私達の打合せの裏で
麟太郎に包まれた私、しばらく、その状態で、完全に舞い上がってしまっていたんだけど、すぐに麟太郎が私の手を引いた。
「行くぞ」
「あ・・うん・・」
やがて、教室についた私達を、歓迎の台風が通過して言ったのは。言うまでもなかった。しかし、特進科とあって、その台風も一過性のものだった。だけど・・・今日の麟太郎・・・どうして?あそこまで?そして、付き合っているって言ったの?また?勢いなの?だったら・・・思わず麟太郎を見てしまうと目が合った・・・思わず顔をそむけること数秒・・・私の顔は、とてつもなく熱くなっていた・・・
あ―――!!
叫びたくても叫べない現状、だって、今は、授業中・・・そして、私はただ俯いて時間が過ぎて行くのを待った。そして、休み時間、特進科とはいえ、和美は私のことに興味津々って・・・なんて目しているのよ・・・思わず後づさりしたいが、席に座っている私に逃げ場はなかった。和美の興味は私に降り注がれた。
「何時からなの?どうして言ってくれなかったのよ」
「い・・言えるわけないでしょ」
彼女からの執拗な尋問の最中、いつもと違う教室の雰囲気、ただでさえ、静かな教室が水を打ったようなしずけさって・・・授業中よりも静か・・って気付いたの私だけ?・・特に女子たちは私達の話しに聞き耳を立てていた。そんな時に、麟太郎が私の横まで来て・・・手を掴んだ。
「ちょっといいか・・」
「えっ?」
麟太郎の機転によって、私は、彼女からの尋問からようやく解放されたんだけど、どこまで連れて行く気なの?と廊下を出て、しばらく行ったところにある中庭に私たちは来た。そして、麟太郎は、これだけを言い残してその場から去って行った。
「放課後、はなしがあるんだけど・・いいよな・・場所は後でメールするよ。」
「わかった」
こうして私たちは放課後再び会うことに
二人の光景を目の当たりにした淳也だったが、彼には仕事が残っていた。それは、2軍の女子に対する処罰を考えなければならなかった。普通の学校の校門であんなことがあるとすれば、普通ならば教師たちが生徒の処罰を考えるのだが、生徒達の自主性を重んじると言う言葉によって、生徒達である程度決めるようになっていた。特に淳也としては、来年の部長候補と言うこともあって、彼女達の処遇をどうするかを今も部長から任せられていた。
淳也は考えていた。多分、退部となると問題が起こるだろう、彼女達のことだ、原因を全て香の責任だとも言いかねない。それに、前から、テストの時、わざと遅れてきて、目立ったために、彼女が合格したという、変な噂も聞いていた。だからこそ、はっきりとしないと・・・そして、あの場面にいた数名の2軍の女子を集めた。
淳也の前に現れた数名・・・数人はしおらしくしているが、明らかに、態度が全く違う女子が一人いた。笹田麻友、こいつは、厄介だ・・・実は彼女、無双高校に特待生で入学してきた女子だった。しかも、その条件がブラバンの演奏、しかも、淳也と同じ楽器だった。彼女がいたブラバンは中学のコンクールで優勝した。また、彼女自身もいくつか賞を取っている実績から特待生になった。だから、あの時、香がいなければ、1軍に入っていたに違いない一人だった、そんな彼女がまず口火を切った。
「だいたい、香が悪いのよ!!」
そんな彼女の強気の発言に、一部の女子がそうよ!!と口々に追従した。その光景を、冷静に見ている淳也・・・しばらく、黙っていると図に乗った彼女たちはとんでもないことを言い出した。
「ひょっとして・・・先輩は、桜川くんの彼女と知って、香を選んだのかしら。」
「それは違う、実力で決めたんだ・・・俺一人じゃなく、あの時のみんなで決めた。」
逆切れもいいところの彼女たちは、淳也に食って掛かった。
「そんなはずないわよ!!だいたい、あの時、わざと遅れてきたんだわ。そうよ・・そうやって目立とうとしたのよ」
その言葉に淳也の目は鋭くなった。そして、机をバンと一回叩いた。
「じゃぁ・・・あの時、君は我々が満足する演奏をしたが香が遅れてきたから目立って、香が合格したとでも言うのか?」
淳也の行動に一瞬ひるんだ麻友だったが、彼女は言い返してしまった。
「そうよ!!絶対に!!」
その言葉に乗じて数人の女子たちが再び声を上げ始めた。そんな光景を見て、淳也は、もう一度机をバンと叩いた。そして、
「君の演奏は、遅刻者が来た途端に忘れられる程度の演奏だと言うことだ、もし、1軍になりたいのなら、俺達を納得させる演奏をして見せろ!!とにかく謹慎1週間だ。」
そういい残して、淳也は立ち去ろうとした、一方、彼の言葉にガクリと肩を落とした麻友だったが・・・次第に怒りで震えてきた。私の演奏がそんなもの?
「どういう意味ですか?」
そう叫んだ麻友、流石の女子達も麻友にもうやめましょうと諭してしたのだが、彼女だけは引き下がらなかった。
「言った通りだ!!」
「そんな程度が低いのですか私の演奏は」
「ああ・・」
「そんなはずないわ!!」
すると淳也は振り向いて彼女の方を見た・・・・
「だったら、証明して見せろよ」
「証明ですって?」
「ああ・・次の入れ替えテストで・・」
淳也の言葉に麻友は、拳に力を入れて叫んだ
「分かったわ・・・けど・・・私が勝ったら、あの娘を退部にしてくれるんでしょうね。」
すると、淳也は、軽く笑みを浮かべた。
「それは、無理だ。」
「なぜよ!!」
「今の君じゃ、香に勝てないからだ・・・じゃあ・・しっかり練習しておくんだな・・・」
そういい残して去って行く淳也の背中に麻友は叫んだ
「絶対に勝ってやる!!」
そんなことが合ったことなんて全く知らない私は、放課後になって、メールに書かれていた場所に向かっていた。その頃、麟太郎は、すでに、待ち合わせ場所に来ていた。それは、学校から少し離れたところにあるパウムと言う喫茶店だった。一人、コーヒーを口にしている麟太郎、彼が学校を出たと同時に、香から淳也さんへ部活を休むことを伝えてから来ると言いにわざわざ走ってきたかと思うとすぐにとんぼ返りで、部室に向かって走って行った。あわただしいやつだな・・・そういえば、一番最初にあった時も走って俺の前に現れたんだよな・・・そして、何故か俺の淳也さんにつないで、そして、部室まで走って行ってしまった。
あいつが現れると何故か、おせっかいをしてしまう・・しかも、勢いにまかせて・・・俺何やっているんだろう?今日の行動を思い出した。理恵たちの前の時は、理恵の言葉についかっとなったこともあったのだが・・・今回は、なぜだ?思わず香に駆け寄っていた自分があそこにいたんだ・・・おれは?・・・そう悩んでいると横から声がしてきた。
「待った?」




