アシタストの王都で道路作り
パチュリーの拠点から、11人をアシタストの拠点まで連れていく
ニクン国の王都遠征でかなり増員したので、アシタストでも何かお店を出そうという事になったのだ
これはトレール伯爵のお願いでもある
パチュリーで出している屋台の話をした時に「どんな料理なんだ?」と聞かれたので
試食で、ガーバーガーと、鴨のローストサンドなどを出した
もちろん梅ジュースもだ
それを酷く気に入った伯爵たっての希望で、こちらでも屋台を出す事にしたのだ
初期の頃から拠点にいたベテラン2人と、王都から来た新人8人
そして、お金や帳簿関係を任せる為にハンクスさんの助手をしていた
鼠獣人のタウタさんに、お店の事は全部任せる事にした
トレール伯爵からの要望という事で、屋台などの手配は全てしてくれているので
あとは食材と店員だけいれば、いつでも開店できるようになっている
とても行動が早い
11人を連れてのんびりと歩きながら、関所を越えてトレールまでやって来た
みんな初めて見るトレールの拠点に驚いていたけど、中に入ってさらに驚いていた
「見ろよ、寝室がカッコイイ」
「本当だ!俺一番上がいい!」
「個室もいいけど、こういうのも良いな」
個室が少ないのでケンカになるもしれないと思ったけど、大丈夫そうだ
階段状のベッドを見て楽しそうに、どこに寝るかを話あっている
そして、お風呂にはさらに驚いていた
「おいおい、これが風呂かよ・・・」
「なんじゃこれは・・・」
「ドラゴン・・・本物かと思った・・・」
「こんな風呂なら入りたいな・・・」
一番気合いを入れて作ったお風呂なので、みんなに好評で嬉しい限りだ
ダタンヤリムさんやノースリムさんにも紹介して
拠点内で生活している他の奴隷たちとも、自己紹介しあい
一通り落ちついた所で、ガリオンさんにお願いをする
「ガリオンさん、実は首輪の生産を一旦止めて。作ってもらいたい物がありまして」
ガリオン「なんだ?革製品なら喜んで作るが」
「はい、丈夫な革でカバンを作って欲しくて」
ガリオン「革のカバンか・・・・どんなものかによるが、どんなのがいいんだ?」
「形も相談しようと思ってたんですよね、斜め掛けするタイプがいいかなーとは思っているんですけど」
ガリオン「何に使う予定なんだ?」
「魔法カバンにしようと思って、これから輸出入が盛んになるなら必要だろうと思って」
ガリオン「んん?聞き間違いか?魔法カバンにしようと思って?」
「ん?はい、革のカバンを収納付きの魔法カバンにしようと思ってるんですよ」
ガリオン「・・・・作るってのか?」
「はい、ガリオンさんも私が収納使えるのを知ってるじゃないですかー」
今さら何を言ってるんだろう?
ノースリム「違うのよ・・・違うのよルラちゃん・・・」
ダタンヤリム「大分一般常識と離れていってるな」
ガロルド「ルラ、魔法カバンを作れるのは一般的ではない。っていうか、普通じゃない」
「ああ!そっか!そうだったよね」
なんか普通に作るようになって、忘れてたな・・・・
ダタンヤリム「ガリオンすまんな、ルラはエルフと同程度だと思っていいぞ」
ガリオン「・・・・確かにな・・・わかった」
「エルフではないけど・・・・まあ、そういう事なので革カバンを作って欲しいです」
ガリオン「なるほどな、了解した。頑丈で、斜め掛けがいいか」
ダタンヤリム「ああ、それが使い勝手がいいだろうな」
「じゃあ、それでお願いしまーす」
革のカバンを買おうかとも思ったんだけど、せっかくガリオンさんがいるんだから
オリジナルのものが良いなって思ったんだ
ガリオンさんにはしばらくカバン作りに専念してもらい
お酒造りの方は、お酒好きだという人をひとり回した
トレールでの出店はお任せして、自分たちは王都へ向かう
王都までの道のりを確認するためにも、走って向かう
アンディーの運動不足解消にもなるので、一石二鳥だ
「土地は意外となだらかだな・・・これならほぼ真っ直ぐでいけそう」
遥か遠くに王都が見える位置に立って、周辺を見渡す
国道と合流するように、王都から真っ直ぐ道路を作る
多少ボコボコしている所は整地すれば問題ないだろう
でも、問題は
「形なんだよねー」
ガロルド「かたち?」
「うん、道の形」
ガロルド「形なんてあるのか?」
「うん、平らな道なら馬車も馬もスピードを出して走るよね?それって正面から同じスピードで来たら避けるのが難しいよね」
ガロルド「・・・・確かに」
「だから一方通行にしたいなって思って」
ガロルド「一方通行・・・」
「うん、左側だけ走るの」
ガロルド「左側だけ?」
「そう、私がこっちから来たら左ってこっちじゃない?ガロが反対から来たら左ってこっちでしょ?」
実際にすれ違いながら確認してみる
ガロルド「ああ、なるほどな、理解した。だから左側なのか」
「そゆこと」
1本の道に中央線を引いて、分ける
これでいいんだろうけど、問題はまだある
「絶対他の商人も使うよね」
そうだ、急ぎではない商人たちもここを使うだろう
それって凄く邪魔だし、危ない
ゆっくりと行くなら、他の道を使ってくれって感じだけど
そんな事を言っても、目の前にキレイな道があって走りやすいとなったらみんな使うだろう
それを考えて・・・・思い浮かんだのはひとつだけだ
片側2車線、つまり全部で4車線
イメージとしては、一番左が普通に走る車線で、右側の斜線が追い越し車線だ
スピードを出す馬車は右を走る、ゆっくりな馬車は左
右を走っていても、後ろから追い付かれた場合は左に避けれる
これがベストなんじゃないだろうか?
っていうか他が思いつかない
馬車4台分の幅の道路はかなりの大きさになってしまうけど
安全のためには仕方のない事だ
ここをケチれば事故が多発するだろう
「よし、これでいこう」
イメージがまとまった所で、王都の門まで走る
「こんにちはー」
まずは門番さんに挨拶だ
門番「はい、こんにちは。王都に入りたいのなら身分証明を出してくれ」
「はい、これです。大事な話があるので責任者の方と会えますか?」
門番「Sランク!ちょ、ちょっと待っててくれ」
慌てて走って行く門番さん
そんなに慌てなくていいのに・・・・
戻って来た門番さんはいかにも責任者っぽい
ヒゲがもさもさのおじさんを連れてきた
「君がSランク冒険者か」
「あ、はい、お忙しい所すみません」
「いや、話は聞いていた。なんでも道を作る為に工事をするそうだな」
「はい、魔法で一気に作るつもりなので、門が閉まったあとに取り掛かりたいんですよ。それの許可を頂きたくて」
「ああ、わかった。今日からするのか?」
「はい、門が閉まり次第やり始めます。多少地響きとかあるかもしれませんけど、問題ないので」
「地響き?何をするつもりなんだ?」
「え?だから魔法で道を作るんですよ。多少整地もしないといけないので、王都の近くはちょっとだけ揺れるかなって」
「揺れる・・・理解が出来んな・・・」
ガロルド「ああ、理解は出来ないだろうから、実際に見た方がいいぞ」
「え?」
ガロルドの言い方に驚いて、ガロルドの顔を見るけど真剣な顔をしている
冗談で言ったわけでは無さそうだ
「そ、そうだな・・・門を閉めたあとに見学させてもらおう」
「あ、はい。その方が早いですね」
説明してもわかってもらえないので、実際に見てもらう事にした
日が暮れるまでは、門のすぐ傍で料理をする
夜ごはんは何にしよっかなー?と思っていたら
ガロルドから「うどんがいい」とリクエストが来た
「いいね!」
うどん大好き
私もうどんが食べたくなったので、どんなうどんにしよっかなーと考えた結果
天ぷらうどんにする事にした
特大のエビがあるけど、そのまま丸ごと天ぷらには出来ないので
ある程度の大きさに切ってから天ぷらにする
あとは、玉ねぎとにんじんのかき揚げ
レンコンも、なすびも、大葉も天ぷらにした
あとは、好きな物をうどんに乗せて食べるだけだ
3匹にはスープ少な目にして、全種類の天ぷらを乗せて出してあげた
私とガロルドは、かけうどんに小葱をちらして完成だ
あとは揚げたて、チリチリの天ぷらを好きな物を選んで乗せて食べる
最初に取ったのはかき揚げだ、うどんに乗せずにまずは一口
ザクっとした食感のあとに広がる、玉ねぎとにんじんの甘味
「おいっひいー」
そして、かじったかき揚げをお出汁に浸してかぶりつく
これも美味い、完ぺきだ
そしてうどんをすする、もちもちの食感がたまらない
目の前のガロルドも、くちをパンパンにして食べている
美味しかったみたいだ
その後も、他の種類の天ぷらを塩で食べたり
お出汁に浸して食べたりしながら楽しんだ
門番さん達の視線が刺さるけど、気にしたら負けだ、うん
お腹いっぱいになって、夕日が沈む頃に王都の門が閉まり
ヒゲもじゃの門番責任者さんが出て来た
「門を閉めたぞ」
「はーい、じゃあやりますか!」
満足したお腹をさすりながら、閉まった門の前まで移動する
「どうやって作るつもりだ?」
ガロルド「まあ、見ているといい。絶対に近づくなよ」
「あ、ああ」
閉まった門の方からも声が聞えてくる
「何をするんだ?」
「道を作るらしいぞ?」
「え?あの子が?女の子じゃないか」
「バッカ、あれでもSランクだってよ」
「Sランク!まじかよ・・・」
声のする方を見ると、大きな門についている勝手口から覗く門番さんに
高い塀の上にも人がいた
野次馬かな?まあ、いいけど
「じゃあ、いきまーす。近づかないでねーー」
大きな声で注意をしてから、しゃがんだ
地面に手をついて、息を吸う
魔力を込めて、一気に地面を石にしていく
ボコボコボコボコッ
土が大量に変質していく音が響いた
そして振動も起こる
目の前には実際の地面から、少しだけ高い石の道が出来ていた
「よし、良い感じかな?」
王都の門より幅は広い、馬車が4台分の幅よりも少し余裕を持たせてある
ここから加工していく、中央線は太く、車線は中央線より細く
描くんじゃなくて、加工で細かい格子状の線を刻んでわかりやすくした
これで車輪をとられることもないだろう
道路のサイドは段差が無くなるように、小さな坂上にする
「ふぅ、こんなものかな?」
1回で10メートルほど、それが5分くらいかかったかな?
先に石の道を通してから、加工にした方が早いだろうか?
工夫して色々やってみようかなー
「ま、こんな感じでやっていくんで、よろしくお願いします」
棒立ちのヒゲもじゃさん
ガロルド「そっとしておいてやれ」
「うん、そだね。正気に戻ったら話をしよっかなー」
こんな反応にも慣れたものだ、正気に戻ったら話を聞いてもらおーっと
ありがとござした!




