運命の日
―――運命の日
ショッピングセンターで一人立っている私の前には満面の笑みを浮かべ勝ち誇ったことを前面に飛び出しそうな勢いの表情をした知代が立っていた。その横には当然彼氏の雄二も立っていた。しかし、彼女は私の言ったことを一切聞こうとしなかった。
「やっぱり・・・嘘をついていたのね」
「本当よ。この間、別れたんだって。」
「そんなはずないわよ!!信じないわよ!!絶対嘘!!私に恥を掻かせて、明日、校門で土下座して謝ってよ!!」
な・・・なにが土下座よ・・一体何様よ!!完全に切れた
「嫌よ!!ちゃんと説明したでしょう?いい加減にしてよ!!」
こうして私と知代の交渉は決裂に終り、とりあえず家に向かった。その帰り道、麟太郎から電話が入ってきた。そして、一部始終を彼に報告した。
「まぁ・・・うまいこといってよかったじゃないか」
「良くないわよ!!明日、校門で、土下座白ですって。どう思う?」
「負け惜しみもいいところだな・・」
「そうかなぁ~・・」
「そうに決まってる・・・明日、香にそんなことさせられるわけないよ」
「そうよね・・・ありがとう・・・心配してくれて・・」
「ああ・・じゃぁ・・」
「うん・・・じゃぁ・・」
そんな会話が出来たことが、私を少し浮かれさせていた。翌日、校門で最悪の事態が起きるとも知らずに。
―――――翌朝、校門で待ち構えていたのは、知代だけでなく、彼女を中心に10人くらいの女子達だった。その中には、私が知っている顔も会った。そうブラバンの2軍の女子達も待ち構えていたのだった。そして、私を発見した知代の第一声が・・
「香!!待ちなさい!!」
そう叫んだ知代は私を手を引っ張って、その10人くらいの女子達の前に引きずり出した。完全に取り囲まれた私、逃げ道もない・・・そして、知代は私に向かって叫んだ・・・
「土下座して謝ってよ!!」
「嫌よ!!」
そう抵抗した私を彼女らは押さえ込んで、私をひざまつかせた・・・・
「生意気なのよ!!」
「そうよ!!」
「ちょっと!!桜川先輩にかわいがられているからって!!」
「早く!!土下座してあやまんな!!私はうそつきですって!!」
痛い!!誰かが私を蹴った。そして、無理矢理頭を押さえつけてきた。その時だった。
「やめないか!!」
先輩の声がした。その声に一同は振り向いたけど、彼女らはひるまなかった。
「桜川先輩はこのうそつきの肩を持つのですか?」
そんな時だった。
「ごめんな!!」
「きゃっ!!」
麟太郎の声と共に私の後ろで抑えていた二人が、前のめりにつんのめって倒れた。それは、麟太郎が彼女らを後ろから押したからだった。そして、麟太郎は、私の肩をそっと抱きかかえて、立ち上がらせてくれた。その光景にも彼女らは一向にひるむ様子もなかった。
「なにすんのよ!!」
「そうよ!!」
「桜川君もこの嘘つきの肩を持つの?}
すると麟太郎は、激怒して叫んだ。
「誰が、うそつきだって?いい加減にしろ、お前らの方がよっぽど頭がおかしいだろう!!」
「なによ。ちょっとカッコいいからって!!早くそいつを渡しなさいよ!!」
「そいつって誰だ?」
「大嘘つきの香に決まってんでしょう!!」
そう叫んだのは、知代だったんだけど、そんな彼女に対して、麟太郎は、握りこぶしを挙げた
「いい加減にしろよ!!」
「ぼ・・暴力をふる気?信じらんない・・・」
麟太郎の行動に女子たちは、暴力反対とののしりつつも少し後退した。その時だった。
「嘘つきは、お前達の方だろう?俺が何故怒っているのか。お前ら分かっているのか?」
「はぁ~?意味わかんないし~」
知代は腕を組んで、麟太郎を睨みつけていた、そして、周りの女子達も彼女同様に意味わかんないって口々に声を上げていたが。次の瞬間、彼女達の顔が凍りついた。
「俺、香と付き合っているんだけど」