マーダルでお買い物
マーダルの森の近くで野営をして、翌朝
ギルドから冒険者たちが来たけど、残った魔物たちの討伐はほとんど終わっていて驚いていた
ガロルドとダタンヤリムさんがやってくれたんだと説明して
魔物の残りはいないけど、回収した魔物がたくさんあるので一緒に町に戻った
倉庫で回収した魔物を出して、ワイバーンも出した
置く場所が足りないので、魔法カバンごと渡してきた
あとはギルドがやってくれるので、ギルドマスターに報告だ
部屋に行って、ガロルドとダタンヤリムさんの自己紹介をして
残った魔物討伐も完了して、回収した魔物も倉庫に預けて来た事を報告した
ギルマス「まあ、本当に仕事が早いのね。大変助かりました、ありがとうございます」
ダタンヤリム「他になにか手伝える事はあるかね?」」
ギルマス「あとはこちらで対処致します。しっかりと休んで次に備えて頂いた方がよろしいかと思いますわ」
ガロルド「ここで最後のようなんだ、カンリンから連絡は来ていないだろう?」
ギルマス「そうね、何も連絡はないわ」
ガロルド「それならここで収束したという事だな、追加で発見される事もあるだろうが。一旦収束だろう」
ギルマス「それはお疲れ様でした。あなた達のお陰で助かった町がたくさんあったでしょう。宿を用意するので良く休んだあとにカンリンに戻ってはどうでしょう?」
ダタンヤリム「ありがたい申し出だが、もう一人到着予定でな。大型のフクロウの従魔なので町の中にも入れないからな、町の外で野営するつもりだ」
ギルマス「まあ、そうだったんですね。わかりました。急がないのであれば『魔寄せ』を少し調べたいので明日渡してもいいですか?」
ダタンヤリム「いいんじゃないか?」
「はい、では明日取りに来ますね」
ギルマス「ありがとう。気晴らしに観光や買い物もしてみてはどうですか?この町は隣国から伝わった小麦を使った『パスッタ』という料理が名産です。是非食べてみて下さい」
ガロルド「それは気になるな」
「うん、食べに行こう!」
ダタンヤリム「これで終わりだな、では失礼する」
ギルマス「はい、楽しんでください」
優しい笑顔のギルドマスターとおわかれして、部屋を出る
ガロルド「じゃあ町に食べにいくか」
「え?さっき朝ごはん食べたばっかりだよ?」
ガロルド「買い物でもして時間を潰したらどうだ?」
「それは賛成」
ダタンヤリム「私は一人で散策してきてもいいか?」
ガロルド「ひとり行動は良くないだろう、なんの為に俺が一緒にいるんだ」
ダタンヤリム「そうはいうが・・・・」
「行きたい所があるのなら一緒に行きますよ」
ダタンヤリム「・・・・仕方ない。一緒に行動するか」
ガロルド「なんで仕方ないなんだ・・・」
この2人はこれで旅しててケンカとかしなかったのかな?
なんだかおかしい
話ながらギルドのロビーまで来るとバルトラさんがいた
バルトラ「よう、手伝いに来たらもう終わってるって言われて驚いたぜ」
「おはようございます。ガロ、こちらバルトラさん。昨日一緒に『魔寄せ』を探してくれたんだ」
ガロルド「ガロルドだ、ルラが世話になった」
バルトラ「『黒戦斧』のバルトラだ、よろしくな。ルラちゃんに世話焼くどころか、こっちが世話になったよ」
ガロルド「?・・・・どういう事だ?」
「実はね?」
かくかくしかじか、バルトラさんたちにミスリルを譲った事
譲った理由なども説明した
ガロルド「なるほどな、確かに持っていて貰ったほうが安心だな」
「そうでしょ?普通の斧でも傷がつけられるならミスリルを使えば十分戦えると思って」
ガロルド「ああ、俺も同意見だ」
バルトラ「ははっ、褒めてもらっても倒せないんじゃ意味ないからな。ミスリルの戦斧を持っても研鑽するよ」
「はい、頑張ってください。バルトラさんならきっとワイバーンの首も切れます」
バルトラ「ワイバーンの首を切る・・・・・ああ、やってみせるぜ」
ガロルド「頑張って」
「じゃ、私たちは町の観光に行ってきまーす」
バルトラ「観光か!そりゃいいな、俺達行きつけののご飯屋があるんだ『黒猫亭』っつー所だ。気が向いたら行ってみてくれ」
「いいですね!食べに行ってみます」
バルトラ「ああ、じゃあな」
「はーい」
バルトラさんにバイバイをしてギルドを出た
「で?ダタンヤリムさんが行きたい所ってどこなんですか?」
ダタンヤリム「どことは決まってはいない。見たい物が見たいだけだ」
ガロルド「なんにでも興味を示すからな、あっちへふらふら、こっちへふらふらだ」
「あーー、なるほど」
子供が何にでも興味を示すのと同じかな?
珍しいものばっかりなんだよね
ダタンヤリム「どれも見た事がない物ばかりだからな、全部隅々まで見たいくらいだ」
「それはいくら時間があっても足り無さそうですねえ」
ダタンヤリム「そうだ、さあさっそく行こう。まずはあそこの店からだ」
指さす方にあるのは、武器屋さんかな?
「武器屋に何か欲しい物があるんですか?」
ダタンヤリム「いや、特にない」
ガロルド「興味があるかないかよりも、見たいだけだ」
ダタンヤリム「失礼な、見て、興味があれば観察する」
「な、なるほど・・・・もしかして全部のお店でそうするつもりですか?」
ダタンヤリム「もちろんだ、全部見れるなら見たい。時間はあるんだ」
「うわー」
時間の使い方がエルフだ
全部見たってそんなに時間はかからないって思ってそう
ガロルド「俺が面倒を見ておくから、ルラは欲しいものを買い物して来るといい。お昼にさっき聞いたご飯屋に集合でどうだ?」
「いいの?」
ガロルド「旅の間でだいぶ慣れてきた。適当に相手しておくから問題ない」
「わかった、美味しそうなものがあったらガロの分も買っておくね」
ガロルド「ああ、楽しみだ」
「じゃ、またお昼に!」
手を振ってバイバイして、買い物に向かう事にした
さすがにダタンヤリムさんに付き合っていたら欲しい物が買えないかもしれない
それに気になっている物がある、ギルマスが言っていた『パスッタ』って
パスタの事じゃない?小麦から作るってそれ以外考えられない
ここなら乾麺が買えるかもしれない!
わくわくしながら買い物に出かけた
最初に目が付いたのは、屋台で売っていた真っ赤なトマト
とっても美味しそうだし、パスタが手に入るなら大量に欲しい
「これはどんな味ですか?」
「どんな味・・・一個食べてみるかい?」
「いいんですか?」
「ああ、そのままかぶり付いてみるといいよ」
渡されたトマトは小ぶりだ、ミニトマトとはいわないけど、2口で食べれそう
浄化をしてから、かぶり付くとしっかりとした皮の下にはジューシーな果肉で
口から飛び出してしまいそうだった
酸味は強め、甘味はほぼない
でも煮込めば美味しくなりそうだ
「すっごいジューシーですね」
「ははっ、溢れそうだろ?これはな、煮込み何かに使うよ」
「あ、やっぱり!私も煮込めば美味しくなりそうって思ったんですー」
「わかってるねえ」
「じゃあ、買えるだけください!」
「は?」
「売り切れても困らないなら全部買います」
「お嬢さん、冗談いっちゃいけないよ。どれだけあると思ってんだい?」
ちょっと呆れた感じだ
「冗談じゃないですよ、できればこの木箱ごと欲しいです。収納もあるので、そのまま受け取れます」
「ほ、本当に?」
「はい!」
半信半疑だったお店の人も金貨を見せて、やっと納得してくれた
木箱ごと買ったトマトを丸ごと収納に入れて、屋台のトマトは完売だ
「まいどありー!!」
にっこにこの店員さんと、たくさん買えて嬉しい私
誰も損してない、最高
次に気になった所に入ってみると、穀物屋さんかな?と思ったけど
自分が欲しかった物がそこにはあった
「パスタ!」
量り売りらしいパスタは、麺状のものもあれば、マカロニのようなショートパスタもある
麺状のものは平らな形で、いわゆるフィットチーネみたいだ
「いらっしゃい。どれが欲しいんだい?」
「えっと・・・・全部欲しいんですけど、乾燥したものは売ってないんですか?」
「ああ、保存できるやつだね、うちには置いてないが他の店に行けば売ってるよ。少々お高いがね」
「高いのか・・・・」
乾燥に時間がかかるもんなー
「こっちは毎日ここで作ってるからね、乾燥パスッタより全然美味いよ。今晩使うならこっちが断然おすすめだ」
「へえ、ここで作ってるんですね。魔道具ですか?」
「魔道具も使うが、人力でもやってるよ。なかなかの力仕事だが美味いパスッタの為だからな!」
爽やかに笑う店員さんは、確かに力持ちそうだ
「じゃあ、全種類を売れるだけ売って欲しいです。出来れば木箱ごと」
「は?」
「お金ならありますし、収納もあるのでこのまま持って帰れます」
「お、おおーーーー」
金貨の入った財布を見せれば納得してくれたようで、木箱をたくさん積んでくれた
大金貨でお支払いして、ホクホク顔でお店を出た
「こんなにパスタが手に入るなんて嬉しいー」
どんなパスタを作ろうか・・・今から楽しみで仕方ない
そんな気分で次の店に向かおうとした
「アルノーラ?」
呼ばれた気がした
もう捨てた名前
そんなはずはない
そう思ったけど、声がした方へ振り返ると
知らない女性がこっちを見ていた
知っているけど、知らない女性
その傍には男性が立っていた
「どうしたんだ?」
「え・・・・ちょっと・・・・」
そんな会話をしている
私は反対を向いて、歩き出した
呼び止める声は聞こえない
でも泣いているような声が聞こえる
でも振り返らない
きっとあれは母、だったひとだ
母が家を出て行った時、追いかけなかった
なぜなら母は私を連れて行く選択肢を選ばなかったから
きっと自分は邪魔になる
それに妹を置いては行けなかった
どんなに私の事が嫌いな妹でも、守ってあげられるのも助けてあげられるのも
妹には私しかいないと思ったからだ
母は別の道を選んだ
私達を捨てて
それを責めたりしない
だってあんな家は誰だって逃げたい
だから私は母を恨んだりしない
ただ、私にとっては母だったひとになっただけだ
一度捨てたものは拾ったりできない
あなたが選んだ道を生きて欲しい
それがあなたが選んだ道だから
捨てたけど、また母と呼んで欲しいなんて
都合の良い事は言わないで
どうか、その傍にいる人を大切に・・・・・・
私は優しかった母の思い出だけを持って生きて行くから
泣いているのは悲しいからでも、悔しいからでもない
ただ無事で良かった
でも、優しい普通の家族が欲しかった
それぐらい願ってもいいよね
だからどうか、あなたは幸せに
私のいない所で
気配を感じなくなるまで、まっすぐ歩いた
振り返らない
私には帰る場所がある
ありがとござした!




