防衛力として期待されているようですよ?
「俺がフレスベルグのギルドマスターのゴッサスだ。よろしくな、シン!」
ドアを吹き飛ばしてギルドに入ってきた筋肉ダルマはどうやらギルドマスターらしい…
「あ、あぁ、よろしく…」
「とりあえず場所移すぞ。大っぴらで話すことでもないしなぁ!」
応接間に移動し、俺はわかっていることを説明した。
わかっていることと言っても、ゴブリンロードのいる群れの規模じゃなかったことぐらいしかないけどな。
「それで、お前の見解ではなんでそうなってると思うんだ?」
「まぁ、状況的に人為的なものを感じるからな。魔人の仕業か何かだろうが目的がわからんな」
「まぁ、そうなるよなぁ。そんなお前に耳寄りな情報」
ゴッサスはそれまでの軽い雰囲気から打って変わって真剣な顔になる。
「―――王都で勇者の紋章持ちが現れた。国のお偉いさんの勧めでこの街に移動中だそうだ。こっちに着くまでにあと4日ってとこか」
勇者とは魔王を倒す存在だ。
勇者の成長速度は異常の一言に尽きる。
しかも、その影響はパーティーメンバーにも及ぶ。
だが、勇者がパーティーに入れると決めた人にしか影響はなく、勇者のほかに恩恵を受けるのは最大で5人までというのが伝わっている。
つまり勇者パーティーは6人の少数精鋭で組まれ、またメンバーも勇者自身の意志で決めることになる。
そこから冒険者たちもパーティーは最大6人でってなったらしい。
まぁ、そんなことはどうでもよくて一番、注目すべきなのは――――
「勇者の紋章持ちが現れたってことは、魔王が現れるってことだよな」
「まぁ、そういうこった。つまり今回の一件は…」
「ゴブリンロードをこの街にけしかけて、まだ育ち切ってない勇者を潰しておこうってわけか。どこで情報が漏れたのかは知らんがな」
「それにゴブリンロード程度で終わりとも思えんな。もっと強力なのを隠してるか、魔人本人が殺しに来るかだな」
ゴッサスは苦虫を嚙み潰したような表情でそう言った。
魔人なんかがこの街に来たらこの街ではひとたまりもないだろう。
この街の冒険者はほとんどがDランク以下だ。
そうなると、領主の保有する騎士の数も少ない。
「そんな話を俺にするってことは防衛力としての働きを期待しているってことだよな」
「そこまでわかってるなら話は早い。頼まれてくれるか?他の街からも応援をすでに呼んでるし、もちろん報酬も弾むからよ」
俺もさすがにここで断るほど人でなしではないので頷く。
「ありがとう。あ、それとこれはゴブリンロード討伐の追加報酬だ。それなりに弾んでおいたから、今度のも頼むぜ」
少し重量のある袋を投げ渡され、俺は応接間を出て、リンたちを探す。
クエストを見ているはずなんだが、クエストを張り出しているあたりにはいない。
流石にギルドから出てはいないと思うので、あたりをきょろきょろ見回すと、ギルドに併設された酒場で食事をとっているのが見えた。
しかし同じテーブルに座っているのは3人ではなく5人。
リンたち以外の二人は後ろ姿しか見えないが、その後ろ姿だけでもわかるほど見慣れたやつだ。
俺はそのテーブルに近づくと、その二人は俺に気づいたのか振り返る。
一人は金色の髪を後ろに流し、その優しそうな目は翡翠色をしている女性。
もう一人は特徴的な魔女帽から生えるように伸びた水色の髪の二つの三つ編みに少女のような外見をしている。
「アリアとウィズ? どうしてここに…?」
そこにいたのは、俺を追放した元のパーティーメンバーのアリアとウィズだった。




