アシタスト国の王都で買い物三昧
トレールの町から王都への馬車移動は、かなり快適だった
道路の使い勝手の良さも実感できたし
すれ違う馬車とも、接触は無いし
追い越しも簡単に出来た
左側通行も浸透しているというよりは、道路に描かれた矢印が効いている
御者さんも、「ここを走らないといけないという感じがする」って言っていた
確かに、反対の矢印に向かって進むのはどこか違和感がある
人の心理ってやつだろうか
2回の野営をして、王都に到着
王都の門で身分証明をしていると、門番さんから声をかけられた
「もうトレールまで道を繋いだそうじゃないか!凄いな!かなりの評判だぞ」だって
どうやら王都へやってくる馬車の人達は皆、門番さんに道路の良さを語ってくれたらしい
ありがたい話だ
トレール「かなりの評判だな、これなら他国の使者たちも満足するだろう」
「そうですねー、そこはあんまり心配していないんですけどね」
トレール「何か他に心配が?」
「無料で作ると言っている時点であちらには断る理由はないと思うんです。でも、何をどう貿易するのかは別の話になって来るので・・・」
トレール「確かにな・・・無料で作らしておいて、こちらが欲しい物を高額で売りつける事もあるだろうな」
「はい、後は関税ですね。ここの交渉がかなり重要になってくるんじゃないかと・・・」
トレール「そこは私も懸念している。しかし、関税を重くしてこちらが交渉に乗らないというのもあるだろう」
「アシタスト国はそれでいいんですけどね、ニクン国はそうは行かないんです。ニクン国はそれがどうしても必要なんです」
トレール「なるほど・・・ニクン国の利益までは考えていなかった・・・・」
まあ、それはアシタスト国の貴族なので無理もないんだけどね
私が一番したいのは、ニクン国へ必要な物資を輸入する事だ
しかも、価格を押さえて
今まで手に入っていた物が、急に高価になる
それは民衆が黙ってはいないだろう
わざわざ隣国ではなく、遠くから買う意味は一般市民にはあまり理解されない事が多い
国としてのメリットとデメリットよりも、自分達の生活が大事だからね
だから相手にも、絶対に欲しいものを提示する必要があるのだ
相互利益がある、これが大事
慈善事業じゃ食べて行けない
馬車ではるばる運んで来て、何も乗せずに帰ってくる事の無駄
これを無くしたい
せっかくここまで来れたのだ、後は結果を出したい
目的の為なら、道だろうが、壁だろうが断崖だろうが作ってみせよう
今世の私は貪欲なのだ
馬車が向かった先は、貴族ご用達の高級宿だ
ここに一緒に泊まらせてもらう
馬車から降りて見上げる宿は、いかにも高級宿って感じだ
トレール「ルラの料理には負けるかもしれんが、ここも食事は美味いぞ。日中は頼めばいつでも食事などのサービスも受けれる。部屋は別に取ってあるから、会議のある日以外は好きに過ごしてもらっていい」
「はー、凄いですね。ありがとうございます」
想像通りの高級宿って感じで、ちょっと気おくれしちゃうな
トレール伯爵が泊まる階の下が私達の部屋で
中に入ると、寝室が2つで浴室もあり
リビングにはお花まで飾ってある
トレール伯爵曰く、『下位貴族が泊るくらいの部屋』らしい
「良い部屋だね」
ガロルド「ああ、いつもの宿の10倍は広いな」
「どうしようか、出かける?」
ガロルド「そうだな、買い物がしたいんじゃないか?」
「したい!」
王都での買い物は屋台ご飯以外ほとんどしていない
少なくなってきた調味料類とかも買いたいしね
さっそく宿を出て、買い物をする
色々と買いたいものはたくさんあるけど、先に主食系だ
小麦粉やお米などを大量に買う、お店に迷惑をかけない程度にね
買い占めは良くない
スパイス類はニクン国で買っているので、良いとして
ここの調味料店には凄いものが置いてあった
「すごーい、こんなに大きいの初めて見た・・・・」
目の前にあるのは岩塩だ、薄ピンク色に白も混ざっている
ガロルド「これは・・・岩塩か?」
「みたいだね、すっごい大きいけど」
お店の看板として、大きな物を1つ置いているみたいだ
私が三角座りしたくらいの大きさで、板の上にディスプレイされている
その横にはカゴに盛られたお手頃サイズの岩塩がある
重さで値段が決まるらしい『1グラム=小銅貨1枚』と書かれている
って事は1グラム=1円
100グラム買っても100円だ
結構お手頃価格じゃない?
「すみません、岩塩をたくさん欲しいんですけど。どれぐらいなら売ってくれますか?」
「はいはい、たくさんってのはどれぐらいだい?」
「んーーーーっと、この飾ってあるのくらいでもいいです」
「へ?」
「ん?」
面白い顔で固まった店員さん
「駄目なら、余剰在庫くらいでいいんですけど・・・」
さすがに言い過ぎたかと反省して、控えめに言ってみた
「いやいや、腐るものでもなし、たくさんあるんだが・・・さすがにそんなに大量に買う人は見た事が無くてな・・・」
「あ、そういう・・・」
別方向でビックリさせただけだったか
まあ、いつもの事かな
「たくさん欲しいので、お店が困らない程度に売って欲しいです」
「いいんだが、そんなにたくさん何するつもりだい?綺麗な色をしているが舐めたり、直接食べるものじゃないぞ?」
「ふふっ、そんな事しないですよー。ちょっと保存食とかを作る時に使ってみようかなって」
「ははっ、そりゃまた贅沢だな、しかしこれで作ったら美味いだろうなー」
「あ、やっぱりそう思います?」
「ああ、他にはない、なんて言うんだろうな、まろやかさみたいなもんがあるんだ。焼いただけの肉に削ってかけるだけでも美味いからな」
「ですよねー、私も岩塩好きで、野菜にかけても美味しいですよね」
「わかってるねぇ、店から出せるのはそのカゴ2杯分くらいだが、どうする?」
「お願いします。買います!」
「了解。ちょっと待ってな」
「あ、出来ればカゴごと買い取らせて頂けないですか?」
「ああ、良いぜ。カゴはサービスしとく」
「やったー!ありがとうございます」
良い店員さんだー
これだけ岩塩があれば、当分は困ら無さそうだ
冷やしたスライストマトに岩塩をかけて食べるの大好きなんだよねー
きゅうりなんかもいいよね、もう岩塩を食べるために、野菜を食べると言っても過言ではない
店員さんが持ってきてくれた、カゴいっぱいの岩塩を見て嬉しさいっぱいだ
これでカリカリ梅を作ってみようかな?
梅も岩塩で漬けるとまろやかになるんだろうか?
すっごい楽しみだ
カゴいっぱいの岩塩はなかなかに重く
1カゴで30キロ以上あった
端数の重さを切り捨ててくれて、金貨6枚と銀貨7枚で購入
とっても良い買い物でした
その後も買い物や買い食いを楽しんでいると、素敵な物を発見した
小豆だ
色といい、形といい、あずきにしか見えない
屋台ごはんに豆がたくさん入ったスープがあったから
売っているんじゃないかと思っていたけど、本当にあった
なんて運が良いんだ
「すみません、これをたくさん欲しいんです」
「あいよ、これだけかい?煮物やスープにするなら色んなもんがあった方が美味いよ?」
「はい、これだけでいいです。売れるだけ売って欲しいんですけど・・・・」
「売れるだけって・・・買い占める気かい?」
「買っても問題ないようでしたら買い占めたいですね」
「あっらー、そりゃあ嬉しいけど・・・これ全部買うとなったらかなりの金額になっちまうよ?」
「大丈夫です。稼いでいるんで!」
ここは自信を持って言える
「あははっ、可愛いのにカッコイイじゃないか。いいよ、気に入った。全部で金貨2枚でどうだい?」
「え!安くないですか?」
目の前のカゴは背負いカゴとでもいうのか、かなり深さのあるカゴだ
それに目いっぱい入っている
「そうでもないよ。どうせ全部は売れないんだ。買ってくれるならその値段でいいよ」
「買います!あと、申し訳ないんですけど、カゴごと売ってもらえないですか?」
「あはは!そりゃあ構わないよ。元からそのつもりだったしね。どうやって持って帰るってんだい」
「ふふっ、ありがとうございます。助かります」
何とも接しやすい人だった
しかも大量にあずきが・・・・嬉しい
ガロルド「同じ豆ばかりどうするんだ?」
「ん?この豆は煮込むと美味しいんだよー」
あんこは絶対作るでしょう
ガロルド「へえ・・・楽しみだな」
何か新しい物が食べれるという期待を感じる
でもなー、あんこは好き嫌いがあるからな
甘すぎると感じる人もいるし、甘い豆を拒絶する人もいる
私は結構好きだ
あんバターが特に・・・・焼きたてのトーストに乗せて食べるのはたまらない
あんぱんとかも好きだけどね、生クリームが入っているともっと好き
乳脂肪分との相性抜群だもんね
買い物を楽しんだあとは、王都で人気だというお店でご飯を食べた
お肉を豆と一緒に煮込んだものは、トロトロになるほど良く煮込まれていて美味しかった
スープにも豆が入っていて、とにかくなんにでも豆なんだなって思った
ステーキを頼んでも、付け合わせに豆が乗っている
種類も豊富で、食感も味も違うのもわかるけど
これほど豆ばっかりなのには驚いた
でも、豆腐はみないんだよねー
だって『にがり』が無いもんね
にがりってどうやって作るんだ?
こればっかりはわからない・・・豆腐の作り方はなんとなく知っているけど
にがりが手に入らないと作れない、で、そのにがりの作り方がわからない
豆腐は諦めた、うん
いつか誰かが開発してくれる事を願おう
厚揚げとか、食べたいしね
ご飯を食べた後は、宿に戻ってカリカリ梅を作る事にした
必要なのは卵の殻だ
何とかって成分が梅を引き締めて、カリカリ梅を完成してくれるらしい・・・・知らんけど
科学的な事は難しいのだ
殻は薄皮をキレイに取ってから、加熱して、乾燥させておく
青梅は浄化して、ヘタをキレイに取る、梅は傷がないのが良い、そこから痛むので
ボウルに梅を入れて、コメ酒をかける
梅全体がつかるように丁寧に混ぜて絡める
ボウルにたまったコメ酒を保存容器に移して、梅に岩塩をかけていく
総量の10%くらいの塩だ
これをまーぜまぜ、しっかりと揉みこむ
これで青梅が鮮やかな色になればOKだ
保存容器に半分の青梅を入れて、卵の殻をガーゼに包んだものを乗せる
さらに残りの半分の青梅をきっちりと敷き詰めて、梅の2倍くらいの重さの重しを置く
3日ほどで梅酢が上がって来るので、それを1日2回ほど揺すって混ぜる
1か月くらいで食べごろになるので、完成が楽しみだー
岩塩パワーは発揮されるんだろうか?ふふふっ
ありがとうございます




