再びのワンダーラビット戦のようですよ?(1)
「とりあえず、前と同じように壁際に寄るぞ」
二十階層フロアボスのその魔物、ワンダーラビットは前回と同じようフロアの真ん中にいた。
あれに釣られて真ん中に行ってしまうと四方八方から攻撃を仕掛けられてしまう。
だから真ん中には決して行かず、壁際で対処するのが最善だろう。
「ウィズ、エリン。頼む」
真ん中に佇んだまま、動かないワンダーラビットを無理やり動かすため、二人に魔法での攻撃を頼む。
「「『ライトニングバレッド』」」
二人の放つ雷光の弾が真っ直ぐ標的に向かって行く。
もちろん、弾がひとつな訳がなく、放たれた弾丸は躱すような隙間がないように放たれているように見える。
しかしワンダーラビットの身体が揺らめき、消えたかと思うと、既に弾丸の雨は抜けていて次の瞬間には俺の目の前に現れる。
やっぱり速いな……
ワンダーラビットの攻撃をなんとか受け止め、押し返したが、ワンダーラビットはすぐに走り出してしまい、エチカが攻撃を仕掛けるような隙はない。
もっと怯ませるくらいにしなきゃダメか。
今回は前回とは違い壁を展開していない。
エチカの出るタイミングを妨害しないようにだが、それを理由に後列が攻撃されるなんてこと、タンクとして許せない。
俺は感覚を研ぎ澄まし、既に走り出して残像しか見えないような魔物の攻撃を感じ取る。
ワンダーラビットが移動している場所からは風を切り裂く音と暴風が吹き荒れるため、わかりやすい。
時には察知し、時には出てくる場所を予測し魔物の攻撃を抑える。
リンとウィズとエリンが牽制で攻撃を仕掛けているため、ある程度なら仕掛けてくる場所は読める。
しかし、何とか抑えてるだけで怯ませるには至らない。
やっぱり速度が速い。
なんとか攻撃を抑えるだけで精一杯だ。
「シン、ごめんなさい。さっきから何度もチャンスがあるのに……」
「いや、この速度だ。仕方ないだろ。俺ももっと大きな隙を作って上げれればいいんだがな」
エチカが俺は抑えてるだけなのに謝ってくるため、どこか申し訳ない気持ちになる。
ちゃんと怯ませられない俺が悪いのにな。
盾は攻撃を耐えるだけが役目ではない。
攻撃のための隙を作るのもタンクの役目なのだ。
「シン、どうする?また、吹き飛ばす?」
「いや、ウィズ、それはまだ待ってくれ。何とかするから」
「ん、分かったけど、無茶はダメ」
「わかってるよ。タンクが倒れたら誰がパーティーを守るんだ?」
ワンダーラビットの動きをよく見て、攻撃を仕掛ける場所を予測する。
俺に仕掛けてる来るタイミングさえ来てくれれば正面から殴りつけられるんだがな……




