魔人が現れたようですよ?
「ねぇねぇ、勇者なんでしょ?そこのおっきい盾持った人」
声のしたほうには空中に足場でもあるかのように立っている楽しげな表情をした子供の姿。
まるでおもちゃでも買ってもらったのかのような顔でこちらを見つめている。
―――間違いないな。魔人…か。
嫌な予感が的中した。
魔人ははなっから勇者の特定も込みで魔物の育成をしてたってところか。
最悪、逃がさず全員殺せば同じだと…
「ミリカはギルドに戻って至急援軍を頼んできてくれ。他のみんなは魔物の足止めを頼めるか?」
恐らくこの中ではミリカが一番早いし余力を残している。
急いでギリーたちを呼んでくれば間に合うかもしれない。
「無視?ねぇねぇ、今、僕を無視したの?下等種族の分際で?」
「いやいや、悪いな。お前の相手はしばらく俺がしてやるから我慢してくれ」
俺はわざと挑発するようにして魔人の注意を引き付ける。
魔物の対処まで考えると俺が一人で魔人を抑えるのが最適解のはずだ。
「えー。君一人?お仲間さんと一緒にじゃないの?」
「そういうんなら魔物の動きを止めてくれるとありがたいんだがな」
「別に止めても何も変わらないよ?」
「さすがにそれは舐め過ぎだな。ここにいる十人でやれるならお前くらい殺せる」
俺はそう言ったのだが、魔人の反応からして言いたいのはそうではないらしい。
何が言いたいんだ、と思った瞬間、背後から爆発音が聞こえた。
振り返ると町から火の手が上がっている。
「ね?もう僕の眷属が町を襲ってるから今更魔物千匹くらい変わらないでしょ?」
町の上空には鳥型の火を吐き、風を起こす魔物が無数に浮かんでいた。
…つまり、援軍はしばらくは見込めないってことか。
その鳥型の魔物は無差別に火を吐き散らしている。
住民も巻き添えにして…
俺の泊まっている宿の方からも火の手が上がっている。
リンたちがついているなら、ファノンも無事のはずだ。
それにウィズが戻ってきたら、あれくらいならすぐに片づけ終わるはずだ
大丈夫、何も問題はない。
「もう勇者は見つかったし町を狙う意味はないだろう?もしかして俺が怖いのか?」
あいつは俺を勇者と誤解している。
そのほうが今は好都合なため、その名を使わせてもらうがバレバレな挑発の言葉を放ち、無理にでも気を引こうとする。
「へぇ…まぁ、いいよ。遊んであげる。僕の名前はパズ・サヴォーディ。君の名前は?」
「シンだ。御託はいいからかかってこい」
そう言った瞬間、その場は爆発的なまでの暴風に包まれた。




