俺、香と付き合っているんだけど
俺、香と付き合っているんだけど
麟太郎のその言葉が、彼女達に衝撃を与えた。特に知代にとっては、私が昨日謝っている以上目の前の展開が全く理解が出来ないでいた。そんでもって、かく言う私も、事態の進展についていけないんだけど・・・そんな光景の中、理恵は、私を指差してこう叫んだ。
「う・・うそよ!!だって昨日、別れたって・・」
すると麟太郎は、私に
「ごめんな、香・・・喧嘩して・・・」
そして、答えに戸惑っていると背中をポンと叩いてくれた。
「あ・・うん・・・私こそ・・・ごめんなさい・・・」
そんな光景を目の当たりにした知代たち、特に知代にとっては、彼女のプライドを著しく傷つけているに違いなかった。そして、彼女は、
「うそよ!!これは・・・絶対に・・・桜川君!!香と何かあったのよ。絶対そうよね!!」
「いい加減にしろ!!」
「じゃぁ・・あなたたちが付き合っていたって証拠は?誰か知っていたの?え?」
とうとう、小学生じみた論理を振り回し始めた、しかし、そんな彼女の最後の砦は、二人の証人の登場によってもろくも崩れ去って言った。
「おれだ・・」
桜川先輩の登場に、一同は、驚いていた。しかし、知代はまだ信じようとしなかった。
「だって・・・桜川君の彼女って、山内さん・・・って聞いているし・・・」
そこへ理恵が口を挟んできた。
「誰が?彼女って?・・・麟太郎の彼女は香よ・・・私も彼女の為に黙ってたの。この学校にこういう輩がいるの知ってったから、」
そういうと理恵は私のほうを見て、少し笑顔を見せた。しかし、その言葉にそこにいたみんなは驚いた。それはそうでしょう。麟太郎と理恵は、誰が見てもカップルとしか思えない。そんな振る舞いをしていた理恵がずばりそれは私のためのカモフラージュって・・・ちょっと待ってよ・・・何時からそうなったのよ?と言いたいけど・・・で、目の前の知代は、呆然としていた。そして、彼女たちをせせら笑う声がしてきた。
「う・・・うそ・・・」
「今度は、君が土下座をする番かな?」
麟太郎の言葉に、ビクッとなった知代は、お決まりの捨て台詞を吐いて、逃げて行った。
「おぼえてなさい!!」
これで救われた・・・そう思った私だけど、私の右肩は麟太郎に支えられていたのを思い出した・・・そして、硬直している私に、優しい言葉が掛かって来た。
「大丈夫か?」
「あ・・・うん・・・」
すると、周りからの視線にようやく気付いた私・・・思わず逃げようとしたら、腕がそのまま引っ張られる形で、くるりと麟太郎の胸の中へ入り込んでしまった・・・・周りからの歓声が・・ますます、私の顔を真っ赤にしていった。こうして、私たちが付き合っているのがみんなに公表された。
って・・・
付き合ってもいないのに・・・
どうしよう・・・