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次の入れ替え戦って?


 香の言葉を聞いた途端、俺は彼女をしばらく見ていた。そして、俺の関の横でじっと立ったままで


「な・・何よ・・」


「あ・・・早く座れよ。」


「あ・・うん・・」


 俺が香をここに呼んだのは他でもない、今後をどうするかと言うことをある程度決めておかないといけない。いくら勢いでやってしまったとは言え、ある種、全校生徒の前で恋人宣言みたいなことをやってしまった以上、俺としてもどう収拾をつけるかを考えなければならなかった。だから、香を呼んだんだ。すると、目の前で頭を下げた。


「今日は本当にありがとうございました。」


「あ・・・」


俺が言葉に詰まっている間、香は頭を下げ続けていた。


「あ・・うん・・」


 どうでもいいような返事しか出来なかったが、その言葉を聞いて、香は顔を上げ、俺に微笑んだ。また、言葉を失ってしまった。


「あの~・・・」


「あ・・・そうだ・・・」


 俺は、これからのことを説明した。とりあえず、学校では今までどおりで行こう。そして、週に1回ここで落ち合おうと途中、今日のことも勢いでやってしまったと話したとき、香はすこし怒った。表情を見せたが。やがて、


「それでも助けてくれたことにちがいないもの・・」


そう言って再び俺に笑顔を見せてくれた。そして、彼女は部活に戻って行った。







 あ・・呆れてしまった・・・今日も勢いで助けたって・・・麟太郎に呼び出された私は、今、とある喫茶店で彼と向かいあって、座っていた。最初は、しばらくは、様子見で今まで通りに過ごすことと、週に一度ここでこうやって会うことを決めたまでは良かったんだけど、今日のことに再び話が戻った時のことだった。彼の口から


「つい・・勢いで・・」


 こんな言葉が飛び出したから、しばらく、呆れていたんだけど、やがて、勢いってことは、私の為に何も考えないで飛び出してくれたんだ・・・そう思うと嬉しくなっちゃった・・・そして、こぼれた笑みを彼はしばらく見ていた。やがて、部活に戻らないといけなくなって、その場から離れたんだけど、部活に戻るまでの間は、ずっと笑みがこぼれていたに違いない。部室に向かって走って帰る私の顔を見て不気味に思った人もいるかも・・・





 こうして部活に戻った私だけど、浮かれている暇がなかった。そう桜川先輩の指導がいつもより厳しかったのだった。あっという間の部活、そして、部活が終わりを告げようとしていた時だった。


 「香、次の入れ替え戦、絶対に勝て!!」


 先輩の一言の意味が判らなかった。入れ替え戦って?そう思った私はその趣旨を聞くと、とんでもないことが分かった。2週間後くらいに各楽器の1軍と2軍とが競い合うんだって・・・そして、いいほうが1軍になるってことは・・・わたし・・・落ちるかも・・・そう焦っていると・・・実は、コンクールまで次を入れてあと3回入れ替えテストをするんだとか・・・その話を聞いてほっとしていると、先輩は怒り始めた。


 「緊張感を持て!!お前は気が抜けすぎている!!」


 「は・・・はい!!」


 久しぶりの先輩の説教の後、家路に付いた私の前には、麟太郎が立っていた。そして、一緒に行こうとした時だった。理恵さんが先輩と一緒にあるているのを見てしまった。この間も見た光景に、わたしは、直感で先輩と理恵さんが付き合っているんだと勝手に解釈をしていると、その横で、麟太郎がその光景から目を逸らしていた。


 「どうしたの?」


 「なんでもない・・・」


 明らかにこれまでとは違う麟太郎の態度に、少し違和感はあったけど、とりあえず途中まで一緒に帰ることに・・・



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