第61話 いつもの相手
昼休み。
皆城燈真――ミナトは社員食堂で昼食を終えた後、休憩スペースでCRO公式アプリを開いた。
フレンド一覧からザンを選び、メッセージを送る。
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ミナト:例のサブ職クエスト、終わったか?
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少しして既読がついた。
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ザン:何日か前に終わったよ
ミナト:よかったな。で、リヴィアさんとは進んだか?
ザン:サブ職クエストなら最後まで進んだ
ミナト:クエストの話じゃない
ザン:特になにも
ミナト:結局何日くらい一緒にやってたんだ?
ザン:途中で一日空いたけど、三日くらいかな
ミナト:それもうデートじゃなくて旅行だろ!
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ミナトは怒っている顔のスタンプを送った。
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ザン:それを聞くために送ってきたのか?
ミナト:半分はな
ザン:半分もあるの
ミナト:もう半分は装備とイベントの話
ミナト:Lv51装備、ちゃんと見てるか?
ザン:見るようにはしてる
ザン:すごい高いんだが……
ミナト:そう、高いぞー
ミナト:俺も一式揃った頃にはLv55になってた
ザン:かなり長い話だ
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Lv51以降の装備は『二次職装備』とも呼ばれ、性能がかなり上がる分、値段も一気に上がる。
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ミナト:今から見てれば、たまに安いものや掘り出し物も出るからチェックが大事だぞ
ミナト:使えそうなものが安かったら、レベル到達より先に買っておいてもいいし
ザン:相場がまだいまいち
ミナト:まあ定期的に見てたらなんとなくわかってくる
ミナト:あとはNPCかプレイヤーに制作してもらうとかだな
ミナト:最近、装備作ってもらったことはあるか?
ザン:一次職になったばかりの頃ならあるけど、最近はない
ミナト:今の武器は買ったやつだったよな?
ザン:ショートボウは狩り中にドロップしたレア
ザン:短剣はMOBドロップ品を露店で買った
ミナト:じゃあ、最近は制作装備は使ってないってことだな
ザン:そうなるな
ミナト:俺は揃わなかった防具の部位だけ、素材を持ち込んで作ってもらったぞ。
ミナト:セット効果とかもあるから、現物ドロップ品を揃えていくか、素材持ち込みで揃えていくかだな。
ミナト:あとは完全オーダーメイド品で揃えるか。まぁこれは現実的ではない
ザン:なるほど。参考になる
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装備の話が一段落したところで、公式アプリに届いていた新しい告知を開いた。
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ミナト:そういえば次のイベントの告知は見たか?
ザン:生息域調査クエストのこと?
ミナト:そう
ザン:たしかミナトがいるクラン『百景』だったっけ? そのクランで参加するの?
ミナト:よく覚えてたな。もうクランチャットではいろいろと話が出てるところだな
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イベントについてはまだ分からないことも多い。
詳しい話は開催が近づいてから確認することになりそうだった。
そこでミナトはもう一つ、以前から考えていたことを入力した。
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ミナト:お前もそろそろクランに入ったらどうだ?
ザン:二次職になるから?
ミナト:それもあるが
ミナト:二次職以降もソロで狩れる場所はあるけど、誰かと組んだ方が楽な場所は増えるぞ
ミナト:野良募集に入ってもいいけど、ある程度知ってるやつの方がやりやすいだろ
ザン:それは確かに
ザン:でも俺、ソロが好きなんだよ。大人数で攻略するより、ソロか少数で遊ぶ方が合ってると思う
ミナト:クランに入ったからって、毎回フルパーティーを組めって話じゃないぞ
ミナト:クラン内でも気が合うやつ同士で狩りに行くことの方が多い
ザン:それもそうか
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しばらく考えるような時間が空く。
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ザン:よくログインできる時期もあれば、あまりできないときもあるからな
ザン:入っても迷惑かけないかなって
ミナト:そんなの気にするなよ
ミナト:クラン側がそれでいいって言うなら問題ない
ミナト:入ったまま来なくなるやつもいるし
ミナト:入ったと思ったら、すぐ抜けて別のクランにいるやつだっている
ミナト:ゲームなんだからもう少し気楽でいいだろ
ザン:そういうものなのか?
ミナト:そういうものだ
ザン:じゃあ、クランはそのうち考えてみる
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無理に入れたいわけではない。
ザンにはザンの遊び方があり、それをこの二年間続けているのだから。
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ザン:誰かと狩る必要があれば、ミナトがいるし
ミナト:それは頼りにしてるのか、都合の良い存在なのかどっちだ?
ザン:どっちにしても、助かってるって気持ちは同じだ
ミナト:お前なぁ、なんだよそれ
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こいつはときどき、何の前触れもなくこういうことを言う。
純粋というか天然というか、本人は少しも特別なことを言ったつもりがないのだろう。
二年ほど一緒にCROで遊んでいるのに、こういうところはいまだに面白いと思う。
午後の業務が始まる時間が近づいていた。
ミナトは気合を入れ直し、休憩スペースを後にした。
また今度、こっちから狩りに誘ってやろう。
(すみません、ミナトさんルートが始まりかけま――)
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《吟遊詩人》サブ職クエストの派生
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├─ 一人で受注
│ └─ 修理工ウォーレン
│ └─ 梢の町の関係者へ
│
├─ ペアで受注
│ └─ 《旅鳥の宿》のアガーテ
│ └─ 《返し歌》ルート
│ ├─ 《返し歌》を自分の声で歌って返す
│ │ ├─ 歌曲スキル《返し歌》習得
│ │ └─ ルート固有報酬あり
│ │
│ └─ 《返し歌》をただ渡すだけ
│ ├─ 歌曲スキル《返し歌》習得
│ └─ ルート固有報酬なし
│
└─ 三人以上のパーティーで受注
└─ ルート不明
こんな感じになっております。
サブ職《吟遊詩人》は、CROですでに何人かのプレイヤーが取得しています。
ただし、取得のきっかけとなる歌碑は初期村にあり、多くのプレイヤーからは単なる背景オブジェクトだと思われています。そのため、わざわざ詳しく調べる方はほとんどいません。
また、サブ職にはメインの戦闘職の強化につながるものや、生産・製作に役立つものなど、魅力的で実用性の高い選択肢が数多くあります。《吟遊詩人》はそれらと比べると優先して選ばれにくく、取得者自体が非常に少ないサブ職となっています。
さらに、取得したプレイヤーからも積極的に情報が発信されていないため、存在自体は確認されているものの、取得条件や詳しい能力についての情報はほとんど出回っていません。




