表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3BECAUSE  作者: Guru
20/131

第20話「闇の中の訪問者①」

善達は大悟の力に手も足も出なかったが、奇跡が起きた。



突如降り出した雨によって、一気に優位に立つことができた。



「この雨は…勝利の雨よ!!」



「“約束”したよな?大悟!!

てめぇが負けたら俺達に協力するって!


行くぞ!!志保!!」



「えぇ!!」





BECAUSEスリービコーズ


第20話

 「闇の中の訪問者」






突然の雨。

今まで余裕の表情を見せていた大悟にも、焦りが見え始めた。



(ここでのまさかの雨…

まずい!一気に形勢が変わった…)



「残念だったわね…大悟

あと一歩のところで」



雨に濡れ、大悟が手にする大剣は力を失っていく。



「土の大剣はおろか、この雨で濡れた地面…


そのせいで地面からの土の攻撃すらも出すことはできないな…」



その様を見て、善はリミテッドの相性の恐ろしさを知った。



「おぉっ!そうか!


(すげぇな…リミテッドの力ってのは、その場の状況で、こうも変わってしまうのか!)」



「くらいなさい大悟!決してかわすことのできない、逃げ場のない攻撃を


“バレッヂ ウォーター”!!!」



志保が手を挙げ、大悟に向けて、手を振り下ろす。


すると、天から降り注ぐ雨が、まるで細かいレーザービームのように、大悟に向かって一斉に飛んでいった。



「ぐぁぁっ!!」



「す、すげぇ数だ…こんなのかわせるわけがねぇ!!」



「どう?大悟

一発自体はたいしたダメージはないけど、無数の雨が、体を貫く


雨がやむまで降り注ぎ続ける…

いつまで耐えられるかしら?」



大悟が痛みに耐えながらも、体をなんとか動かす。



「くっ……


(このままじゃいつかくたばっちまう…

まだ終わらねぇ!!)」



そして、攻撃を受け続けながらも志保へ向かって走り出し…



「!!!」



ドン!!



走った勢いのまま片手を前に突き出し、志保の体をはじき飛ばした。



「志保!!」



志保が地面に倒れ込む。


それと同時に、大悟に向かっていた雨のレーザービームの効果は切れ


雨はいつも通りの、普通の雨の姿へと戻った。



「やっと止まったか…」



「くっ…しぶといわね!終わったと思ったのに…」



起きあがる志保に善が駆けつける。



「大丈夫か!?志保」



「大丈夫よ なんてことないわ」



志保の強力な攻撃を、気合いと根性で止めた大悟であったが…


攻撃は止まろうが、雨はやむ気配がない。降り続けている。



(これじゃ…またさっきの用に攻撃されるだけだ…)



大悟が依然不利な状況であることに、変わりはなかった。



(だが…ひとつだけ手はある…

もうこれしか俺が勝つ手はない!)



何かを狙う大悟。不利な状況ながらも、ひとつの作戦を立てていた。



「まだ終わらないなら…

もう一度“バレッヂ ウォーター”を…


決める!!」



「あぁ!そうだ!俺もサポートする

頼むぜ志保!」



「だったら善…私が技を決めたら…

すかさずあいつに攻撃を入れて


こんなじわじわした攻撃じゃ…いずれ…」



「ん!?」



今、完全に善・志保のペース。

それなのに志保は、暗い表情を見せていた。


その表情はまるで、こちらが追い込まれているかのようだった。



そんな志保に疑問を抱く善…


それを見ていたレトインが、志保の心の内にある不安要因を割り出す。




「“メンタル”…だろ?」




「!!!」



図星だったのか、志保はあからさまに動揺した。



「メンタルって…確か…

リミテッドの力、スタミナみたいなやつだよな?」



「そうだ この数え切れぬほどの雨…

こいつを操作するって言うんだ…


消費するメンタルは相当なもんなはずだ」



丁寧にすべてを説明するレトインに、志保は困り果てる。



「もう…言わないでよ

大悟に気づかれちゃうじゃない…」



「いや、恐らく大悟も分かっていることだろう

気づいてないやつが一人いてな…


そいつのために説明したまでだ」



(お、俺のことか…)



まだまだリミテッドの初心者の善には、少々難しい話であった。


もうお互い隠す必要はなくなったのか、大悟が正直に言った。




「あんたの言うとおりだ…

俺の狙いは一つだけ…


メンタル切れした志保を倒す それしか手はない」



「………


そう 言われなくても気づいてたのね…」



志保のメンタルに不安を覚える善が、志保に尋ねた。



「てかさっきの攻撃…そんなに力使うもんなのか…?


あとどれだけ…何回使える!?」



志保は申し訳なさそうな、縮こまった声で答える。



「………


あと一回」



「いっ、一回だって!?」



「放ってる時間にもよるけど…

二回目はないと思って 次で決めるしかないの」



「そ、そんな…


(じゃあ…もし外したり、勝負がつかなかったりしたら…)」



「勝負は一回きり これにすべてをかける!!


行くわよ!善!あんたもすべてをかけなさい!!」



何の策もなく、心の準備もままならない善に、タイムリミットは唐突に訪れた。



「ちょっ…ま、待ってくれよ!!」



「何言ってんのよ!向こうだって待ってはくれない!

攻撃が決まったら、次はあんたが決めるのよ!!」



(ま、マジかよ!?どうすりゃいいんだよ!


こっちは雨のせいで“イフリート・ソード”も火の力も使えねぇんだよ!!


どうする…一体どうすれば…)



焦る善。すでに頭は真っ白だ。

だが、残酷にも時は待ってはくれやしない。



「これで終わりよ!!大悟!!」



志保がそう宣言して、腕をあげようとする。



(まずい!あの腕があがりきったら、俺は負ける!

それだけは食い止めねば!)



大悟はなんとしてでも阻止すべく、猛スピードで突っ込む。


今度はその加速とともに、そのままタックルに行くつもりだ。



大悟の足が勝り、志保の腕があがりきる前に、なんとか間に合ったように思えたが…



ドッ……



「!!!

(な、なんだ…?何かにぶつかった!?)」



大悟は“何かの”感触をとらえた。

しかし、これはあきらかに志保の体ではない。



「甘いわね 大悟」



大悟が目をやると、そこには水で作られた、大きな“壁”が立っていた。



この水の壁に善が反応した。



「こいつは…以前、俺と戦ったときに見せた水のシールド!!


水でできてるだけに、物理攻撃は一切効かねぇんだよな!これが!」



「捕まえたわよ 大悟

もういくらもがいても、あなたはそこから抜け出せない」



完全に志保の罠にハマってしまった大悟。



「し、しまった!!

さっきの攻撃の素振りは…フェイクだったのか!!」



「今度こそ本当に行くわよ!!



“バレッヂ ウォーター”!!!」



降り注ぐ雨の全てが、大悟の体の一点へと、突き刺さる。



「ぐわぁぁっ!!!」



「今よ!!あとは頼むわよ!善!!」



「!!!

頼むって…言われても…だから俺…」



結局何も思い浮かばないまま、この時を迎えてしまった。


ひたすら善は焦る。

絶好のチャンスを逃すわけにはいかない。


パニックに陥る善に、隣にいたレトインが囁いた。



「何をしているんだ…善…


あるじゃないか まだおまえにも、立派な武器が…」



「えっ…!?」



「大悟はどうしたと思う?おまえと同じく、リミテッドの力を失った大悟は…


どうしたと思う?

あいつはただ突っ立って、見てただけか…?」



レトインの助言を受け、善は大悟の取った行動を思い出す。



「大悟は…あの時…


(あいつは武器の大剣を失って、土の力も封じ込まれた…

だけど…だけどあいつは……



!!!

そういうことか…そういうことかレトイン!!


あるじゃねぇか…俺にも…まだ十分使える“武器”が、あるじゃねぇか!!!)」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ