明らかにおかしかったようですよ?
「降ろしてくださいよ!もう歩けますから!」
「リン、無理しないほうがいいですよ」
「そうそう、なんだかんだ言って嬉しいんでしょう?」
「嬉しくないです!恥ずかしいです!もうギルド前ですよ!?」
俺たちはゴブリンロードのことを報告するためとクエスト達成報酬をもらうためにギルドに入った。
討伐の証明は、とどめを刺した冒険者のギルドカードに自動で記録されるため、特に素材が目当てではないときは死骸は燃やして埋めるのが通例だ。
「シン様、流石に女の子を抱えたままギルドに入って来るのはどうかと思いますよ」
「リンが腰が抜けて歩けないらしいからしょうがないだろ?」
「もう歩けますってば!」
抵抗を激しくしたリンはなんとか俺の手をすり抜けると、顔を赤くしたままエチカとエリンの後ろに隠れる。
…そういう反応されると更にからかいたくなってくるが、嫌われても困るため鋼の意志で我慢する。
「シエラさん、クエストは無事達成したんですが――とりあえず冒険者カードを見てもらえますか」
「? っ! ゴブリンロ――ムグッ」
俺はとっさに言い出しかけたシエラさんの口をふさぐ。
町の近辺でゴブリンロードが見つかったとしたら普通は大騒ぎになるからな。
ゴブリンロードのいる群れは増殖も成長もけた外れに早くなり、対処が間に合わなくなるからだ。
しかし、シエラさんは相当慌てた様子だったがゴブリンロード以外の討伐証明を見て不審な顔をする。
そう今回の群れはおかしすぎるのだ。
ゴブリンロードがボスなのにゴブリンジェネラル(ロードが居るときのキングの呼び名)が一匹たりともおらず、ホブゴブリンも30ほどしかいない。
まるでホブゴブリンボスが一気にゴブリンロードになったかのように。
「これはギルド長に伝えますね。もちろん報酬の増額もあると思いますので」
「あぁ、よろしく頼む」
「これ一応元の達成報酬です。ご確認ください。また後ほど状況の説明してもらうことになると思うのでよろしくお願いします」
俺は報酬金を確認し、そのままリンに渡す。
そうするとリンはきょとんとした顔でこちらを見つめた。
「えっと、私が分けるんですか?」
「? 報酬の分配はリーダーの務めだろ?」
「…そうなんですか。これまでは三等分でやってたので――これくらいですかね。はい、シン様」
リンは報酬の7割近くをこちらに渡してくる。
「これじゃ貰いすぎだ。二割でいい。増額もあることだしな」
「今回クエストを達成できたのはシン様の力あってこそですから、もらってください!」
多い分を渡そうとするが、意地でも受け取ろうとしない。
「わかったよ。じゃあこれで――――俺に対して普段通りの口調にするように。あと名前はシンでいい」
そう言って無理やり多かった分の報酬をリンに握らせる。
「え、いやそれは…」
「それじゃそういうことで。あと宿、同じ所にしたほうがいいだろうから案内してな?」
同じパーティーだし敬語は距離感を感じて嫌だったので丁度よかった。
宿の方はパーティーで集まりやすいようにだ。
他意はない。
「エチカもエリンもそれでいいか?」
「もちろん大歓迎です!あ、これはみんなになので普段のしゃべり方ですよ!」
「まぁ、同じパーティーだしね。わかったわよ。シン」
「もう二人とも現金だなぁ…。まぁ、その…わかったわ。これでいい?」
俺はその三人の反応に満足したので、早速宿を変えに向かった。




