アルビトリウムの悲劇
*この章では本作『アルビトリウム』の世界を少し掘り下げて解説します。私が言うのも何ですが…この物語は少し複雑な世界観の中の物語だと思います。読者様の中には若年層の方、世界観が分かり難いと思っている方もいらっしゃるかもしれないと思います。そうした方々の中でもコアな既読者のために、もう少し分かり易く解説することがこの章の目的です。但し、ここは別に読まなくても物語を楽しむためには何の問題ありません。
アルビトリウムの悲劇
『アルビトリウム』は子宇宙を誕生させる母宇宙である。新たな宇宙を誕生させるために対立する二つの事象が鬩ぎ合っている世界である。
――例えて言うなら、人間が「理性」と「本能」、或いは「感情」という対立する内面を持っていて、その働き(葛藤)によって新たなものを生み出していくことと同じである――
本来ならそれらが調和を保っていれば、何の問題もなく順調に事象が運行するはずだった。しかし「悪い事象」を増幅させ、加速させて調和を壊してきたのが、冥界王バエルである。そのため『アルビトリウム』は妖獣族やワタマ族というバエルが世界を崩壊に導くために目を付けた者たちによって、ある時代から長い戦乱の時代に突入していった。そのため生者たちは自らの世界をじっくりと観察し探求することもできなくなってしまった。
だから、唯でさえあまりにも広大で複雑な『アルビトリウム』世界の全貌を誰も知らないのである。




