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生きてて良かったと 思いたい私の異世界転生  作者: 蒼氷


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他視点 アシタスト国 国王ボルステル

アシタスト国、国王であるボルステル・アシタストは楽しみにしていた


度々話に名前が上がる

ルラというSランク冒険者


各地のギルドマスターからの推薦をもらい、自力でSランクにまでなり

ダンジョン踏破も1度ならず、2度もしている


魔寄せの話の連絡が来た時は、驚いたが

大した被害もなく、各地に飛び回り未然に防いだと聞いた


我が国でも、マーダル近辺から連絡が来たが

距離的に駆けつけるのは5日後になると返事をするしかなかった

冒険者ギルドのみでの対処が難しいと判断して、近隣の貴族家から騎士団を向かわせるように

要請を出した翌日に連絡が来た


『魔寄せを発見、Sランクの助力により事態は沈静化した。ワイバーンの襲撃があったが、Sランク冒険者の活躍により、町に被害はなく、死者も無し。ポーション類が枯渇しているので、援助が欲しい』


森から溢れるほどの魔物が発生したのに、死者は無い

しかも、ワイバーンまで来たのにだ


これには驚いた

後の連絡でSランクの正体を知り、さらに興味が湧いた

どうやら、各地で起こっていた獣人亜人の行方不明者の捜索から関わっていたらしい

我が国では被害が確認されていなかったので、まさか魔寄せまで関わっているとは知らなかった


その後に届いた各国への知らせは、信じられないものだったが

各地の異変と、教皇国の動きを鑑みてもいつかは(・・・・)起こる事(・・・・)なんだろうなと思った


それからしばらくして、トレール伯爵から連絡が来た

例のSランク冒険者たちがトレール領に拠点を作りたがっていると


それに関してどうして国王にまで可否の連絡が来るのかを、不思議に思ったが

説明を聞いて、理解が追い付かなかった


ニクン国へ行って、奴隷を買い占めてこちらへ逃がす


どうして冒険者がそんな事をしようとするのか

奴隷を買い占めるとはどれほど金のかかる事なのか

しかも、赤の他人

別種族を助けようとしている


ニクン国が教皇国からの影響を強く受けているのは知っている

しかも、最近はそれが顕著だ


知っていても他国の事だ、私が口を出す事ではない


しかし、このSランク冒険者は動いた

合法的に奴隷を国外へ連れ出すには、一番良い方法だろう


その為に、買い占めた奴隷達の一時避難場所をトレールに作りたいと・・・・そういう事のようだ


確かに国境にもっとも近い大きな町だ

奴隷達を連れてくるのに、これほど良い場所はないだろう


しかし、報告を聞いてさらに驚いた

なんとこのSランク冒険者は、自分達で町の外に拠点を作るつもりだというのだ


確かに町中の家を買ったとしても、急に奴隷達がたくさん住む家が出来れば

周辺住民は驚くだろうし、何かあるんじゃないか?と思うだろう


町の外に拠点を作りたいのはわかる・・・・


トレール伯爵は、自領なのだから拠点を作るかどうかの可否は出せるが

他国で買った奴隷達を逃がす先にしてもいいかどうかを聞きに来たらしい


少し考えた、奴隷達を連れて来るという事は

犯罪に使われる事はないんじゃないだろうか?と予測した

我が国では奴隷達に違法な事をさせるのは禁止されているし、重罪だ

ニクン国とは法律が違う


それに面白い(・・・)と思った


Sランク冒険者がどこまでやるのか、見てみたくなった


ニクン国での現状がどうなっているのかも、気になる

あそこが荒れればこちらにも少なからず被害が出る

特にスパイスの輸入が無くなるのは痛い


これをきっかけにして、ニクン国の動きが分かればいい

それに、奴隷達を酷く扱うのは私は反対だ

しかも、獣人亜人のみを、というのは理解しがたい


そこまで考えて、OKを出した



トレール伯爵には、拠点の視察を定期的にする事と

Sランク冒険者とは綿密に話を進める事を指示した






そして、しばらくしてトレール伯爵から手紙が届いた



『Sランク冒険者がトレールに到着後、翌日から自ら拠点作りに取り掛かり、土魔法によって3日後にはほぼ完成。これから改良を重ねる予定らしいです。拠点が完成次第、ニクン国へ行き、少しずつこちらに連れて来る予定のようです。


追伸、Sランク冒険者ルラは大変興味深い人物です。今後も定期的にご連絡申し上げます』



「ルラ・・・女の方か?」

ニルステル「そうですね、・・・・・まだ、15才?成人したてのようです」

「15だと?その子が奴隷を買い占めようとしていると?」

ニルステル「ええ、相棒のガロルドは21才・・・こちらも若いですね」


「そんな若い冒険者が奴隷を買い占めるほどの財力があると?」

ニルステル「調べでは、かなり資金を持っているようですね、ダンジョン踏破もしていますし納得ですね。ドラゴンの素材だけでもどこぞの領地の予算並みです。さらにルラの方は商品登録も数多くしている、と。例のコメを広めたのは彼女のようです」


「ふむ・・・・・興味深いどころの騒ぎではないな・・・親はどうしている?」

ニルステル「レーベルの出身で、母親は蒸発、父親は多額の借金と虐待の罪で犯罪奴隷落ち、妹は別の町で高等学校へ通っています、これはルラの出資で行われているようで、不自由のない生活ができているそうです。ルラとは絶縁状態らしいですが・・・・姉は・・・魔石加工工場での勤務・・・とありますね」


「複雑な家庭状況のようだな・・・・出生に問題があるのか?」

ニルステル「近所からは婚外子ではないかと言われていたそうです。髪や目の色が両親とも姉妹とも似ず、それによって父親が母親の不貞を疑っていたそうです。それが虐待につながったのではないかと・・・母親はずっと否定していたそうですが、真実はわかりません。ルラ自身は学校では成績優秀、稀に見る才能だったと・・・・しかし両親はそれには気が付かなったようで・・・・上の子と下の子に愛情を注いでいたようですね」


聞いていてるだけで、胸が痛くなるような話だ

自分の子に関心がないのか?

母親は気づけただろうに・・・


ニルステル「母親も父親の散財と暴力に耐えかねて出ていったようで、ルラの才能に気づく余裕さえなかったのかも知れませんね」


「それでも、置いて出て行ったのだろう?上の子と下の子には注ぐ愛情があって、真ん中の子には無いとは・・・・親とは身勝手なものだな・・・」



ニルステル「その母親が出ていったあとは、父親の指示で学校を中退、学校の先生のはからいにより、卒業試験を行い卒業認定はされているようですね。学校に通わなくなってから稼ぐために冒険者へとなったみたいですね・・・町ではいつも走り回っている姿が目撃されています。妹の世話の為に、限られた時間で稼ぎ、家事をして、いつも走り回って何とかしていたらしいです。依頼はほぼ受けず狩りのみで稼いでいたそうです。その頃から、加工の依頼や魔石作りの依頼で稼いでいたみたいですね、拠点作りもそれを活かして行われているんでしょう」


「・・・・・それだけで拠点が3日で完成するものか?」


ニルステル「土魔法が得意な魔法師に、家を作れるか聞いた所、かなりの時間をかければ出来ない事もないでしょうが、住むには不安がある、と返ってきました。なので、彼女特有の何かがあるのではないかと・・・・」


「なるほどな・・・」

とにかく普通ではないようだ


ニルステル「レーベルに住んでいた時は比較的普通に過ごしていたのかと思ったんですが。冒険者ギルドマスターに確認を取った所、当時からとんでもない才能を秘めていたそうです。10才を越えてからは、どこまでも走って移動して、双剣と弓を使い、なんでも狩ってきていたそうです。多少問題児の部分もあるらしく、一度、Aランク相当の魔物を倒した報告を受けたそうですが、『そのまま現場に置いて来た』と言われた事があるらしいです」


「は?狩ったのにおいて来たのか?」

どういう事だ


ニルステル「彼女はかなりの容量の収納魔法が使えるので、そんなはずはないと思ったんですが・・・理由が・・・・」


「収納があるのならなおさらわからん話だな・・・」


ニルステル「気持ち悪かったから・・・・だと」

「は?」

気持ち悪い?魔物など大概が気持ち悪いものだろう


ニルステル「どうやら大型の虫の魔物だったらしく・・・多足の・・・こうウゾウゾと動く感じの・・・」


「ああ、それならわからんくも・・・ないか?」


ニルステル「とにかく、そういう一面もあったので、ギルドマスターがたまに説教してたらしいです。他の冒険者の話では、『とにかく可愛い』『料理が上手い』『優しい』と言った評価がありましたが・・・戦闘能力の事は何も無かったですね・・・」


「同業者なのにか?ちょっとよくわからなくなってきたな・・・」

普通はどういう戦闘が得意とか、魔法が使える、とか・・・あるだろう


ニルステル「ギルドマスターからも、『とにかく料理が上手い』との報告が上がっています。・・・・・冒険者がそちらの評価が高いとは・・・一体どういう事なんでしょうかね?」


「私が聞きたいが・・・」


ニルステル「住んでいた町からの情報はこれぐらいですね。父親の借金が限界に達した所で家を出たようです。妹や姉の当面の生活費を工面して、父親の借金分のお金も置いてきたらしいので、当時からかなり稼いでいたみたですね」


「父親の借金まで?それは金貨千枚どころの話ではないのではないか?」


ニルステル「当時の借金は・・・・金貨4000枚は越えていたみたいですね、しかもかなり怪しい所からも借りていたらしく、金貨5000枚ほどはあったかと・・・」


「その金を10代の少女が用意したのか?」

信じられなくて聞き返した


ニルステル「とにかく働きまくっていたみたいですね。魔石のアルバイトや加工の依頼、空き時間には狩り、それにその頃から商業ギルドと仲良くしていたようで、かなりの数の商品登録がされています。町を出る少し前にされたのがコメの精米に関する事のようです」


「・・・・・ニルはその年でそれだけの金が稼げると思うか?」


ニルステル「無理ですね。そもそも働くという概念すら持っていなかったです」

「ふふっ、私もだ・・・Sランク冒険者とは想像を超えるな」


ニルステル「彼女は例のドラゴンを従魔にしているそうなので、やはり私達とは決定的に何かが違うのでしょうね」


「ドラゴン・・・いつか会ってみたいものだ」

ニルステル「ええ、トレール伯爵をつついてみましょうか」

「理由もなく王都に呼ぶわけにもいくまい、いつか機会があると信じよう」


ニルステル「それもそうですね。一応協力して欲しい事があれば何でも言うように言っておきましょう」

「そうだな、それが良い。会う口実を作ろう。・・・しかし、そこまでしてどうして父親の借金は残ったのだ?」


ニルステル「これも心の痛い話ですが、残された金貨を持って、すぐに違法賭博に向かったらしいです。その金で借金を全て返せばやり直す事も出来たでしょうに・・・」


「腐った人間は堕ちるだけ・・・・か、ど阿呆が」

彼女の出自はかなりの山と谷があったらしい

それが今の彼女を作ったのかもしれないが、胸の痛い話だ




しかし、興味はさらに増すばかりで

ボルステルは楽しみにしていた


今までのSランク冒険者とは、欲にまみれた、国家承認のSランクで

今は教皇国に飼われている


1度だけ会った事があるが、いけ好かない奴らだった

しかし、彼女は違う気がする

いや、彼らか


発想が突飛で、面白いどころか

聞いた事もないような話だ


次の連絡が楽しみだ

いつか会える事を楽しみにしておこう




この時のボルステルは知らなかった

意外と早く面会の時が近づいている事を・・・・

ありがとござした!

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