アシタスト国 国王陛下と試食会
国王「これは・・・美味だな・・・・」
ニルステル「何やら独特の風味といいますか・・・」
デンスター「美味いですね・・・滋味深いといいますか・・・」
トレール「でしょう?私はこちらのスープに感激しました。ミソシルと言うらしいですよ」
国王「ふむふむ」
毒見役の人がすべての料理の安全を確認したあと
全員で試食中である
醤油そのものの味を知るために、ローストビーフ、ローストポーク
茹でた手長エビを醤油をつけて食べ比べてもらった
そして、醬油ベースにしたソースも一緒に食べ比べてもらう
今は朝ごはんの時に出した、シンプルなお味噌汁を飲んでいる
これもお気に召したようでみんな「美味い」「うまい」と言ってくれている
「他にもアレンジは色々とあって、煮物や、野菜を漬け込んでも美味しいです」
国王「なるほど、使い道も多いという事だな」
デンスター「これはすぐにでも始めるべきかと・・・」
国王「そうだな」
ニルステル「しかし、ショユーはいいとして大事な製法を簡単に教えてはくれまい・・・・」
国王「何か良い交渉はないものか・・・・」
「それなんですけど」
小さく手を上げて提案してみる
国王「なんだ?いい案があるのか?」
「上手く行くかはわかりませんが、国王陛下は甘いものはお好きですか?」
国王「まあ、好きな方ではあるか・・・ほどほどにとは言われておるが・・・」
「良かった!実は先日市場で良い物を見つけまして、本当に偶然」
国王「良い物?市場に新しいものが入ったのか?」
ニルステル「いえ、何も聞いてはおりません」
「以前から普通に売られていたようですよ。私は別の使い方を知っていただけの話で」
ニルステル「別の使い方?」
「はい、豆を甘く煮るんです」
「「「甘く????」」」
トレール「それは私も知らないな・・・」
「トレール伯爵がお出かけしている間に、お買い物したり、町の外で料理をしたりして気分転換をしていたんです。そこで作ってみたら美味しくて美味しくて・・・食べ過ぎちゃう所でした」
トレール「ルラがそれほど美味しいというのなら、特別なものなんだろうな・・・」
トレール伯爵がツバを飲み込む音が聞こえた
かなり期待しているみたいだ
デンスター「しかし、豆を甘く煮るとは聞いた事がないです」
「カンリオ国でも豆を甘く煮たものは無くて、この豆はカンリオ国では売っていなかったです。しかし、カンリオ国では砂糖が比較的安価で、逆にアシタスト国では砂糖は高級品の部類ですよね」
デンスター「ああ、君の言う通りだ。カンリオ国に売っていない豆とは?」
「こちらですね、この赤い豆です」
取り出したのは昨日大量に買った小豆だ
デンスター「これは・・・一般的な豆では?」
「こちらではそうなんですね、でもカンリオ国では売っていなかったです。ショユーや味噌の原料になる豆が主で、他の豆類が少ないんです」
デンスター「そうだったのか・・・・」
「はい、なので相互貿易にピッタリではないでしょうか?」
国王「確かに名案だ・・・・、しかし、甘く煮た豆とは?それの味次第ではないか?」
スッと目を細めて、こちらを見て来る
そうですね、食べたいんですね
早く出せといわんばかりの目配せに、ちょっと笑ってしまいそうになりながら
昨日作ったあんぱんを取り出す
一緒に出すのは、ナイフと、まな板
人数分にカットして、毒見役の男性にまず一切れ渡す
「どうぞ」
「失礼します」
カットしたあんぱんを受け取って、少し齧ったあとに咀嚼して確認している
飲み込んだあとに、残りもパクっと食べきった
しっかりと咀嚼してから、飲み込んだあとに「問題ありません」
そう言って、下がっていった
国王「よし、では頂こう」
私の前からメイドさん達が、お皿に取り分けてみなさんに配る
全員まずは匂いを嗅いでから、少し齧っている
トレール「匂いは焼きたてのパンだな」
「焼きたてを保存してあるので」
冷めても美味しいんだけどね、バターを入れるのなら焼きたて一択だ
国王「うむ、美味い。これがあの豆とは・・・」
デンスター「美味しいですね。何と言うか・・・上品な甘さというか」
ニルステル「・・・・美味い。砂糖だらけの菓子よりよほど美味いです」
「ふふっ、良かったです。これからアレンジもあるんですよ」
「「「アレンジ?」」」
毎回声を揃えるのが可笑しくて、ちょっと笑ってしまう
「一緒に食べると美味しいものがあるんです。作ってもいいですか?」
国王「是非頼む」
「わかりました」
もうひとつ、出来立てのあんぱんを出して、人数分カットしていく
間に挟むのは、生クリームだ
中のあんこと同量ぐらいを挟んで、毒見役の人に渡そうと思ったら
もうすぐ傍まで来ていた
「お願いします」
そう言って、小さくカットしたひとつを渡す
「承りました」
丁寧に受け取って、匂いを確認したあとに、一口
しっかり咀嚼してから、飲み込んで、残りも食べた
「大丈夫です」
国王「よし、早くくれ」
「はい、どうぞ」
人数分をメイドさんが配ってくれる
その間に、次のあんバターを作っていく
「はい、こっちもお願いします」
「これは・・・何を挟んでいるんですか?」
「こっちはバターです。あんことバターって凄く美味しいんですよ」
笑顔でそういうと、カットしたあんバターを受け取ってくれた
そして、同じように味わい
「美味しいです」
と、一言
ん?毒があるかどうかは?
国王「味はいい、食べてもいいのか?」
焦れた様子で国王陛下が声をかける
どうやら生クリーム入りも美味しかったみたいだ
「はい、もちろん大丈夫です」
国王「よし、早くくれ」
「どうぞ」
あんバターをみんなに配ってもらい、みんなが食べているのを観察する
国王「これはまた・・・」
ニルステル「甘くて、しょっぱさもあり・・・」
デンスター「バターの濃厚さもあって・・・・」
トレール「美味いですな」
「ふふっ、良かったです。これは中にあんこを詰めて焼いたパンですけども、ジャムのようにパンに塗って簡単に食べる事もできますよ」
国王「これは欲しい、欲しいぞ」
ニルステル「私も欲しいです。と、いう事は砂糖を安価で仕入れる必要がありますな」
デンスター「何としても手に入れましょう」
トレール「是非!お願いしたい!」
どうやら、あんぱんはおじさん世代にハマったらしい
年を重ねると美味しく感じる不思議だよね
若い頃はケーキがいいのに、大人になるほど和菓子の良さに気づくんだ
「あんこを作るのは、この赤い豆と、砂糖が必須ですが。このように食べるには小麦粉も必要なんです」
国王「そうだな」
ニルステル「3つ揃ってこそ、という事だな」
「あんこだけを食べるのなら、豆と砂糖があればいいですけど、バターや生クリームは牛乳が必要ですから」
国王「そ、そうか、そちらも必要になってくるのか・・・」
ニルステル「陛下、牛を増やしましょう」
国王「そうだな、レーベルの町でもやっているのであろう?」
「はい、町で消費する分くらいは作っているはずです」
国王「ならここでも出来るだろう。ニルステル頼んだ」
ニルステル「わかりました」
あんバターを再現するために、本格的に動いてくれるらしい
「まあ、このように豆には使い道がたくさんあってですね。ニクン国に上手く売り込みが出来れば、こちらの国の利益も増えるのではないかと・・・」
ニルステル「わかった。ルラ、君は大変優秀だ。続きは3国間会議でしようじゃないか。私は3国で手を繋ぐべきだと思います、陛下」
国王「そうだな・・・・そこまで重大な事でもないと思っていたが、お互いの国の利益のためにそうした方がいいだろう。アンコとやらには砂糖が不可欠だし、きっとニクン国もこれが食べたくなるに違いない」
デンスター「私も賛成です。ショユーも味噌ももっと広めていくべきだと」
国王「そうだな、ミソシルとやらは、また食べたい」
「ありがとうございます。あとは2国と話し合いをして、折り合いの着く所を探しましょう」
国王「ああ、そうしよう。所でまだ試食はあるかな?」
「はい、もちろんです」
国王「両国にも美味しさと有用性を知ってもらわんとな」
「はい、しっかりと知ってもらいましょう」
どうやらアシタスト国の説得は成功したようだ
あとはカンリオ国だな、何か刺さるものが提示出来ればいいんだけどなー
ありがとござした!




