今日は息抜き、青空キッチン
トレール伯爵は何かと忙しいらしく、朝からお出かけしているようだ
私達は昨日買い物をしたので、今日は王都の外に来ている
「んーーーー、いい気持ち」
大きく伸びをして、深呼吸する
王都から少し離れた場所にキッチンを作り、昨日買ったあずきを出す
野営の時は時間をかけずに作るからね、今日はのんびり青空キッチンだ
まずはあずきを水洗いして、ザルで水気を切って鍋に移す
鍋のあずきよりも5センチくらい多めに水を入れて、中火で沸騰させてから2分ほど煮て
ザルに上げて水気を切る
鍋にあずきを戻し、水を入れ直して、中火で沸騰させる
沸騰したら弱火にして、蓋
そのままアクを取りつつ30分くらい煮るんだけど、あずきが柔らかくなる時間が
豆の種類とか状態によって違うので、20分くらいで一粒取り出して潰して確認する
指で潰せるくらいの硬さになったら、砂糖を半分入れて、優しく混ぜる
蓋をして10分くらい煮てから、さらに半分の砂糖を入れて、優しく混ぜて煮る
砂糖の量はお好みなんだけど、あずきの量に対して8割くらいの量がいいかな?
自分はそれぐらいを目安にしている
最後に塩を一つまみ入れて、優しく混ぜる
あとはお好みの濃度になるまで煮詰めて完成だ
パンに塗るならちょっとゆるめぐらいがいいけど、パンに入れて焼くならもったりするぐらいが良い
なので、もったりするくらいに煮詰めてから熱を取った
「よし、これぐらいかなー」
捏ねておいたパン生地にあんこを入れていく
実はこれはやった事があるのだ、パン屋さんでバイトをした事があるので
得意な部類だ
人差し指と親指をCの形にして、その上に生地を乗せる
そして生地にあんこを乗せていく
手をCの形にしているので、生地が若干伸びていい感じに入れれる
生地の口を閉じて、馴染ませたら、閉じ口を下にして
上に溶き卵を塗って、上にゴマをちょんっと乗せる
これで完成だ
ゴマを乗せるのは、パンの種類の判別のためだったけど
食べててもアクセントになっていいよね
ちなみに、バイト時代に間違えてあんこもチョコとかも全部同じ形にして
ゴマを乗せるのも忘れた事がある
次の出勤の時にそれを注意されて、「あ・・・・」ってなったのを凄く覚えている
まあ、これにはちょっと訳があって
初日に全種類の菓子パンを教えられて・・・次の出勤日は2日後
そして、一人で全部作れって言われて
「え?」ってなったんだ
当然、手順はほぼ一緒だから詰め込むとかまでは一人でも出来るんだけど
種類判別の為の作業がうろ覚えもうろ覚えで
途中で何度か聞きに行ったんだけど、もう一人の人も作業中で
「覚えてなかったら置いてていいよ」って、3回目の質問で言われてしまって
結局「詰めるまでは完成して、卵も塗りました」って言って
その日は上がったのだ
そして次の出勤で言われるっていうね・・・・今ではいい思い出だ
パン屋さんの厳しさを知ったね
一緒に作業するからメモなんて取れないし、常に一緒に作業してくれる人なんていなし
終わってからメモを取ろうにも、厨房は狭いし、他にも仕事があるから
復習のために質問も出来ない
なので「次に来た時にまた一緒にやってくれるだろう」って勝手に思っていた私が悪いのだ
初日に「次から一人だから、しっかり覚えてね」って言われたら、対応も違ったかもしれないけど
「これがパン屋での常識なのか・・・」と、ショックだったのを覚えている
なのでパン屋さんへの尊敬は凄くあるんだよ、うん
毎朝3時とかに仕込みを開始して、7時くらいまでお店を開けるって何時間労働なの?って思うよね
個人経営のパン屋さんとか、好きじゃないとやってられないだろうなー
思考が明後日の方向へ行ったけど、あんぱんは全て包み終わり
あとは焼くだけだ
残りのあんこは、朝のトーストに塗って食べたりしよっと
ついでに、生クリームを作り
これはあんぱんに入れる
『生クリームあんぱん』って最強じゃない?
ついでに、クリームパンが少なくなってきたので作っておく
私も好きだし、3匹+ガロルドが大好きなんだよねー
在庫が少なくなってきたロールパンとか、食パンも作っておこう
あ、フランスパンも欲しいな
そんな事をやっていたら、粉まみれになっていた
オーブンもかなりの数が並んでいる
どこの工場だ・・・・
戻ってきたガロルドも驚いている
ガロルド「なんだこれは・・・」
「あ、おかえりー。今日はパンをいっぱい作ってて。ちょっと張り切りすぎちゃった」
ガロルド「じゃあ、これは全部オーブンか・・・」
「うん、土魔法って本当に便利だよねー」
しかもいい感じに焼けるのだ、土窯ってのもあるくらいだしね
遠赤外線とか、良い感じのものが出ているに違いない
ガロルド「楽しそうで良かったな。で?今日はどんなパンを作ったんだ?」
「今日はね!昨日買った赤い豆があったでしょ?あれで甘いパンを作ったよ」
ガロルド「豆が甘い?・・・・食べた事が無いな・・・」
「やっぱり?豆が甘いって不思議?」
ガロルド「スープや煮物には良く入っているが、甘くはないからな」
「そっか・・・じゃあ苦手かもしれないね、やめとく?」
嫌いなものを食べさせる趣味はないのだ
ガロルド「いや、食べたい。ルラの料理でマズイものはない」
そんな真剣な顔で言わなくても・・・・
「じゃあ、美味しくなかったらもったいないから、まずは一口だけどーぞ」
焼きたてのあんぱんをちぎり、ガロルドに渡す
ガロルド「これがあの豆か・・・赤かったのに、黒っぽくなったな」
「お砂糖を入れて、煮詰めてあるんだ」
ガロルド「へえ・・・いただきます」
「どうぞー」
私も残ったあんぱんを千切って食べてみた
パンはふわっと、中のあんこは程よく甘い
「うん、美味しい」
気になったのか、3匹が近くにきたので、あんぱんを千切って口へ入れてあげる
3匹とも気に入ってくれたのか、また口を開けて待っている
「ふふっ、美味しかった?」
残りのあんぱんもちぎって口に入れて、1個のあんぱんはあっという間に無くなってしまった
ガロルド「美味しいじゃないか、何と言うか、豆っぽくはないというか・・・」
「確かに?豆っぽい味はあんまりしないもんねー」
もう一つあんぱんを手に取って、横から半分に切り込みを入れる
そして、生クリームを切り込みを開いた所へ入れた
生クリームあんぱんの完成だ
みんなが食べやすいように切って渡す
ガロルド「生クリーム?」
「うん、美味しいんだよ」
3匹の口に入れてあげると、ぴょんぴょんと跳ねている
どうやら美味しかったみたいだ
自分も一切れ口に入れて食べる
「うん、おいひー」
あんこと生クリームは合う、間違いない
生クリーム大福が美味しいんだよねー
求肥ってどうやって作るんだろうか・・・・こんど挑戦してみよっかな
ガロルド「美味い、凄く美味い」
「あ、こっちの方が好き?」
ガロルド「ああ、なんというか・・・・美味い」
「あははっ、美味しいよね」
2つ目のあんぱんもあっという間に無くなってしまったので、3つ目を手に取る
そして、横から切れ目を入れて、取り出しましたのはバターだ
これは禁断の味
カロリー爆弾
それはわかっていても、美味しいものは美味しいのだ
バターを切って棒状のまま挟み込む
みんなが食べやすいように切って、渡す
ガロルド「ば、バターか?」
「うん、これは悪魔の食べ物だよ・・・・」
ガロルド「あ、悪魔の・・・?」
あえて神妙な顔で言う
「美味しくても、食べ過ぎ厳禁だからね」
ガロルド「な、なるほど・・・」
切っておいたものを3匹にあげると、もぐもぐと咀嚼したあと走って行った
アルジャンとアスターは飛び回っている
わかりますか、この美味しさが
自分も一切れをパクリと食べる
「んーーーー」
これこれ、甘じょっぱい
バターの香りもしっかり感じる、禁断の味だ
ガロルド「美味い!しょっぱさもあるな」
ガロルドも気に入ったみたいだ
「でしょー、バターに塩が入っているからね、それが絶妙に合うんだよー」
あー美味しかった
ガロルド「・・・・・もう一個食べたい・・・」
「あー、やっぱりそうなる?」
ガロルド「ああ、最後のやつ。バターたっぷりで」
「・・・・一個だけね、本当に食べ過ぎは良くないんだから。太ったりハゲたりしちゃうんだからね」
ガロルド「は、ハゲ・・・・なんて恐ろしい食べ物なんだ!」
ハゲに激しく反応するガロルド
どうやら絶対ハゲたくないらしい
「だからあと一個だけね」
ガロルド「うんうん、それで終わりにする」
もう一つあんバターパンを作ってあげると、ちょっとずつ大切そうに食べていた
3匹も飛び回っていたのに、戻ってきて
物欲しそうな顔をしている
「もういっこ食べたいの?」
「きゅうきゅう!」「きゅぃきゅぃ!」「うみゃう!!」
「仕方ないなー」
3匹にも作ってあげて、お皿に乗せると嬉しそうに食べていた
私ももう一個食べたいけど、他のパンの試食があるから我慢しよう
試食であんこを乗せて食べてもいいな
焼き立てフランスパンにも合うんだよね、あんこは
小豆が大量に手に入ったので、これからは食べたい時に食べれる
嬉しいなー
ありがとござした!




