな。」

「ええ……上がれたら良いですけど……」


「勉強なんて休みの日にするものか?学校で充分だろ。」


和やかなムードをぶち壊したのは「奇跡の子」ナオキ君だ。

一度見たことを完全に暗記するこの男には、全く話が通じないぞ。


「よしナオキ、一回死んで来い。」

「ちょ、タツヤさん落ち着いて下さい。でもナオキさんは転入試験と休み明けテスト、どっちもオール満点で、クラス分けもオールAクラスですよね……さすがです……」

「オールAクラスくらいなら、俺以外にも結構いるけどな。」


ナオキは悠々と構えている。確か神様もオールAだと聞いたぞ。

いつも成績優秀者としてランキングに乗る奴らの次元は違うってわけだ。

イライラして俺が勢いよくラーメンをすすっていると、

コウタが思い出したように、ナオキに訊き返した。


「そういえばナオキ君、どうしてゴールデンウィークの予定聞いたんですか?」

「え?」

「……もしかして、遠回しに僕らを、何か誘ってくれたりとか……」

「ん?どういう意味?」

「あ、何でもないです★」


……ふう。落ち着けよコウタ。

ナオキが遠回しに誘うなんて高等テクを持ってるわけないだろ?

とアイコンタクトを送ってみると、コウタも気づいて苦笑していた。

そんな俺たちの様子を見て、ナオキが急に思いついたように言う。


「タツヤとコウタ、よく見つめ合ってるよな。なあコウタ、これって両思い」

「シャァァァァァァラァァァァァッッッッッッップ!!!あれ、ナオキ君何を言おうとしたんですか?記憶ごとぶっ飛ばしてやろうか?じゃなくて記憶をお飛ばしにならせあそばせますか?」


慌ててナオキの口をふさぐコウタ。なんか満面の笑顔だ。

……とりあえず俺はとぼけたふりをして飯を食ってるが、

なんだコウタ、お前の恋愛事情はナオキにバレてんのか?

色々と大変そうだな……と他人事のように思ってみる。まったく。



  ○   ○   ○   ○   ○   ○



昼休みはナオキのおかげで多少気が紛れたものの、

結局その日一日中、どっかにシンゴが居ないかといつの間にか探しており、

放課後の軽音の練習にも相変わらず身が入らないまま、

(と言ってもタダシのギター講義を新入生と一緒に聞きながら自主練だが)

テルと一緒に帰路に着いているのであった。


俺は悩んでいて特に何も言わなかったが、

別にテルも無理矢理に何か話そうとする奴ではないから、

一緒に帰りながらも無言で、しばらくは歩いた。


……だがやっぱり、シンゴの事をどれくらい知っているのかは気になる。

あくまで素知らぬフリをして、何となく聞いてみるか。


「……そういや昔、シンゴって居たよな。」

「え~?……ああ、居たね~。」


よく考えたらシンゴは寮生だから、学校をずる休みする事は出来ないので、

普通に何かしら授業に出ているはずだ。

いくら五組とはいえ、英数国の実力別クラス分けでどっかには居るから、

思い出してみても、頭が良いって印象はないから、

テルやリョウスケたちとクラスが一緒でもおかしくないはずだがな。


「……あいつ、今ごろ何やってんだろうな?」

「さあね~。」


テルはぼんやりと散った桜の木々を眺めている。

まあテルもリョウスケも授業中に寝ている事が多いようだし、

結構な人数の実力別クラスのメンバーをいちいち把握しようがないか。

……前髪をいじらないので、ウソはついていないようだし。

このテル特有のウソ発見器は、リョウスケから教えてもらったものだ。

まあ俺に答える時は、全く気持ちが入っていないのだという事は、

最近ようやく分かってきたけどな。まったく。


「そもそもあいつって何で転校したんだっけ?」


本気で忘れた、というか聞いた記憶がない気がするので、

何となくこれもテルに聞いてみた。


「さあね~。家の都合とかじゃなかった~?」


……しかしここで思わぬ収穫があったのだ。

テルがこちらを向いてそう言った瞬間、前髪を払った。

これは……ほぼ間違いなく「ウソ」という事になる。


そういやコウタが俺の事を好きだったって気づけたのも、

このウソ発見器のおかげだった事を思い出しながら、

俺はこのことを知らない方が良かったのかもな、なんて思いながら、

しかし追求したい気持ちを止められないでいた。


「そうだっけか?五年前、なんかあった気がするんだよな……」


……我ながら上手くカマをかけてみた。

俺たちは仲良く遊んでたが、シンゴが突然居なくなったって記憶しかないが、

当時の俺の記憶なんて全然当てに出来ない。これも一つの成長だぞ。


「……別に何もないでしょ~。まだ小学生だったしね~。」


そう言ったテルは、また前髪をいじった。

……間違いない。やはり五年前、あの時何かがあったんだ。

そしてそれで、シンゴは転校する事になったというわけか。

……あくまでテルの「ウソ」に基づく仮説にすぎないが、な。


「でも、あんまりシンゴに興味ないな~。」


急に穏やかな笑顔になって、テルはそう言い切った。

その時まったく前髪をいじらなかったので、これは本心に他ならないわけで、

一緒に遊んだ幼なじみに、興味ないと断言できるテルは、

やはり俺が思っている以上に怖いヤツなんだな……。まったく。


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